国労組合員資格訴訟 国労本部に釈明を迫る
国労組合員資格確認訴訟の第8回口頭弁論が5月22日、東京地裁民事第11部(団藤丈士裁判長)で開かれた。
国鉄1047名解雇撤回闘争の終結を宣言して被解雇者の闘争団員から組合員資格を奪った国労本部に対し、4・9政治和解を拒否して闘う4人の闘争団員が、組合員資格の回復を求めて起こしたのが、この裁判だ。
法廷で原告代理人は、これまでの原告側の主張を集大成した書面の要旨を陳述した。
被告の国労本部は、「国労は企業別組合だから企業に在籍することが組合員資格の要件」と言い、組合員資格剥奪(はくだつ)を居直ってきた。解雇撤回闘争を否定し、労働組合の原則を解体する許し難い主張だ。
これに対し原告代理人は、国労が歴史的に「企業別組合からの脱皮」を掲げ、今もJR内の他労組を「企業別組合の連合体」と批判している事実を挙げて、「被告の主張は虚偽」と断定した。
国労本部は2010年に4・9政治和解を強行し、同年7月の79回大会で闘争団員を選挙権も被選挙権もない「特別組合員」にした。しかし、労働組合法は「組合のすべての問題に参与する権利」「均等の取り扱いを受ける権利」を組合員に保障するよう定めている。原告代理人はこのことを指摘して、被告の主張の矛盾を鋭く突いた。
被告は「特別組合員の権利を制限することも団結自治の範囲内」と主張するが、均等に扱われない組合員など本来存在しない。「特別組合員」とされた時点で、闘争団員は組合員資格を奪われたのだ。原告側は「被告の主張と労組法の規定との関係を明らかにせよ」と被告に釈明を求めた。
被告は「4・9和解を受けて79回大会で闘争団員を暫定的に特別組合員とし、翌年の80回大会で『JR復帰は不可能』との判断に基づき闘争団員の特別組合員資格の喪失を確認した」と言う。
しかし、79回大会の時点で、成田昭雄さん、羽廣憲さん、石﨑義徳さんの3原告の鉄建公団訴訟は最高裁で、小玉忠憲さんの鉄道運輸機構訴訟は東京高裁で現に闘いぬかれていた。小玉さんの訴訟は今も最高裁で争われている。原告代理人はこの事実を突きつけ、「4原告の組合員資格剥奪は、闘争終結方針に従わなかった原告に対する実質的な除名処分」「規約によらない除名処分は違法無効」と力説した。
国鉄闘争圧殺のために送り込まれた団藤裁判長も、原告側が求めた釈明に応じるよう、被告に促さざるをえなかった。
次回期日は7月17日午後3時30分から。立証を巡っての本格的な攻防に入る。4・9政治和解と対決してきた国鉄闘争全国運動の発展にとって、この訴訟は動労千葉の鉄建公団訴訟や動労総連合の強制出向無効確認訴訟とともに、大きな意味を持つものになった。
裁判に先立ち、原告を先頭に「共に闘う国労の会」は、国労本部を弾劾し、6・9国鉄集会への大結集を訴える宣伝行動を裁判所前で貫徹した。
(東京・K)
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