10・12三里塚 農地裁判弁論闘争勝利の報告に沸く
10月12日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国総決起集会が、成田市東峰で開かれた。快晴にめぐまれ、910人の労働者、農民、学生、市民が全国から結集し、10・8農地裁判控訴審弁論闘争の勝利を謳歌し、農地死守・第3滑走路計画粉砕・安倍政権打倒を誓う総決起の場になった。
集会場は東側誘導路に包囲されながら空港敷地を食い破っている東峰・萩原さんの「清水の畑」だ。騒音をまき散らして離着陸を繰り返すジェット機の機影を背景に、組み上げられた演壇には、昨年末に急逝した萩原進事務局次長の遺影が飾られている。
午前11時から全国労組交流センターの前段集会が意気高く闘いとられ、正午から本集会が伊藤信晴さんの司会で始まった。冒頭に萩原進さんへの黙祷を捧げた。
最初に北原鉱治事務局長が主催者あいさつに立ち、「10月8日の農地裁判で弁護団はよく闘い、NAA・県側は一言も発することができなかった。だが裁判闘争だけでは勝てない。市東さんは日本農民の未来を担っている。今日一日の集会・デモを闘いぬこう」と参加者を鼓舞激励した。
続いて、反対同盟事務局からの報告として萩原富夫さんが立った。「おやじ(進さん)の遺志を継いで、原点に返って闘う」と決意を述べた上で、4日前の10・8裁判闘争を「NAAには一片の正義もないことが明らかになった。われわれは完全に勝利している」と総括した。そして、成田空港強化・拡大のたくらみを怒りを込めて弾劾し、「安倍政権の集団的自衛権閣議決定は戦争突入宣言だ。軍事空港完成を阻むため、三里塚は実力闘争を貫く」と宣言した。そして来春3月4日の次回農地裁判控訴審弁論と3・29三里塚全国集会に向けて奮闘することを明らかにした。
特別報告として、最初に動労千葉の田中康宏委員長が登壇した。安倍政権の戦争政策と労働者への「解雇自由・非正規職化」の攻撃を鋭く批判しながら、この状況の核心を「支配の崩壊だ」と指摘した。そして「団結すれば勝てるという展望が求められている。反対同盟はそのことを50年にわたり示し続けてきた」と三里塚の意義を強調した。そして動労千葉の民営化・外注化粉砕のスト、動労水戸のスト、国労郡山工場支部の闘いの意義を誇り高く確認し、戦争と民営化攻撃を打ち砕く闘いとして11・2全国労働者総決起集会への大結集を訴えた。
関西実行委の発言に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部から2500筆を超える農地取り上げ反対署名が寄せられたことが、司会の伊藤さんから報告された。
ひときわ大きな拍手に迎えられて、天神峰の市東孝雄さんが登壇した。「裁判は勝利的に進んでいる。私がおやじの跡を継いで“闘魂ますます盛んなり”と壇上で述べてから15年たった。みなさんの力があってこそやってこれた。ここ天神峰に住みこれからも生きていく」と、揺るぎない信念を表した。
続いて反対同盟顧問弁護団が発言に立った。事務局長の葉山岳夫弁護士は、10・8裁判で市東さんの意見陳述、弁護団の陳述をかちとり、NAAと県を徹底追及し「12月までに認否・反論の提出」を裁判長に命じさせたこと、さらに耕作権裁判における文書提出命令確定を報告し、重大な勝利を確認した。そして安倍政権打倒へ向け、階級的労働運動、全国農民の闘いとの連帯の意義を強調し、裁判勝利を誓った。さらに弁護団一人ひとりが発言し、決意を表した。
市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が壇上を埋めて連帯発言を行った。群馬・守る会事務局は、9・28国鉄集会の成功を報告し、35年前の「三里塚を闘う全群馬実行委」の旗を掲げながら11・2労働者集会への決起を呼びかけた。
婦人行動隊の木内敦子さんのカンパアピールに続き、司会を宮本麻子さんに交代した。
沖縄・市東さんの農地を守る会に続き、福島から3・11反原発福島行動呼びかけ人の椎名千恵子さん、福島診療所建設委員会の渡辺馨さんが発言した。椎名さんは「福島も三里塚も目指すところは同じ、この国のあり方を変えること」と訴え、渡辺さんは「子どもの未来を奪う原発再稼働を許さない」と安倍政権への怒りをあらわにした。
全国農民会議は、おなじみとなった緑色ののぼりを林立させて登壇し、山梨の農民と共同代表の小川浩さんが、市東さん農地決戦への熱い連帯を表した。小川さんは安倍農政によって日本農民は闘わなければ生きられない状況を強調した。
部落解放運動を代表して全国水平同盟西郡支部が初めて登壇した。八尾市の丸ごと民営化・住宅追い出し攻撃と闘いぬき、全国水平同盟高槻支部を結成し、さらに植木団地労働組合を結成した大勝利を高らかに報告し、三里塚との連帯を表した。
さらに婦人民主クラブ全国協議会の三浦正子代表、「星野文昭さんを取り戻そう全国再審連絡会議」の星野暁子さん、動労水戸の石井真一委員長などが次々と発言した。石井さんは常磐線竜田延伸阻止を掲げてのストを高らかに報告した。
共闘団体の発言として、白ヘル姿の全学連が真っ先に登場した。斎藤郁真委員長は、市東さんの農地を守ることは、農民の誇りをかけた闘いであると同時に戦争阻止・国際連帯の闘いであることを突き出し、10・21国際反戦デーと11・2へのみなぎる決意を表した。さらに沖縄大学学生自治会の赤嶺知晃委員長が辺野古基地建設阻止の決意を述べた。
太郎良陽一さんの集会宣言朗読に続き、野平聰一さんの音頭での団結ガンバローを行って、意気高くデモ行進に出発した。
轟音を上げて数分おきにジェット機が頭上40メートルを飛ぶ東峰地区を通り、市東さん宅前の天神峰の畑を横に見ながら、反対同盟を先頭に長蛇のデモ隊列は進んだ。第3誘導路を突っ切り、さらに今回のコースは取香地区へと回り、LCC(格安航空)専用ターミナル建設工事現場に迫った。来年3月の完成へ向けて進められ、さらにこの取香地区住民を追い出して空港敷地を際限なく拡張しようとしている。
反対同盟とデモ隊は怒りを胸に、住民との結合を強め、没落する成田空港を必ず廃港に追い込む意気込みで行進した。
デモの到着地は、誘導路をへの字に曲げている市東さんの南台の畑だ。豊かな土と作物が眼前に広がった。この場所が国策との闘いの最前線であることを一同は実感し、「農地死守」を反対同盟とともに誓った。(TN)
この記事へのコメントはありません。