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動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決/「名簿不記載基準は不当労働行為」認定

「解雇は有効」の反動判決に怒り
20130927a-1.jpg 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の判決言い渡しが9月25日、東京高裁第12民事部(難波孝一裁判長)で行われた。動労千葉争議団9人の訴えを退け国鉄清算事業団による90年4月1日解雇を有効とする判決が出された。
 他方で難波裁判長は、国鉄当局が名簿不記載基準を策定・適用し、原告らを採用候補者名簿から排除してJR不採用としたことについては、一審と同様、不当労働行為と認定し、鉄道運輸機構に慰謝料500万円の支払いを命じた。損害賠償請求権に関する消滅時効を主張した鉄運機構の主張も退けた。 

20130927a-2.jpg この日の裁判には、解雇当該を先頭に動労千葉組合員と支援、約200人が集まった。和解を拒否して闘う国労闘争団の成田昭雄さん、羽廣憲さんも駆けつけた。傍聴席に入りきれない多くの支援者が法廷外の廊下まで埋め、固唾(かたず)をのんで判決を待った。
 法廷に現れた難波裁判長は表情をこわばらせたまま主文を読み上げた。反動判決だ! 「解雇撤回以外にありえないだろう!」「逃げるな!」。傍聴席から鋭い弾劾の声が上がる。難波は傍聴席を見ることもできないまま脱兎(だっと)のごとく背後の扉から逃げた。

「解雇撤回」の結論逃れる詭弁
 判決は、改革労協(現JR総連)に突き上げられた国鉄当局が〈停職6カ月または停職2回以上〉という名簿不記載基準を策定し、動労千葉組合員などを名簿から排除したことについて、原判決を踏襲し「国鉄分割民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益にあつかう目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定」したと認定した。
 採用手続きの核心部における不当労働行為を認定したのなら、現状回復=解雇撤回が絶対の原則だ。原告が採用候補者名簿に記載されていたものとして扱い、JR東日本職員としての地位を確認するしかないはずだ。
 にもかかわらず難波裁判長は、仮に名簿不記載行為が行われなかったとしても原告が「採用候補者名簿に記載された上、JR東日本に採用されたはずであるとの証明はなされていない」と強弁し原告の訴えを却下した。そして、一審判決の、JR不採用から3年間の賃金差額(JRで働いていた場合と清算事業団在籍時の賃金差額。1人あたり約240万円~127万円)の支払い命令も取り消した。
 現実には採用候補者名簿に記載された職員は例外なくJRに採用されている。判決は詭弁(きべん)そのものだ。
 その上で難波裁判長は「本件不記載行為がなければ原告らがJR東日本に採用されたはずであるとまでは認められないものの、本件の事実関係の下では、原告らが採用された可能性は相当程度あったことも否定できない」とし鉄道運輸機構に慰謝料500万円の支払いを命じた(原判決は慰謝料300万円)。
 総括集会で動労千葉弁護団長の葉山岳夫弁護士は、判決のポイントを解説した上で「昨年の一審判決以降、小玉忠憲さんの鉄道運輸機構訴訟控訴審の反動判決、一審判決を出した白石哲裁判長の更迭、さらに先日の9月10には小玉さんの裁判の上告棄却で牽制(けんせい)するなど大反動の中での闘いだった。解雇撤回には至らなかったがさすがの難波裁判長も不採用基準の不当労働行為性は認めざるをえなかった」とし、上告して闘う方針を明らかにした。

大反動を運動の力で押し返した
 動労千葉の田中康宏委員長は「判決は『解雇撤回』の4文字を逃れるためだけの理屈もへったくれもない作文だ。500万円の慰謝料を取るために26年間闘ってきたのではない。国鉄分割・民営化以来、労働者が受けてきたひどい現実をなんとしても覆したいという思いで闘ってきた。しかも、暴かれた国鉄分割・民営化の真実を一顧だにせず、一人の証人も調べずにこんな判決を出した。腹の底から怒りが沸いてくる」と怒りをあらわにした。その上で「難波裁判長の階級的使命は問答無用でなにもかも切り捨てることだった。それを押し返したのは最終的に4万4286筆に達した署名を始めとする闘いの力だ。この判決を手がかりに反動の牙城=最高裁を突き崩して解雇撤回をかちとり、安倍がやろうとしていることも全部ぶっとばそう。その可能性を大いに感じています」と述べ、11・3労働者集会1万人結集を突破口とする新たな決戦への決起を呼びかけた。
 当該の高石正博さんは「不当労働行為だったのなら原職に戻るのは当たり前だ。そのことを一生懸命訴え、物販と署名で全国を回る」と述べ、中村仁さんも「『不当解雇であっても金で解決できる』という判決を確定させるわけにはいかない。分割・民営化以来の攻撃を押し返し、若い人たちが労働者としての誇りをもって生きていける道筋をつけたい」と述べた。
 組合員と支援者が次々と発言し、最後に動労千葉の長田敏之書記長が、10・1外注化阻止の闘いと11・3労働者集会への総決起を訴えてこの日の闘いを締めくくった。 

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