仏山の日系・本田で再びストライキ 工会の裏切りと対決
3月18日から19日かけて、広東省仏山市にある日系本田南海自動車部品製造有限会社で再びストライキが爆発した。この本田の工場では2010年に大規模ストライキが起きており、中国の労働運動に大きな影響を与えている。
最大の問題は、今回もやはり賃上げをめぐる問題である。3月13日に工場側は工会(中国政府の御用労働組合)に対して、現場労働者である1級の労働者に対して月220元(3080円)、2級の労働者に対して330元(4620円)の賃上げを提起してきた。賃金は5階級に分かれており、3級が760元(10640円)、4級が1030元(1万4420円)、5級が1550元(2万1500円)の賃上げとされた。この工場には約2000人の労働者がいるが、1級と2級の現場労働者が80%以上を占めており、3級以上の管理職との賃金格差はすさまじいものがある。ちなみにそれまでの1級の労働者の基本給は約2200元(約3万800円)、5級は約8600元(12万400円)、すでに4倍近くの差があり、この賃上げによってさらに賃金格差が広がることになる。労働者たちは2400元から(3万3600円)3000元(4万2000円)ないと生きていけないと訴えている。
日本人経営者を含む工場側と工会側は交渉を継続、工会側は1級と2級の労働者に対して388元の賃上げを要求していたが、18日に工場側の提案を飲む形で妥結。工場の差別的な低賃金と工会の裏切り、この事態に対して変速機組立て現場の労働者を中心に、18日にストライキが爆発したのである。
この工場では、労働契約解除を言い渡した労働者に対して残りの契約期間に年休を取らせ、事実上前倒し的に解雇するなどの不当労働行為が行われており、こうした現実への怒りもこのストライキにはある。
この事態に驚愕し追いつめられた工場側と工会は、ストライキに決起した労働者を分断し、隔離するとともに、ペテン的に再び交渉を再開し、1級の労働者の賃上げを310元(約4340円)とし、加えて50元(約700円)の部屋代を支給するということで新たな妥結・妥協を行った。この結果に対してはストライキに参加しなかった労働者からもため息が漏れたという。そしてさらに「交渉中のストライキは違法である」としてストライキに立ち上がった労働者を両者一緒になって非難したのである。工会の代表は「何よりも心配なのは、工場にいる労働者の一部積極分子の存在である」と、闘う労働者への恐怖を赤裸々に語っている。
広東省深せん市の日系オーム電機では、2月末より、工会執行部の罷免を求める闘いが始まっている。事実上中国スターリン主義の行政機関と化し、資本とも闘わず、労働者への攻撃を容認し促進する体制内労働組合である工会。この工会に対して中国の労働者は今怒りを激しく爆発させ、それと対決し、それを乗り越える闘いが本田やオームをはじめ力強く始まっているのである。その闘いの主体は農民工などの非正規労働者であり、まさに非正規労働者の階級的な怒りとして爆発しているのである。
中国スターリン主義は、第12期第1回全国人民代表会議(3月5日から17日、北京)で、鉄道部の解体と中国鉄道の「分割・民営化」を決定し、中国の労働者階級にさらに激しい新自由主義的な攻撃をかけてこようとしている。
体制内労働運動と対決し、「外注化阻止・非正規職撤廃」の闘いを貫くことこそが、中国スターリン主義と資本、それと一体化している工会と対決して決起している中国の労働者との団結の道そのものだ。第2ラウンドの闘いを力強く突き進もう!
写真は、本田南海自動車部品製造有限会社の構内
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