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インドネシアで200万人が怒りのゼネスト

20131105a-1.jpg 10月31日、11月1日を頂点に10月28日から5日間にわたって、インドネシア全土を揺るがす200万人のゼネストが打ち抜かれた。これは、ユドヨノ政権が、来年の最低賃金の引き上げ幅を10%以内とする9月27日付大統領通達で、賃金闘争圧殺に乗り出してきたことに対する怒りのストライキだ。ブルジョアジーの意を体したユドヨノに、20州の200都市と自治体で「大統領通達を撤回しろ!」「アウトソーシング(外部委託)を禁止しろ!」「派遣労働をなくせ!」「社会保険を保障しろ!」のストライキとデモがたたきつけられた。 

20131105a-2.jpg ジャカルタ特別州とその東に隣接する国内最大の工業地帯で日系企業が集中する西ジャワ州ブカシ県、カラワン県などの工業団地では、操業中止に追い込まれた各工場の前で労働者が座り込みを闘った。また、国際貿易の玄関口であり全コンテナの半分を取り扱う国内最大のタンジュンプリオク港では、荷役労働者が入り口を封鎖して物流を止めた。経済特区のあるバタム島でもストで道路が封鎖され、ジャカルタの西に隣接するタンゲラン市の高速道路出口もデモ隊が占拠、トラックを立ち往生させた。
 ブルジョアジーは「ストは投資環境を悪化させる」「外部依託を規制すれば1千万人が失業する」と叫び立て、ユドヨノ政権は大量の国軍と武装警察を配置、自警団も動員してストを押さえ込もうとし20131105a-3.jpgた。最低賃金をめぐる国家・資本との非和解性が鮮明となり緊迫の度を増す中で、昨年10月の200万人ゼネストに加わった、労組ナショナルセンターとしては最大規模の全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)がゼネストから逃亡した。1998年に打倒されたスハルト独裁政権下から存続してきた御用労組の本質をさらけ出したのだ。マスコミは「スト強行派は孤立している」と宣伝したが、自動車、電機など5つの産別労組からなるインドネシア金属労働組合連合(FSPMI)を軸とするインドネシア労働組合20131105a-4.jpg総連合(KSPI)などが、10月に入ってから連日のように各地でデモに立ち、ゼネストへと上りつめて行った。東ジャカルタ工業団地では、自警団の襲撃を負傷者を出しながら撃退し、ストを貫徹した。
 31日、ジャカルタ特別州での政労使による最賃評議会は、68%増を要求する労組側委員全員がボイコットするなかで州知事への最終案提出を強行、ジョコ州知事は13年比10.4%増の通達に署名した。労組側の要求は「月額220万ルピア(約1万9千円)を370万ルピア(約3万2千円)にせよ」だ。すでに6月から石油燃料の補助金削減が強行され、レギュラーガソリンが44.20131105a-5.jpg4%、電気料金は4月以降15%値上がりしている。10月の消費者物価指数は前年同月比で8.32%も上昇している。生きるためのぎりぎりの要求を踏みにじる暴挙に対し、労働者が市庁舎に押し寄せ、弾劾し、闘争継続を宣言した。大統領通達は1日までに全33州に14年最賃を決定するよう定めたが、12州が発表しただけだ。しかもリアウ州25%、ジャンビ州15.67%、リアウ諸島州22%増だ。団結して闘えば「10%以内」など打ち破れる。4日、首都の労働組合11団体から成るジャカルタ労働フォーラムは、州の最賃決定は断じて認められないとして、6~7日の3日間にジャ20131105a-6.jpgカルタ州庁舎に対し数千人規模のデモをかけることを明らかにした。
 世界大恐慌下で、経常・財政の「双子の赤字」を抱えるインドネシアは、アメリカ帝国主義のデフォルト危機と絶望的あがきに直撃され、新興国の中でも通貨の下落と外資の流失が突出している。ゼネストはユドヨノ政権打倒、プロレタリア革命へと向かう壮大な闘いの始まりだ。そしてそれは、インドネシアの低賃金労働力と資源に群がり、インフラ輸出で生き延びようとする日本帝国主義をたたき出し、命脈を断つ闘いでもある。財政破綻をものともせず決起している米欧の労働者階級、インドネシアの労働者階級との国際連帯を強め、賃金破壊、外注化、社会保障制度解体攻撃と闘い、安倍政権を打倒しよう。(IM)
 写真は上から① インドネシア第2の都市・東ジャワ州スラバヤ市でのデモ。プラカードは「低賃金はゴメンだ」「最低賃金を50%上げろ」「生きられる賃金をよこせ」(10月28日)

写真は上から① インドネシア第2の都市・東ジャワ州スラバヤ市でのデモ。プラカードは「低賃金はゴメンだ」「最低賃金を50%上げろ」「生きられる賃金をよこせ」(10月28日)
② 西ジャワ州カラワン県で路上を埋め尽くすデモ隊。ゼネストに向けさまざまな労組から数千人の労働者が結集した(10月29日)
③ 国内最大規模の北ジャカルタ・タンジュンプリオク港でストに立ち上がった荷役労働者たち。港の入り口を封鎖し物流を止め、港湾労働者の底力をみせつけた(10月31日)
④ ジャカルタ特別州の西に隣接するバンテン州政府に対するデモ。最低賃金を370万ルピア(約3万2千円)に上げるよう要求。州政府は有刺鉄線で内張に汲々(10月31日)
⑤ 東ジャカルタ・プロガドゥン工業団地でスト。青年労働者が先頭に立ち、入居する大日本印刷や富士電機、三菱電機、双日、豊田通商などに怒りをたたきつけた(10月31日)
⑥ 西ジャワ州・東ジャカルタ工業団地でストに入った数千の労働者が武装警官の弾圧をはねのけてデモ。住友商事が出資したこの団地に入居するパナソニック、セイコーエプソン、オムロンなどの日系企業は大打撃(11月1日) 

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