三里塚7・14全国集会、市東さんが農地守る鮮烈な決意
7月14日、市東孝雄さんの農地裁判判決が2週間後に迫る中で、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で「市東さんの農地を守ろう/7・14全国総決起集会」が千葉市中央公園で開催された。
三里塚闘争47年の闘いの中で、かつてない重大な決戦局面が訪れたことを誰もがひしひしと感じながら、全国から約900人の労働者・農民・学生・市民が、反対同盟と連帯し市東さんの農地を守る一心で、猛暑の中を結集した。
正午からステージ上でライブ演奏が行われ、その熱気を引き継いで午後1時、萩原富夫さんの司会で集会が始まった。
最初に北原鉱治事務局長が主催者あいさつを行った。「全国から寄せられた農地強奪判決に反対する署名を7月17日に提出し、29日には判決を迎える。農民からの土地収奪を許さず、三里塚は闘い続けてきた。TPPは日本の農業を解体するものだ。現在の政治を根本から変えよう」と訴えた。
続いて動労千葉の田中康宏委員長が連帯発言に立った。「安倍政権はTPPとか土地の集約とか言ってそれを成長戦略だと称している。これは国家と資本による土地泥棒であり、農業の根本的な破壊だ。労働者と農民の膨大な怒りの声が吹き出そうとしている。国鉄分割・民営化から26年闘ってきたことによって、国鉄改革が国家的不当労働行為だったことを全面的に暴き出す時がやって来た。われわれは解雇撤回・外注化阻止の闘いの中に、労働運動を再生する道があると信じて団結を守ってきた。労働者と農民の連帯の力で安倍政権を倒す時だ。7・29判決に勝利し市東さんの農地を守りぬこう!」と呼びかけ、決意と展望を示した。
関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言、さらに婦人行動隊・木内敦子さんのカンパアピールに続いて、天神峰の市東孝雄さんが登壇し、マイクを握った。「思いもよらなかった土地明け渡しの提訴から約6年、裁判で成田から千葉地裁に来るたびに、空港会社(NAA)の行う違法とでたらめを味わってきました。私が子どものころは農家は貧しかった。私は手に職をつけるということで家を出て働きましたが、弟が二十歳の時に不慮の事故でなくなり、私は48歳になったら農業を継ごうと決めていました。親父が亡くなってそれが2年早まって成田に戻り、現在にいたります。NAAは裁判で私の畑の6割から7割を奪おうとしている。金を出すから、農業をやめて出ていけという攻撃です。その一方で、団結街道封鎖、現闘本部破壊を未明に行い、私は看板を壊したとして不当逮捕された。NAAがやっていることは尋常じゃない。誠実に働く者が当たり前の権利をかちとらなければなりません。私はいかなる判決でも受けて立ち、体を張って闘います」
この鮮烈で揺るぎない決意に、参加者全員が惜しみない拍手を送った。
続いて反対同盟顧問弁護団が壇上に並んだ。最初に葉山岳夫弁護士が「NAAのやっていることは非道・違憲のかたまりだ!」と断じ、市東さんと一体となって反動判決と仮執行宣言を絶対に阻止する決意を表した。そして弁護団一人ひとりが発言し、裁判の数々の論争点を解説した。NAAの前身である空港公団が旧地主から底地を買収したことを市東家に隠し続けてきたこと、明け渡しの対象である南台の耕作地特定の根拠は偽造された「同意書」「境界確認書」とその添付図面であり、しかも間違っていること、対象地には空港敷地外が含まれていること、農地法を悪用しての農地収奪は戦後の農地改革を受けてつくられた農地法の精神に根本から背いていることなど、NAAの違法・不当を具体的に突き出した。
萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。
「市東さんは3代にわたって手塩にかけてつくってきた農地を守り、その土地を闘いの題材として皆さんの前に提供して、6年間の裁判闘争を闘ってきた。農地や山・川・海は誰の力や権利をもっても侵すことはできない。市東さんは人間が生きるための基本である食糧を供給してきた。安全で新鮮な野菜を届け、消費者とつながってきた。法律をもねじ曲げてその土地を取り上げようとしていることを絶対に許してはならない! 短期・緊急であったが署名は1万1588筆集まった。反対同盟は3回の一斉行動で空港周辺地域に署名をもって入り、自信を深めた。全国でも心ある人びとが三里塚の勝利を願っている。今日集まった人数ではまだまだ少ない。これを上回る数で判決日に臨もう。三里塚は福島・沖縄と連帯し、労働者階級との連帯をもって闘いぬくことをあらためて宣言する」
緊迫した提起を受けとめ、全参加者が大きな拍手で応えた。
伊藤信晴さんがデモコースの説明を行い、最後に萩原富夫さんがシュプレヒコールと団結ガンバローの音頭を取った。
千葉市の繁華街をデモに出発。その最先頭に立ち「耕す者に権利あり/農地を奪う判決を許すな」と大書された横断幕を持つのは市東さんだ。宣伝カーからの訴え、デモコール、打楽器のリズムなどが重なって、熱気とともに市街全体を覆った。
沿道の人びとは、足を止めデモに見入っている。「成田の農民がまた空港問題で土地を取られようとしている!」との理解がただちに広がっていく様子がうかがえる。デモ隊は千葉地裁前で多見谷裁判長への抗議・弾劾をたたきつけ、再び中央公園へ到着した。7月29日の判決の日、再びこの場所に集合することをそれぞれが約束し合った。(TN)
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