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広島で「内部被曝を考える」大瀧教授(広大原医研)講演会を開催

s20121204a.jpg 12月1日、NAZENヒロシマは、広島大学原爆放射線医科学研究所教授の大瀧慈(おおたき・めぐ)さんを講師にお招きし、「内部被曝を考える」講演会を開催しました。約50人が会場を埋め、活発な質疑応答が行われました。
 これまで原爆による死亡やがんなどの原因は、原爆炸裂直後の強烈な初期放射線(主に外部被曝)によるものがほとんどで、残留放射線による間接被曝や「黒い雨」など放射性降下物・「死の灰」による低線量内部被曝による健康影響は「無視できるほど小さい」とされてきました。そしてこの低線量内部被曝の徹底的な隠ぺいの上に、戦後の帝国主義とスターリン主義の核政策、原発政策の強行があり、現在の福島見殺しの政策があります。 

 今回の大瀧教授の講演は、誰も否定できない客観的データ、事実をもってヒロシマの内部被曝の真実を暴き出し、原発即時廃炉へ闘うNAZEN運動に、確固とした理論的裏付けを与えるものとなりました。
 大瀧教授は、原爆の初期放射線を浴びた量とがん発生の因果関係について統計学の立場から研究を続けてきました。そこから明らかになった事実は、「初期線量は、爆心からの距離の増大とともに急激に減少するが、直接被爆者のがん死亡危険度は、爆心からの距離が大きくなってもほとんど低下していない」「屋内被爆の方が屋外被爆に比べて、必ずしもがん死亡の危険度が低くなっていない」「爆心の西方(黒い雨降雨地域)の方が、東方よりがん死亡危険度が高い」ということでした。つまり「初期放射線」だけでは、被爆者のがん死亡リスクの増加を説明できず、「黒い雨」などの残留放射線による内部被曝が大きく影響している可能性がある、ということです。また被爆したときの年齢とその後数十年にわたるがん死亡危険度の関係も明らかにされ、子どもを内部被曝から守る闘いが、いかに死活的課題であるかリアルにつかむことができました。
 3・11を経て、内部被曝を告発し続けてきた「黒い雨」被爆者の闘いがあらためてクローズアップされる中、放影研(旧ABCC)が保管する1万3000人分の「黒い雨」聞き取り調査の存在が明らかになりました。米日帝国主義が意図的にこの調査結果を隠ぺいしてきたのです。今年、広島市・県は「黒い雨」指定地域を6倍に拡大し、救済の範囲を拡大するよう求める報告書を政府に提出しましたが、厚労省の検討委員会は一切まともな調査もせずに却下しました。しかし被爆者は「福島の人たちのためにも」とさらに怒りを燃やして闘っています。この「黒い雨」被爆者の闘いや大瀧教授らの研究によって、ヒロシマ・ナガサキの低線量内部被曝の実態が暴かれるならば、被爆者のがんなどの発症は、初期放射線量で決まるとし、そこから被曝の許容限度を導き出してきたICRP基準は根本から崩壊します。御用学者=山下・神谷らの「100ミリシーベルト以下安全」説、あるいは「年間20ミリシーベルト」基準は、被爆者抹殺政策の上に成り立つ核政策を維持するためにでっち上げられた恣意的な数値でしかないのです。まさに内部被曝の真実を暴く闘いこそ、米日帝国主義の核=原発政策を根本から打ち砕く闘いです。
 講演と質疑応答の後、高陽第一診療所理事の森三郎さんから、ふくしま共同診療所開設の報告とさらなる支援の呼びかけが行われました。最後にNAZENヒロシマからの提起を広大の学生が行い、「原発をなくすのはウソつき議員らの選挙ではなく、私たち自身の行動だ。反原発100万人デモをつくりだす先頭にNAZENが立とう。被曝労働阻止・非正規職撤廃を闘う労働組合を再生しよう。学生は御用学者と闘う学生自治会をつくろう。福島の怒りとつながって、広島からもっと声を上げていこう」と訴えました。
 NAZENヒロシマは、福島とともに反原発闘争の最先頭で闘います!(広島大学・KM) 

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