「労組自由選挙はペテンだ!」 工会弾劾し、日系・オーム電機深せん工場で再び争議
昨年3月から4月にかけて、賃上げや労働条件の改善、自由な労働組合の結成を要求して5000人のストライキが爆発した日系松下傘下にあるオーム電機の深せん工場で、今再び、リストラや非正規雇用化に反対し、さらに工会(中国スターリン主義の御用組合)代表の罷免を要求する激しい労働争議が爆発している。
昨年3月29日に爆発したオーム電機深せん工場の5000人大ストライキは、4月6日に激しい会社側の弾圧の下で中断を余儀なくされたとはいえ、中国史上初めての工会自由選挙を5月に勝ち取るという画期的な地平を開いた。またこのオーム電機の労働者の闘いがきっかけになって、深せんの163の企業で工会の自由選挙が同時期に次々と行われていくことにもなった。
ここには労働者の闘いに追いつめられた中国スターリン主義と資本の姿がある。しかしこれは一方で、「経済開発特区」深せんなどで激しく燃え上がる労働者の闘いを体制内的に取り囲む攻撃でもあった。
実際に、このオーム電機での「自由選挙」は、ストライキ継続を主張する多くの労働者を排除する形で行われており、なんら「自由」な選挙ではなかった。しかもオーム電機側は、新しく成立した工会に毎年10万元(約140万円)の活動費を提供することを約束したが、それは労組を買収する資金となって工会の「独立」を解体し、会社の工会への介入を許すものとなった上、この金は結局は飲み食いなどに使われ、労組幹部の腐敗を招いている。
こうした状況の上で、今年2月になって会社側は、新しい労働契約を労働者と結ぼうとした。それは最初は「期間の定めなき労働契約」「基本給の10%の値上げ」などが謳われていたが、実際に労働者に署名させた契約書では「基本給の10%の値上げ」が消えており、さらに「期間の定めなき労働契約」をも改悪する労働契約書に書き換えられて労働者に署名を迫る事態となった。騙されたという労働者の怒りは爆発し、職場を放棄して工場の屋上に上り飛び降りようとし、命をかけて会社を弾劾した。この新たな労働契約に対する闘いは現在も続いている。
こうした労働者の怒りが爆発する中で、昨年自由選挙で選ばれた工会執行部はなんら闘おうとせず、会社の欺瞞的で悪質な新労働契約締結を黙認し、労働者の権利を守る姿勢をまったく見せなかった。労働者たちはこの工会に対しても怒りをたたきつけ、2月28日にオーム電機の工会執行部に対して、工会の臨時代表大会の開催とオーム電機工会主席の罷免を要求する文書をたたきつけた。工会執行部と闘う労働者の激しい激突が始まっている。
今、あのストライキや暴動が続発する富士康(国際的な外注請負生産企業)でも、工会の自由選挙が行われようとしており、こうした「工会改革」を中国スターリン主義は今後次第に進めていこうともしている。だが今、オーム電機で起きていることは、中国スターリン主義の進めるこのような「工会改革」のペテン性をするどく突き出しており、こうした労働運動の体制内的な囲い込みに対して、それを許さない労働者の闘いが不断に必ず爆発することを示しているのである。オーム電機労働者の闘いは、中国スターリン主義の新たな労働政策を根底で揺さぶる闘いになっている。
こうした資本と労働者の闘い、労働組合を巡る闘いは、日本の労働運動と完全に通じるものだ。動労千葉の3月ストライキの闘い、「外注化阻止・非正規職撤廃」闘争は、中国の労働者の闘いの課題と一体のものである。開始された中国の階級闘争の激動との団結を求めて、3月決戦を闘っていこう!
写真は:①オーム電機深せん仙工場工会事務所に張り出された工会主席罷免要求決議書
②張り出された罷免要求決議書を破り捨てる工会主席と抗議する労働者
③オーム電機深せん工場工会主席罷免要求決議書
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