富士康でまたストライキ、中国全土で争議が爆発
1月10日、富士康の江西省宜春市豊城市にある新海洋精密部品工場(従業員数8000人)で、労働者による大規模ストライキが爆発した。富士康は、世界的な受託生産請負企業であり、この豊城工場は富士康の主要な生産拠点であり、アップルのiPhoneの部品の生産などをしている。
この工場の労働者の平均賃金は1300元(約1万8000円)といわれ、住居費や食費が控除されると手元にはほとんど残らない。さらに労働現場でも、溶接工は2日ごと、ひどい場合は一週間ごとに外科用マスクが配られてようやく交換できる。豊城の冬は摂氏3度になるが、宿舎では飲用のお湯が限られており、浴室も体を洗うお湯が足りず、そのために労働者たちは週1回シャワーを浴びるだけだという過酷な状況だ。
こうした状況に対する怒りが10日にストライキとなって爆発し、さらに要求が受け入れられなかったために、11日には労働者数千人が街頭に飛び出し、道路を遮断して賃上げと労働条件の改善を要求して徹底的に闘った。数百人の武装警官が動員され、労働者を蹴散らそうとしたが、労働者は徹底抗戦し、逆に武装警官を押し返した。放水車が人体に有害な水を労働者に噴射し、多くの労働者が受傷し、逮捕された。だが、こうした弾圧にも負けずに不屈に労働者たちは闘ったという。会社側は「工場の秩序が回復された」と発表したが、「労働者は誰も仕事をしていない」とも同時に認めている。この闘いは、まさに「外注化」と「非正規」に対する怒りの闘いそのものである。
2013年に入ってから、嵐のような労働者の暴動的な決起が中国では相次いでいる。1月3日から、広東省深セン市にあるアメリカ系資本の崇光電器製品工場で、工場の建て直しに伴うリストラに反対して労働者のストライキが連日続いている。10日には広東省広州市で清掃労働者がやはり1300元という低賃金に抗議し、連日のストライキに突入した。四川省成都でも1月6日に賃金未払いに抗議して清掃労働者がストライキに立ち、ゴミ回収車で道路を遮断。2つの街はゴミだらけになっている。11月7日から湖北省孝感市で、タクシー労働者が連日のストライキに入ったが、労働者の代表がやくざに殺されたことから怒りが爆発。11日からストライキが全市に拡大した。さらに河北省石家荘市正定県、四川省重慶市渝北区、四川省宜賓市のそれぞれで中学校の教師が低賃金などに抗議して、1月10日にストライキに決起している。また、同じ10日には深セン市で印刷労働者5000人が、工場の上場と改名に伴う賃金制度改悪に抗議のストライキを行った。
欧州危機と世界恐慌の進行、そして対日関係のあつれきの激化という中で、中国経済は崩壊過程に一挙に入ろうとしており、この中で労働争議が激しく爆発しているのだ。習近平政権はこれに、インターネットの全面実名登録制など、徹底した弾圧体制で対応しようとしている。しかし中国共産党による検閲と記事の差し替えに抗議して決起した『南方週末』のマスコミ労働者と支援の数日にわたる闘い(既報)は、記者たちのストライキへの処分をさせず、記事差し替えを命じた広東省共産党委員会宣伝部部長の辞職と検閲体制の緩和を広東省政府に発表させるところまで追い込んだ。これ自身はあいまいさの残る、予断を許さない発表とはいえ、大きな勝利である。何よりも重要なことは、こうした闘いを通じて、中国の労働者階級がスターリン主義独裁権力と対決し、勝利できる確信をつかみつつあることである。習近平の弾圧体制を根底的なところで打ち破る闘いが始まっている。
2013年、冒頭から中国は大激動に突入している。「外注化阻止」「非正規雇用職撤廃」の闘いは、この中国の労働者階級の闘いに連帯していく闘いそのものだ。団結をかけて全力で決起しよう!(K)
写真は上から①1月11日、街頭に飛び出し道路を封鎖して闘う富士康・新海洋精密部品工場の労働者たち、②広州市での清掃労働者のストライキ。警察隊と全面激突、③広東省深セン市の崇光電器製品工場のストライキ。数人が逮捕されている。
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