香港 警察の暴行隠ぺいを許さない 政府の調査報告に怒り爆発
5月10日、230人が逮捕された「母の日街頭行動」の大激突以降、香港での闘いは連日の激闘に突入している。
集合禁止うち破り連日の行動に立つ
新型コロナウイルスを理由にして、いまだ「公共の場での9人以上の集合禁止」が継続する中、労働者・学生は、この規制と対決して、13日(林鄭月娥香港行政長官の誕生日)に「一緒に歌おう」行動、16日に「一緒にショッピング」行動に、連続的に立ち上がっている。逮捕者を出しながらも警察の弾圧に屈せず昨年以来の闘いを復活させつつある。
これに対して香港政府は、激しい弾圧に出てきている。5月15日には、「逃亡犯条例」反対デモで最初の死者となった梁凌杰氏を追悼する集会が開催された。一方で同日、昨年6月12日のデモで不当逮捕された22歳の海難救助員に対して、警察に傘を投げたことが暴動罪とされ、懲役4年の有罪判決を出した。これは香港政府が昨年来のデモ、とりわけ青年の決起におびえていることを示している。多くの青年が彼の激励に駆けつけた。
さらに同15日、林鄭は、労働者民衆が求める5大要求の一つで「警察の暴行を調査する独立調査委員会設置」について再度否定するとともに、林鄭が任命した「警察苦情処理独立鑑札委員会」の報告書を「香港の真相」と題して発表した。
報告書では「昨年のデモは公共の安全に対する今日最大の挑戦である」とし、「デモ活動は過去10カ月で変質し、暴力のレベルが高まり、早くからテロリズムがめばえ、経済に対する破壊となった」「警察は命の危険にさえさらされ、そこで12件の実弾発射事件が起こり、19発の実弾を発射した」などと、労働者・学生のデモをテロリズムと規定し、警察の実弾発砲までをも擁護する中身であった。さらに、問題となっている警察の個々の暴行事件についても事実を隠蔽(いんぺい)し、警察側を基本的に正当化する内容だった。
「国歌条例案」審議
再開を許さない!
林鄭政権は「国歌条例案」の立法会での審議を5月27日から再開しようとしている。国歌条例案は、中華人民共和国国歌の尊厳を守り、侮蔑行為を禁止し、小中学校での国歌とその精神を教えることなどを定めるものである。この条例案は昨年1月23日に審議入りしたが、中断されていた。「逃亡犯条例」改悪とともに、香港を中国と一体化させるものである。5月18日にも議会審議を阻止しようと民主派の議員が抗議し、激突した。
またこの動きと一体で、4月24日に行われた今年度の大学入試統一の試験で、「1900〜45年の日本は中国に弊害以上に利益をもたらした」とする説をどう考えるか、という筆記問題が出されたことに対して、中国政府は「日本の侵略を美化するものだ」と香港での歴史教育への筋違いな激しい批判に入っている。これも、「国歌条例」などで「愛国教育」を行い、中国を批判する香港デモを封殺するためである。
香港でデモの再度の爆発と、中国政府と香港政府の弾圧が激しく始まっている背景の一つには、新型コロナで延期されていた全国人民代表大会が、今月22日より開催されることがある。
今回の全国人民代表大会は、新型コロナ発生段階で事実を隠蔽し、また経済も崩壊させた中国政府への激しい批判の中での開催になる。すでに、多くの政府に批判的な人士やジャーナリスト、活動家の拘束が相次いでいると伝えられている。批判を封じ込めるためも香港の闘いをつぶそうとしているのである。中国政府が香港政府とともに危機を深めているのだ。
今、世界を変えるチャンスが到来している。今こそ国際連帯を!
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