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三里塚 第3誘導路裁判、「成田に公共性はない!」と被告・国を弾劾

20150709a-1.JPG 7月7日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、天神峰の市東孝雄さんを追い出すためだけに造られた第3誘導路への怒りを胸に、この日の闘いに臨んだ。
 航空法第39条には、「空港等の設置によつて他人の利益を著しく害してはならない」と書かれている。成田空港、とりわけ第3誘導路が、地元住民の利益を著しく害していることは明白だ。ところが被告・国は、住民の生活を侵害していても、空港に「公共性」があり、それなりの補償金を払えば問題ないと臆面もなく言う。とんでもない暴論ではないか!

20150709a-2.JPG 今回弁護団は、準備書面を陳述し、このインチキな「公共性」論を根底から批判した。
 成田空港の整備が「国際競争力強化だ、経済成長だ」と空叫びしても、航空需要は減り続け、成田は国際競争にも敗退し、羽田との競合にも破れ、地盤沈下の一途をたどっている。対して、市東さんの有機農業は、人間の生活・生存の基盤に位置するものだ。この営農を存続できなくするような空港に公共性、公益性など何ひとつない。
 また国は、騒音被害は「他人の利益の侵害」に含まれないなどと主張し始めた。そして反対同盟が行った成田空港周辺での騒音調査の結果や、自衛隊機飛行差し止めを認めた第4次厚木基地爆音訴訟判決での被害の認定基準にも難くせをつけてきた。
 実際には、厚木の航空機騒音は北海道大学の松井利仁教授の測定・分析によって、WH0が定めた「欧州夜間騒音ガイドライン」をはるかに超え、広範な住民の健康に深刻な悪影響を与えたことが証明された。そして成田の夜間騒音の被害は「厚木の10倍以上」(松井教授)という深刻な現実が暴かれたのだ。
 弁護団の追及に対して、十数人も頭数をそろえた国とNAA(空港会社)の代理人弁護士たちは沈黙を続けるのみ。弁護団は騒音問題でさらに徹底的に追いつめることを予告した。次回期日を10月1日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
 最初に葉山岳夫弁護士が立ち、航空機の騒音被害が単に心理的なものではなく、高血圧、心筋梗塞などの健康障害をもたらすことを証明した松井教授の分析・報告を「衝撃的なもの」と述べ、今後も騒音問題が一大焦点になることを確認した。
 さらに葉山弁護士は、6月30日に下された動労千葉に対するJR採用差別事件での最高裁の上告棄却決定を弾劾した。「これで東京高裁・難波判決が確定する。不当労働行為を認定しながら、解雇撤回・JR復帰を認めなかった反動判決だ。一方で安倍は戦争法制を進めている。だが、こうした群がる反動を打ち破ることで大きな展望が開ける」
 さらに弁護団全員が発言し、人民の生活を侵害し破壊する国家、国策が掲げるインチキな「公共性」を断罪した。
 動労千葉、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、「最高裁の反動的棄却決定だが、組合員全員がますます怒りを新たに闘っている。安倍自民党政権はぼろぼろだ。7・15国会闘争に総結集して闘おう」と熱く呼びかけた。
 最後に伊藤信晴さんが「国会情勢とともに沖縄、福島でも国家権力との非和解的な闘いが進んでいる。この中で市東さんが“空港絶対反対・農地死守”の原則を守りぬいていることは決定的だ。連帯しともに闘おう」と訴え、集会を締めくくった。(TN)

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