第3誘導路裁判、「成田の騒音被害は厚木の10倍!」
10月1日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、法廷を農地強奪攻撃への怒りで満たし闘いぬいた。
この裁判では今、騒音問題が争点となっている。弁護団は準備書面を陳述し、第4次厚木基地爆音訴訟控訴審判決の意義を確認しながら、成田空港が日々発する巨大な騒音の反人民性を明らかにした。
7月30日、東京高裁は周辺住民による第4次厚木基地爆音訴訟において、①自衛隊機の夜間飛行差し止めを認め、②過去の損害賠償とともに将来の損害についても国に94億円の賠償を命じた。③米軍機の飛行差し止めについては認めなかった。①②は一審判決から踏み込んだ内容だ。住民の健康被害について、騒音による「睡眠妨害の被害の程度は相当深刻」と認め、厚木基地周辺の騒音状況をWHO(世界保健機関)が示したガイドラインに照らして詳細な検討を加え、「午後10時から午前6時までの自衛隊機運航は違法」との判断を下した。具体的には、85W(Wは航空機騒音測定の単位で〈うるささ指数〉とも呼ばれる)以上の地域について、高血圧、心疾患などの「身体被害」「身体障害」に連なる重大な騒音レベルと指摘した。
成田空港周囲においては、上空飛行、離発着、走行などから常に激しい騒音にさらされている。空港は一個の「騒音工場」とみなすことができ、騒音規制法・公害防止条例に違反している。誘導路にはさまれた天神峰の市東孝雄さん宅は95W、東峰の萩原富夫さん宅は75W以上である。75Wの騒音地域に5469戸の民家があり約2万人が住んでいる。70デシベルを超える夜間騒音が発生する回数は天神峰で一日平均11・5回。これは厚木の約10倍だ。裁判所は天神峰・東峰の住民の健康のために、成田B’滑走路と第3誘導路の供用を差し止めなければならない。
弁護団の鮮明な陳述は居並ぶ国・NAAの代理人を完全に圧倒した。
次回期日を12月22日として閉廷した。
近くの会場で、報告集会が行われた。伊藤信晴さんの司会で、葉山岳夫弁護士を始め弁護団全員が発言し、騒音問題が住民の生活にさまざまな支障をきたすだけでなく、直接に病気の原因となって襲いかかる深刻なものであることが参加者の共通の認識となった。そして、「空港は工場ではないから騒音規制は関係ない」と恥知らずな居直りをはかる被告の国・NAAを弾劾し、今後も騒音問題を徹底追及し、農地裁判と一体の闘いとして勝利をめざすことを確認した。
質疑応答の後、動労千葉と関西実行委が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、改悪労働者派遣法の施行を弾劾し、出向者全員をJRに戻すことを要求して幕張車両センターでストに入ったことを報告した。そして、10・11三里塚全国集会へ全力で取り組むことを明らかにし、参加者全員を奮い立たせた。
集会後、反対同盟と支援連は千葉市繁華街での情宣活動に立ち、市東さんの農地の強制収用を許さない緊急5万人署名への協力を労働者・市民に熱く呼びかけた。(TN)
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