黒竜江省最大の鉄鋼会社で賃金不払い、3000人の大ストライキ 破局化する中国経済
6月30日、黒竜江省最大の鉄鋼会社西林鋼鉄グループ(以下、西鋼グループと略)で、賃金の未払いに抗議して、3000人を超える労働者のストライキが爆発した。労働者一人あたりの未払賃金額は1万元を超えるという。1万元は日本円では約17万円にあたるが、これがここの労働者の5ヶ月分の賃金である。「家族3人だが、働いているのは私だけで、賃金を払ってもらえなければ、やっていけない」と、ある労働者は訴えている。労働者は「賃金を支払え!」と、早朝3時からストライキに突入し、ハルビン駅から伊春駅に至る鉄道(鉄路)を占拠した。この労働者の闘いにより、列車の運行は完全にストップした。この線は西鋼グループに接する唯一の国有鉄道であり、会社に与える打撃が大きい。武装警官が配備されたが、西鋼の労働者たちは一歩もひかず、この弾圧と徹底対峙して、会社と政府に対する怒りをたたきつけた。
西鋼グループは、経営の行詰まりから200億元を超える巨大債務を抱え、従業員に2月から5ヶ月間にわたって賃金が支払えなくなった。ここには単に西鋼グループの経営破綻にとどまらない、深刻化する中国経済の危機が反映している。
西鋼グループは、1966年に創立され、当初は国有企業であったが、「国有企業改革」のもとで2005年に民営化された。その後、第11次五カ年計画(2006~10年)の期間、バブル経済の中で事業も拡大し、2012年には黒竜江省の全鉄鋼生産量の49%を西鋼グループが占めるようになる。だが一方で、危機も進行していた。経営拡大のための負債の拡大は、バブル期には表面化しなかったが、その後、中国経済の行詰まりとバブル経済の崩壊が進む中で、一挙にその危機を爆発させたのである。2012年の末には、すでに240億元(4080億円)の負債を抱えていた。これはほぼ、このグループの資産総額(99.78%)にあたる。今年に入って3月末の負債総額が190億元に減少したと会社は発表したが、「負債を支払った金がどこからきたのか分からない」(会社幹部)という有り様で、到底信用出来ない発表である。
倉庫にある工場の製品には「銀行及び他の工場以外、この封印を解くことを禁じる」と書かれた封印がはられ、それどころかクレーンなどの工場の生産設備にも同様の封印がはられている状況である。要するに製品も設備もすでに差し押さえられているのである。ある労働者は「工場が生産を続けるにしても、すでに何も生産できない。私たちは依然出勤しているけど、基本的にやる仕事がない」と言っている。
こうした状況にもかかわらず、会社側は「正常に生産が行われており、そんな深刻な状況はない」と称し、7月1日の中国共産党創立記念日活動の準備を進めていたのである。その前日にこのストライキは爆発したのだ。
黒竜江省は中国東北部にあり、東北部は日帝によるニセ満州国植民地支配の時代から一貫して中国の重工業の中心地であった。特に鉄鋼生産は、その要とも言える。その鉄鋼業の大手であり、数年前までは好景気に潤っていた西鋼グループが、バブル崩壊の中で一挙に経営不振に陥っている。鉄鋼産業は全製造業の基盤であり、鉄鋼生産がゆきづまることは、その国の経済活動のゆきづまりを意味する。つまり、今本格化しつつある中国バブル経済の崩壊と中国経済のゆきづまり、その深刻さが、今回の西鋼グループの経営破綻に鋭く示されているのである。
そしてその中で、「生きさせろ!」という労働者階級の怒りの決起が資本と政府を真っ向から弾劾して拡大しているのである。今中国のバブル経済の破綻は、金融危機に発展しようとしている。余りにもすさまじい歴史的な事態が私たちの目の前で進もうとしているのだ。その中で、中国の労働者の爆発的な決起は不可避の状況である。
新自由主義との対決が、ここでも鋭く求められている。中国の労働者との連帯をかけて、国鉄決戦を基軸に、今夏の闘いから11月へと進んでいこう!
*写真は上から、1、工場が接する伊春駅前の広場に集まってストライキを闘う西鋼グループの労働者
2、ハルビンから伊春までの鉄路を占拠して列車を止め、「賃金払え!」と抗議する労働者
3、動員された警察部隊と真っ向から対峙して闘う。
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