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三里塚・新やぐら裁判、NAA「土地買収」の違法を追及

20180417a-1.jpg 4月16日、新やぐら裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、「農地死守」の決意も固くこの日の闘いに臨んだ。
 この裁判は、市東孝雄さんの天神峰の畑に建てられたやぐら・看板などの4つの物件について、成田空港会社(NAA)が反対同盟に対し、「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したものだ。
 弁護団は今回、準備書面14を陳述し、合わせて求釈明を行い、NAAの農地買収が無効であり、NAAが明け渡しを要求する資格がまったくないことをあらためて突き出した。
 NAAは、「空港施設用地に転用することを目的にして市東家の耕作地の底地を地主から買収した」と主張している。だが――
 ①「買収」当時の1988年、平行滑走路、誘導路などの工事予定は立っていなかった。転用許可申請の時点で、詳細な事業計画の提出と審査が義務付けられるにもかかわらず、天神峰には5戸、東峰には8戸の農家が存在し、着工時期、完成時期などの具体的計画など立てようもなかった。農地法第5条違反だ。

20180417a-2.jpg ②転用目的の農地買収には、小作人の「小作権放棄」の同意が不可欠だ。だが市東家に無断・秘密で「買収」が行われた。やはり第5条に違反し無効だ。空港公団(NAAの前身)は旧地主・藤﨑から南台農地の底地を買収した際に、「所有権移転登記を行うまでの期間、小作料を藤﨑が取得する」との覚書まで交わしていた。「買収」の事実をひた隠しにするため、藤﨑は今まで通り市東家から地代を受け取っていろということだ。15年も経過してNAAは市東さんに対し「土地は買収した。賃貸借契約は終わりだ。明け渡せ」と言い出した。なんという卑劣なやり口か!
 ③1967年に追加制定された農地法施行規則7条11項は、空港のための農地買収・転用について知事の許可は不要としているが、これはとんでもない違憲・違法の代物だ。農地法5条の趣旨をふみにじり、空港建設予定地から農民を追い出すためのものであり、無効だ。
 ④空港公団は「買収」当時には都内に住所があり、この土地取得は「不在地主」による小作地所有であり、農地法第6条違反だ。原告NAAは「用地取得が全体として計画通り進まなかったから」と言うが、言い訳にもならない。15年も隠して保有するとは、耕作者主義の農地法の趣旨に真っ向から反している。
 「不在地主」の違法状態を農業委員会が認めた時は、国が強制的にその土地を買収し、現にそこを耕作している人に最優先で売り渡さなければならない(農地法第8条、9条)。だがNAAはひたすら自分の悪事を隠ぺいし続けてきた。
 このような違法・脱法を重ねていながら、いかなる法的根拠で自分が地主だと言い張るのか、NAAは釈明してみろ。請求を直ちに取り下げろ!
 また弁護団は、「公団は、天神峰農地の旧地主・岩沢との間でも、藤﨑と同様の覚書を交わしていたことは明らか」として、文書提出命令申し立てを行った。さらに弁護団は、現時点で18人に及ぶ人証調べの計画を裁判所に提示した。
 弁護団の追及に対し、NAA代理人は終始うつろな表情で「検討して次回までに……」と繰り返し、その無責任で卑劣な態度が傍聴席から一層強い怒声を浴びた。
 次回期日を7月9日、次々回を10月1日として閉廷した。
 近くの会場で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。葉山岳夫弁護士を始め弁護団がこの日の争点を解説し、本裁判が早期結審の敵のもくろみを打ち砕き、市東さんの農地への明け渡し強制執行を阻む闘いとして存在していることを確認した。
 動労千葉と「市東さんの農地取り上げに反対する会」が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、安倍政権の危機とJR東労組崩壊の情勢を語り、労農連帯を固めて前進することを訴えた。
 最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、三里塚現地と全国の力で市東さんの農地を守ることを熱く訴え、4月22日(日)の天神峰カフェと7・8天神峰樫の木まつりへの参加を呼びかけた。(TN)

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