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三里塚耕作権裁判―不当判決に怒りが爆発

判決を前に、反対同盟を先頭に千葉地裁へ向けてデモに出発(3月24日 千葉市中央公園)

三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判で、千葉地裁民事第3部・齊藤顕裁判長は3月24日、成田空港会社(NAA)の請求通り、市東さんに農地の明け渡しを命ずる極悪の不当判決を出した。しかし、判決の確定を待たずに強制執行を行える「仮執行宣言」を付けることはできなかった。市東さんと反対同盟顧問弁護団は直ちに、控訴して不当判決を打ち砕く意志を明らかにした。全国から集まった180人の労働者・農民・学生・市民がこの日一日をともに闘った。
開廷に先立ち、正午から千葉市中央公園で決起集会が開かれた。最初に反対同盟を代表して、東峰の萩原富夫さんが発言立った。「19年近く闘ってきた耕作権裁判が今日一審判決を迎える。裁判の内容では圧倒的にこちらが勝っているが、最後は権力の側を勝たせる人権無視の裁判官ばかりが千葉地裁に集められている。だが、ここで一つでも風穴を開けるという思い出絶対勝利を信じて闘いぬいてきた。もし今日の判決で仮執行宣言を付けられたら、現地では即座に臨戦態勢に入る。NAAが進める成田の機能強化は、本格的な軍事空港建設であり許してはならない。わが家も空港敷地内に土地が残っている。私も戦争のために農地は売らない。ともに闘おう」
さらに動労千葉副委員長の中村仁さんなどの連帯発言に続き、成田空港の騒音被害と闘う「郷土の空を考える会」の住民がマイクを握った。「今日の市東さんの裁判に何が何でも勝って、私たちの飛行差し止め訴訟にも勝利する」と強い決意を述べ拍手を浴びた。
司会の伊藤信晴さんのリードで意気高くシュプレヒコールを上げ、反対同盟を先頭に市内デモに出発した。宣伝カーには婦人行動隊・

㊤「農地死守・戦争反対、勝利判決勝ち取ろう」と訴える萩原富夫さん ㊦動労千葉をはじめこの日結集した180人が必勝の決意でこぶしを固めた

宮本麻子さんが乗り、農地強奪判決を許さぬ反対同盟のアピールを一帯に響かせた。
千葉地裁門前に差しかかったデモ隊は、裁判長に届とばかりにひときわ声高く弾劾をたたきつけた。デモを規制する千葉県警機動隊、地裁門前に配置された裁判所職員の姿は、参加者の怒りをかき立てた。
デモを貫徹すると、その勢いのまま全員が地裁の601号法廷前に集合し、傍聴券の抽選を経て入廷、60以上の席を埋めた。
すでに齊藤裁判長と反対同盟弁護団が着席しているが、原告NAA代理人は全員欠席。判決では毎度のことだが、裁判長に「おまかせ」で逃亡したのだ。
法廷内の緊張が高まり、全員の視線が裁判長に集中した。
「判決を言い渡します。主文、被告は原告に対し、別紙記載の土地の部分を明け渡せ…。訴訟費用は被告の負担とする」
不当判決! 即座に傍聴席から弾劾・抗議の声が相次ぎ騒然となった。裁判長はお構いなしに早口の上ずった声で判決理由の要旨を読み上げる。「A土地の賃借権は認められない…」「本件賃貸借契約は、賃借地について面積を定めるのみで、賃借地の場所、範囲を具体的に定めるものではない…」「時効取得は認められない…」「成田空港は昭和53年の開港から現在まですでに空港としての機能を有し続けており…」。これらの文言が聞こえるたび、何度も怒声が噴出し裁判長の声はかき消された。最後に、「なお被告らが長年にわたり南台の土地等において農業を営んできたことなどを考慮して、仮執行宣言は付さない」と言い終えた。この間約2分半。傍聴者の怒りが爆発した。「こんな判決を認められるか!」「取り消せ!」「農地強奪判決を許さない!」

齊藤顕裁判長

閉廷を宣して逃げていく齊藤顕ら3人の裁判官に、傍聴者は総立ちで怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
さらに地裁正門前に再結集し弁護士からの報告を受けて、傍聴できなかった人も含め全員で怒りを共有した。太郎良陽一さんのリードで再々度「市東さんの南台農地を守り抜くぞ!」「市東さんとともに闘うぞ!」と叫んで判決を徹底弾劾した。
千葉県弁護士会館のホールで、判決弾劾集会が伊藤さんの司会で開かれた。
最初に市東さんが怒りを込めてあいさつに立った。「予想してはいたがあまりにもひどい判決。19年にわたって私たちはあれだけ証拠を集め説明をしたのに、すべてを否定された。これが国策裁判のやり方だ。しかしこれで逆にファイトがわいてくる。やられたらやり返す。今日を区切りとして、これからも農地死守、戦争絶対反対を闘っていきます」。この揺るぎない闘争心に全員が熱い拍手を送った。
続いて弁護団一人ひとりが発言し、コピーされたばかりの判決文に目を通しながら、NAAを勝たせるためだけに書かれたそのデタラメな内容を徹底批判した。
齊藤判決は、NAAが「同意書」「境界確認書」という偽造文書をもとにして賃借地の位置特定を強硬に主張し破産したことを踏まえて、「本件賃貸借契約は、賃借地について面積を定めるのみで、賃借地の場所、範囲を具体的に定めるものではない」、つまり位置なんかどうでもいいと切り捨てる。そして「A土地の賃借権は認められない」「A・C・D土地それぞれの時効取得は認められない」と頭ごなしに決めつける。さらに成田について、「開港から今まで空港として機能し続けている」と既成事実への屈服を迫る。

南台農地の関係土地図

また、1994年に国・空港公団(NAAの前身)は成田シンポジウムで「平行滑走路建設においていかなる意味でも強制的手段を用いず、話し合いにより空港問題を解決する」と約束した。にもかかわらず、今それに背いて市東さんに明け渡しを暴力的に迫っている問題について判決は、「民事訴訟手続きは別。そもそも北原派はシンポや円卓会議に参加していない上、成田空港の建設自体を許容していない。話し合う余地はない。だから権利濫用とか信義則違反というのはあたらない」とNAAを全面擁護し居直っている。
だが、裁判長は仮執行宣言を付けられなかった。その理由を「被告が長年南台で農業を続けてきたから」などと温情をかけたかのように言うが、実際には「農地死守・実力闘争」の原則を貫き闘ってきた三里塚闘争の力が、判決確定前の強制執行という非道を阻んだのだ。これは重大な勝利だ。
参加したマスコミ記者からは熱心な質問が出された。さらに、飛行差し止め訴訟の原告である成田市民、群馬合同労組の労働者、全学連委員長の矢嶋尋さんが連帯発言を行った。
矢嶋さんは、「国家権力と私たち労働者・農民・学生は非和解であることを三里塚から学んできた。戦争を止める闘いと市東さんの農地を守る闘いは完全に一体だ。一昨年の天神峰強制執行との闘いを見て全学連の隊列に加わった学生がいる。この場にも前進チャンネルを見て駆けつけた飛び入りの学生がいる。立ち上がる人びとを全力で組織して、一昨年の2倍、3倍の闘いを作り出す。絶対に今回の判決を後悔させてやろう!」と鮮烈な決意を述べ、会場は大きな拍手に満たされた。

反動判決直後、千葉地裁前は人々の怒りのるつぼと化した

最後に伊藤さんが、間近に迫った3・30天神峰現地闘争への大結集を熱烈に呼びかけた。(TN)

スケジュール
◎3・30天神峰現地闘争 3月30日(日)午後1時 市東さんの南台農地集合 NAA本社へ向けてデモ 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

不当判決弾劾集会が千葉県弁護士会館で開かれた

矢嶋尋全学連委員長が「隊列を何倍にも大きくして戦争反対・農地死守の闘いを実現する」と決意を述べた

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