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ふくしま共同診療所開院から9カ月報告会に160人

20130920a-1.jpg 9月8日午後1時から福島市のコラッセふくしまで、ふくしま共同診療所主催の「ふくしま共同診療所報告会」が行われた。会場は福島市や県内各地から訪れた人など160人で満席となり、放射能による深刻な健康被害が進行する中での、診療所への期待の大きさが感じられた。
 ドイツで製作された映画『A2―B―C』(タイトルは福島の子どもたちの甲状腺検査結果を示す)予告編などの上映の後、ふくしま共同診療所の松江寛人院長が「開院から9カ月/甲状腺エコー検査から見えてきたもの」と題して報告を行った。 

 松江さんは冒頭、「診療所が昨年12月1日に開院して9カ月。6人のベテランの医師が共同で診療を行っている。これまで約600人の患者さんが来院した」と報告。「訪れた人の9割以上が子どもの甲状腺がんを心配している」と緊迫した状況を語り、診療所での診察結果について「18歳以下の子どもの甲状腺超音波検査の結果、のう胞のあった121人のうち、43人に数㍉以下の無数ののう胞があった。異常な数字が非常に心配だ」と述べた。
 さらに「福島県が行っている県民健康管理調査の甲状腺検査では、5㍉以下の結節、2㌢以下ののう胞は『A2』判定で『2次検査は必要としない』とされるが、発見された18人の子どもの甲状腺がんのうち一番小さい結節は5・2㍉。5㍉以下の結節を精密検査の必要がないというところに入れるのは絶対に間違いです。5㍉以下のがんで見落とされている子どもが相当いるのではないか」と危惧(きぐ)の念を表明。同時に「大人の健康の管理も絶対に必要です」と語った。
 最後に松江さんは「みなさん方に信頼され安らいでいただける診療所となるように、これからも一生懸命やっていきたい」と真摯(しんし)に語り、報告を終えた。
 崎山さん「原発事故の健康障害」講演
 続いて福島第一原発事故の国会事故調査委員会委員で医師の崎山比早子さんが「原発事故による健康障害」と題し、資料とスライドを使い講演を行った。
 崎山さんはまず、「原発サイトの現状」として汚染水流出の恐るべき状況について怒りを込めて訴え、福島原発は地下水が豊富で「地下水上の原発」とも言うべきと喝破した。
 次に「国会事故調で明らかにしたこと」として、原子力推進派は福島第一原発事故の前から「放射線を心配する精神的ストレスの方が放射線自身よりも有害だ」と盛んに言ってきたと指摘。放射線ががんを引き起こすメカニズムについて「放射線を受けてDNAの損傷が発生し、修復ミスが起き、変異が起こる。変異を起こしやすい性質も獲得する。突然変異の蓄積によって発がんに結びつく」と解説し、「放射線は1本通っても複雑損傷が起こる可能性がある。放射線の線量には安全量がない」と断言した。
 さらに「文部科学省による放射線教育の問題点」として、福島原発事故後の11年11月に文部科学省が発行した小中高校用の「放射線等に関する副読本」の内容について、「『放射線は有用』と書いてあるだけで、危険性について触れていない」と厳しく批判した。
 最後に「非がん性の疾患が無視され続けている」と語り、「消化器系、内分泌系などいろいろな疾患が増える。被曝に特徴的なのは、同時に4種類から5種類の疾病にかかること」を明らかにした。崎山さんの1時間半にわたる丁寧な講演に、賛同の拍手が寄せられた。
 質疑応答では自治体労働者、教育労働者、年輩の女性などからいくつもの質問が寄せられ、崎山さん、松江さんらが熱心に答えた。
 最後に診療所の杉井吉彦医師が「参加者のみなさんの報告を聞いて、福島の状況は予想以上の実態になっていると深く感じた。ご質問を聞いていて、本当に真剣になってやる必要があるとあらためて肝に銘じた」と明日への希望につながるまとめを行い、閉会した。
 その後、会場に相談コーナーを設置。診療所の医師たちが若いお母さんを始め十数人の真剣な質問・相談に応じた。
  (K・T)
 

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