放射性廃棄物処分場反対! 矢板市民大集会に8千人
12月2日午前10時から、栃木県矢板市の長峰公園で、「指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める矢板市民同盟会」が主催して大集会が開かれました。地元の人たちを中心に8千人が集まりました。
政府・環境省は9月3日、突如一方的に指定廃棄物(除染などで出た放射性セシウム濃度が1㎏当たり8千ベクレル超の汚泥など)の最終処分場候補地に矢板市の国有林野を選んだと発表しました。これに怒る市民が計画の白紙撤回を求めて大結集しました。
朝の矢板市の気温は3度。前日に降った雪がまだ残っていて白く輝いている会場に、人々は歩いて、あるいは何度もピストン輸送されるバスなどでやってきます。杖をついたお年寄りも、子ども連れのお母さんも、中学生、高校生も、みな「今日こそは」という意気込みを満身に表してやってきます。それは「住民をなめるな」という怒りの表現でもあるけれども、同時に「目にものみせてやる」という気迫と誇りにも満ちています。栃木労組交流センターは会場の入り口で、「白紙撤回させるまでともに闘いましょう」と呼びかけるビラをまきました。
ビラまき部隊に明るい声がかかります。「おはようございます」「がんばろう」「ごくろうさま」……。続々と押し寄せる人、人、人の波。交流センターの仲間の前にできる大渋滞。持っていたビラは「奪われる」ようになくなっていきます。30分もしないうちにビラはなくなってしまいました。
矢板市は、全国的にはお盆や正月の連休などで東北道のインターチェンジで大渋滞が起こることで有名です。最近は、全国初の「指定廃棄物最終処分場候補地」と発表される1カ月前の8月に、シャープが矢板にある栃木工場を大幅縮小すると発表しました。原発(被害)と大失業が同時に襲いかかるという、街全体がまさに新自由主義攻撃の矢面に立ったともいえる格好です。
集会の前半は、地元の小学生、高校生など若い人たちの発言。処分場候補地とされた地元・塩田に住む高校生は、「矢板は豊かな自然の恵みにあふれている。私はその中で育った。国は安全というかも知れないが、私はそうは思わない。万一のことがあれば農産物は食べられず、川で遊べなくなる。白紙撤回して考え直してほしい」と訴えた。若いお母さんは、「9月3日以来、候補地と言われただけで3カ月間、毎日不安の中で暮らしてきました。近所には体調を崩した人もいます。どれほど痛手なのか国に分かってほしい」と訴えました。お母さんの発言には身に迫るものがありました。
会場の長峰公園自身が、実は除染対象地です。すでに除染作業は順次行われているようで、公園内には「12月20日まで」の看板が立ち、実際に芝生の一部が最近になってはがされた跡があります。県内でもこの矢板市を含め8つの市町が「除染対象地域」に指定されています。いまだに同じ県北地域の那須塩原市や那須町役場に設置されたモニタリングポストによる「公式発表」でも毎時0・2マイクロシーベルト前後の値が出ています。年間の積算量はゆうに1ミリシーベルトを超える値です。こうした地域では遅々として進まない除染ではあっても、少しずつ除染作業で廃棄物がたまっています。各家庭の裏庭などに仮置きされている黒いシートで覆われた廃棄物。こうした廃棄物の山をどうするのかは確かに深刻な問題です。しかし、“だから最終処分場を県内に”というのは居直り強盗の論理そのものです。
集会の最後、8千人がくるりと百八十度向きを変えて東京の方角に向けて「断固拒否」のプラカードを掲げた時、胸にこみ上げるものがありました。闘う労働組合を復権させること、そのために全力をあげよう、そして地元の人たちとともに「白紙撤回」をかちとろうと、誓いを新たにして集会場をあとにしました。(栃木労組交流センター・K)
この記事へのコメントはありません。