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芝山現地闘争―機能強化阻止、農地死守の誓い新たに

集会の熱気そのままに芝山文化センターから反対同盟を先頭に一周デモに出発(3月31日)

三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する芝山現地闘争が3月31日に行われ、全国から労働者・農民・学生・市民345人が結集した。国家権力と成田空港会社(NAA)は昨年2月15日、市東孝雄さんと反対同盟の闘志をくじこうと天神峰農地への強制執行をかけたが、敵の思惑を完全に粉砕して意気高くこの日の集会とデモを貫徹した。
午後、会場の芝山文化センターホールを熱気で満たして開会。最初にビデオの上映が行われ、昨年2・15強制執行との激突、今年2月の第3滑走路建設準備工事に対する現地闘争、3月の市東さんの耕作権裁判闘争の記録映像が映し出された。参加者は固唾を飲んでスクリーンに見入った。
太郎良陽一さん、宮本麻子さんが司会のあいさつを行い、東峰の萩原富夫さんが主催者あいさつに立った。
萩原さんは、現在成田空港機能強化として、B滑走路北延伸に向けて東関東自動車道のトンネル化に向けた切り回し道路が造られ、滑走路延伸の造成も進んでいること、第3滑走路予定地である芝山町の菱田では高谷川の改修、調整池づくりの工事が行われている現状を報告した。そして岸田政権のもとで沖縄・南西諸島において中国に向けた軍事基地建設が進められていること、九州・四国でも自衛隊が使用に向けて空港・港湾の整備が進められようとしていることを指摘し、成田も軍事空港化を念頭に新滑走路建設、1ターミナル化などの計画が進められていることを弾劾した。そして「三里塚は大きな課題を背負って闘っていく」と反戦闘争の先頭に立つ決意を表した。

萩原富夫さん

連帯のあいさつの最初に、動労千葉の関道利委員長が登壇した。ジェット燃料貨車輸送阻止闘争、組合結成、85年10・20現地闘争5割動員などの歴史を振り返り、「10・20に参加していなかったら私は今ここで発言していなかったかも」と労農連帯闘争の重要さを語った。そしてJRダイヤ改定阻止を掲げて48時間ストを貫徹したことを報告し、労働者の職名を奪う組合つぶし、団結破壊の攻撃に怒りを表し、「南台農地を断固死守し、空港廃港まで闘おう!」と締めくくった。
関西実行委員会の連帯メッセージの紹介に続いて、「市東さんの農地を守る沖縄の会」の川野純治・前名護市議会議員が発言した。前日のうるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に対するミサイル部隊配備反対の闘い、石垣島での米艦船寄港に対する全港湾の座り込み、辺野古新基地建設阻止の闘いを報告し、三里塚に連帯して闘うことを誓った。
続いて、3・11反原発福島行動実行委員会共同代表の椎名千恵子さんが発言。3・18耕作権裁判報道記事での、故市東東市さん(孝雄さんの父)の「空港公団と反対同盟は水と油の関係、ひざを交えたら終わりだ」との言葉を紹介し、その敵との非和解性において「3・11実行委は一体だ」と確信を述べた。そして、8・6広島暴処法弾圧を弾劾し、低線量被曝、汚染水海洋放出という福島の現状に鋭い怒りを表した上、故萩原進事務局次長の「霞が関に攻め上ろう」との呼びかけを引き「今こそその時が来ていると思う」と、反戦・反核・反原発の闘いの先頭に立つ決意を表した。
ひときわ大きな拍手に迎えられて市東さん本人が発言に立った。強制執行後の1年を振り返り、「畑は少なくなったが元のように農業ができるようになった」とお礼を述べた。そして耕作権裁判本人尋問で、農地強奪の張本人であるNAAの代理人が反対尋問で「今畑の状態はどうですか」などと質問したことを挙げ、「不誠実極まりない。証拠があるなら全部出せばいいのに、出せないならそこに怪しいものがある。南台農地を取られたら私は何もできなくなる。体の続く限り天神峰の地で農業を続ける。裁判以外でもできることをやる」と農地死守の不動の決意を述べ、支援を要請した。

市東孝雄さん

続いて反対同盟顧問弁護団が、この間の耕作権裁判でNAAを追いつめたこと、今年末頃に判決となることなどを報告し、現地実力闘争と一体で南台農地を守り抜く決意を表した。
市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会の人々が壇上に並び発言した。群馬の会の労働者は、天神峰農地への強制執行と群馬の森の朝鮮人追悼碑破壊への怒りと悔しさを訴え、自らの職場でストに立ち反戦闘争を闘っていることを報告した。
全国農民会議共同代表の小川浩さんは、食料・農業・農村基本法改悪案、食料有事法案の国会提出を弾劾し、「平時に農業つぶしやり有事には穀物を作れと強制するもの。規模拡大、スマート農業などが叫ばれているが、そんなものでやっていけないのが農家の現状だ。政府へのお願いではなく、市東さんが言うように福島・沖縄・三里塚の連帯の闘いにこそ農民の生きる道がある」と訴え、「戦争反対」をうたう農民会議の新調ののぼりを披露した。
宮本麻子さんが、市東さんの南台農地を死守する決意をみなぎらせ、カンパアピールを行った。

戦争反対の新調したのぼりを立て発言する全国農民会議共同代表・小川浩さん

白枡の伊藤信晴さんが「機能強化粉砕に向けた戦闘宣言」と題して、芝山町での移転強要攻撃の激化を報告した。町は「第一級の政治課題」と位置づけて移転対象住民の代替地の整備を行ってきたが、3分の2の住民は代替地に移るのを拒否しているという。農業を続けられず、町の外に出ようとしているという地域崩壊の現実だ。そして1983年の反対同盟の3・8分裂後に市東東市さんが自宅の母屋を新築し「強制収用来るなら来い」との気概を示したことを紹介し、その闘魂を自分自身のものとして、耕作権裁判勝利、南台農地強奪実力阻止を誓った。
空港周辺住民2人が登壇し、機能強化による騒音激化、生活破壊に対して4地区150人の住民が原告となって深夜早朝の飛行差し止め訴訟に立ち上がっていることを報告した。被告の国は卑劣にも「空港の運用時間は国に権限がない」と無関係を装って訴訟の門前払いを主張したが、裁判所もそれを認めず釈明を求めた。次回期日は6月25日と告知し、裁判傍聴を要請した。
共闘団体の発言として、矢嶋尋全学連副委員長が決意表明を行った。耕作権裁判で市東さんが強制執行に怒りを燃やし「今後も農業を続ける」と宣言したことに応え、「反対同盟とともに実力で闘う」と決意を鮮明にした。そして父東市さんが信条としていた戦争絶対反対、革命的祖国敗北主義を引き継ぎ、岸田政権の対中国を想定した戦争準備、成田軍事空港化を実力で粉砕し、8・6広島暴処法弾圧を打ち砕き、獄中の大坂正明さんと連帯し、4月新歓闘争で新入生と合流して全学連の隊列を強化することを誓った。矢嶋さんの「連帯し、侵略を内乱への24年決戦をともに闘おう!」との高らかな訴えに会場の熱気が最高潮に達した。

太郎良陽一さんの音頭で団結ガンバローを三唱する反対同盟

集会の最後に、太郎良さんが行動提起として、今後の耕作権裁判(5月13日、7月8日、9月30日)の傍聴、7・7農楽まつりへの結集、千葉地裁宛の「成田空港の拡張に反対する署名」、国交省宛の「すべての空港拡張計画の撤回を求める署名」への取り組みを訴えた。さらに、機能強化策のもとで農地を奪われ地域が破壊され騒音に苦しめられる芝山住民の苦境に触れ、「空港なんてつぶしてしまえ! コンクリートを引っぺがして世の中を変えよう! 戦争反対の声を上げともに闘おう」と叫び、団結ガンバロー三唱をリードした。

晴天のもと会場前で隊列を整え、反対同盟を先頭にデモ行進に出発。宣伝カーからは宮本さんが「南台農地死守、空港機能強化粉砕!」「芝山廃村化を許さない!」「戦争反対!」の訴えを一帯にとどろかせた。県道62号線(芝山はにわ道)を南下、そこから左折し、細くなる道をたどりながら畑と住宅の地域に分け入っていく。警察機動隊の厳重警備が敷かれている町役場前を通過。多くの住民が家からデモを凝視していた。
「反対同盟の歌」をも高らかに歌い響かせ、芝山町の雰囲気を「空港絶対反対」に完全に塗り替えながら、再び文化センターに到着し一周デモを貫徹した。

参加した全員が、市東さんの闘魂、反対同盟の意気軒高とした意気込みを共有し、戦争情勢のもとで岸田政権打倒へ立ち上がる決意を新たにした。(TN)

参加者全員の決意を一つにして「団結ガンバロー!」

力強いデモ行進が芝山町の空気を「空港絶対反対」に塗り替えた

全学連のデモ

動労千葉のデモ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スケジュール
◎団結街道裁判 5月10日(金)午後1時30分開廷 千葉地裁 小泉一成成田市長の証人尋問
◎耕作権裁判 5月13日(月)午前9時 千葉市中央公園集合(予定) 集会、市内デモ 10時30分開廷 千葉地裁
◎空港拡張差し止め裁判 5月24日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁

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