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イスラエルで50万人が正規職化求める無期限ゼネスト!

s20120213b-1.jpg アメリカの中東支配の要であるイスラエルで労働者の世界史的決起が始まっている。イスラエル最大の労働組合のナショナルセンターであるヒスタドルート(労働総同盟)は、2月8日午前6時、なんと政府が雇用する25万人の非正規職の直接正規雇用を求めて無期限ゼネストに決起した。ストには官民の労働者が総決起し、政府のすべての省庁、国民保険、職業安定所、自治体の窓口、駐車場、ゴミ収集、宗教機関、裁判所、税務署、大学事務、鉄道、港湾、デイケアセンター、銀行、株式市場、映画館、美術館、教育テレビ、農協、郵便局、ベングリオン国際空港(初日の午前6時から正午まで)が停止。病院や精油所は土曜スケジュールとなるなど全国の50万人の労働者がストライキに入った。 

s20120213b-2.jpg テルアビブでは数十万人がデモに決起し、ヘブライ大学の学生は労働裁判所の前で非正規職撤廃のデモンストレーションに決起した。
闘いのきっかけは、昨年夏にイスラエルでも爆発した物価高騰に対する社会正義を求める大闘争である。この闘争によって新自由主義に対する社会的な怒りが拡大し、民営化や外注化、非正規雇用に対する批判が労働者の中に浸透した。そして、この闘いは政府が主導した秋の鉄道への全面外注化攻撃を鉄道労働者の強力な職場闘争で粉砕することにつながった(既報https://znn.jp/2011/10/post-643.html)。
そして、鉄道での外注化阻止闘争の勝利によってすべての非正規職を正規雇用にする闘争が始まり、ヒスタドルートは昨年11月、すべての非正規職の正規職化を求めるゼネストに決起したのだ。この最初のゼネストは労働裁判所の中止命令で4時間でいったん中断し、それから政府との交渉が始まった。組合は長い交渉の結果、交渉の余地はなくなったとして今年の1月30日、再度ストライキを宣言した。労働裁判所も2月2日、「ストを禁止する理由が見あたらない」とついにストライキの禁止を解除した。ストが不可避な情勢の中で2月7日、組合は個人雇用主の団体である経済組織連絡委員会との間で非正規職の正規職化に向けた決定的な合意をかちとることに成功した。これは中小資本を駆逐する巨大資本とのあつれきを利用した決定的な勝利であった。s20120213b-3.jpgこれに対して、イスラエルの大資本が組織するイスラエル商工会議所は「正規雇用の強要は経営者から自由を奪う」「国際競争に生き残れない」「結果として失業を増加させる」と真っ向から反対した。政府は大資本の意を受けてかたくなに正規職化を拒んだが、非正規職の賃金や条件を正規職なみにするという妥協案で収めようとしてきた。
しかし、組合はこの妥協案を認めず「労働者の唯一の武器はストライキである」と無期限ストライキを決行したのだ。当初労働裁判所は2日目のストライキを禁止すると思われていたが、徹夜の交渉が続く中で銀行や証券取引所、鉄道や公務員など35万人が2日目のストライキに決起。組合は個人経営者との合意を武器にして政府をねじ伏せようとし、政府はこれに激怒しながらも交渉につくことを強制された。政府は逆に向こう4年間のストライキの放棄を要求するなど激しい応酬が続く中、ストライキは労働者の圧倒的な支持の中5日間続けられた。その間経済活動は混乱し、イスラエルの株価は暴落し続けた。
s20120213b-4.jpg そしてスト5日目の朝、ついに組合と政府は合意に達した。政府はソーシャルワーカーやカウンセラーなど数千人を正規職として直接雇用し、組合が最も主張していた清掃労働者や警備労働者は労働協約で現在の職場を保証するというものであった。最低賃金はイスラエルの通貨で現在の4100新シェケル(約8万5千円)から4500新シェケル(9万4千円)に、さらに13年7月には4650新シェケルにまで増額することで合意。さらに正規雇用者と同等のボーナスや有給休暇、年金などの諸権利を獲得した。個人経営者の協会との合意では、組み立てラインやホテルや配達などの非正規職は9ヶ月の仕事の後に直接雇用に移行する。月に170時間以上働いていた清掃労働者も同様に9ヶ月後に正規雇用される。正規で雇われない非正規職も正規と同等まで賃金や条件が引き上げられる。そして、組合は3年間賃金についてのストライキを放棄する。
交渉に当たったヒスタドルートのエイニー委員長は「この合意は全く不十分であり、とりわけ外注化された労働者の条件はこれからの課題である」と言明し、さらに闘いを継続すると主張したが、活動家たちはこの妥協を屈服であると激しく弾劾している。
このイスラエルでの労働者の決起は、主張や妥協の内容の正否を越えて、非正規職化と闘う世界の労働運動にとって決定的な意義を持っている。しかもこの攻防で、新自由主義に反対する社会運動、鉄道における外注化阻止闘争が決定的な役割を果たしていることも見逃すことはできない。これは、日本における反原発闘争とJRをめぐる外注化決戦の勝利が、イスラエルのような事態を生み出す可能性を持っていることを示しているのである。次の課題がすべての職場での外注化阻止闘争の開始であるという点でも、日本とイスラエルの階級闘争の課題は一致している。
2・15国鉄集会と3・11福島集会を突破口に、4月JR全面外注化阻止の一大闘争に打って出よう!(SG)

写真は上から①ストに決起した労働者、②ストに決起したベングリオン国際空港の労働者、③ストで閉鎖された駅、④ストライキで窓口がしまった病院 

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