第3回天神峰樫の木まつり―「成田B滑走路閉鎖」を体感しデモと交流集会
7月12日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で第3回天神峰樫(かし)の木まつりが開催され、地元住民を含む労働者・学生・市民140人が参加した。
強い日差しが照り付ける午後0時30分、成田空港B滑走路を目の前に見る市東孝雄さんの南台の畑に集合。かつてジェット機がひっきりなしに離着陸と走行を繰り返し、あたりを騒音で満たしていた状況は完全に一変した。畑の作物が力強く育っているのはそのままだが、機影も騒音もなく、聞こえるのはわずかな風の音のみ。豊かな農村地帯としての本来の姿が今ここにある。
デモ出発前の打ち合わせで、最初に東峰の萩原富夫さんがあいさつした。「B滑走路が閉鎖され、実に穏やかな暮らしになっています。騒音が消えて市東さんも体調がよくなったそうですが、あらためて騒音のもたらす健康被害の重大さを実感します」
続いて野戦病院の大熊寿年さんが三里塚裁判の現状を報告し、7月16日の新やぐら裁判(千葉地裁民事第2部)で、4月に東京高裁に異動した内田博久裁判長が「職務代行者」として舞い戻ってきて開廷と結審をもくろんでいることを弾劾した。さらに9月2日に東京高裁で開かれる請求異議控訴審への大結集を呼びかけた。
決戦本部長の太郎良陽一さんの音頭で団結ガンバローを三唱し、意気高くデモに出発した。大量動員された機動隊が規制に乗り出すが、B滑走路閉鎖という眼前の事態に打ちのめされてまったく迫力がない。反対同盟宣伝カーからは、婦人行動隊の宮本麻子さんが「農地死守・強制執行阻止」を一帯に訴えた。完全に沈黙し、もはや無用の長物と化した滑走路・誘導路を確認しながら、デモ隊は天神峰の市東さん宅南の東峰開拓組合道路までのデモ行進を貫徹した。
1時30分、樫の巨木が涼しい影をつくる市東さん宅離れの中庭を会場に、宮本さんの司会で交流集会が始まった。
最初に萩原さんが、「飛行機利用者が激減し、航空会社や空港自身の経営危機が進んでいる。反対同盟が掲げてきた『空港廃港』のスローガンがついに現実のものになろうとしている。NAAという倒産会社が市東さんの農地を奪うことなどありえない! 反転攻勢に打って出るチャンスだ」と一同に奮起を促した。
続いて動労千葉の川崎昌浩書記長が、三里塚と連帯して安倍政権への反撃に立つ決意を述べ、7・26国鉄闘争全国集会への参加を呼びかけた。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」の発言に続き、空港周辺の騒音下に暮らす住民が「未来の生活環境を守るために皆さんの協力を」と訴えた。
コロナ情勢のもとで、会場では前回までのような飲食の提供は控えられたが、スイカと麦茶がふるまわれ参加者ののどを潤した。
「浪花のパギやん」こと趙博さんの弾き語りミニライブをはさみ、さらに全学連の斎藤郁真前委員長、星野全国再審連絡会議共同代表の狩野満男さん、動労水戸の木村郁夫委員長、婦人民主クラブ全国協議会の鶴田ひさ子事務局長、大坂正明さん救援会などの発言が続いた。
さらにくじ引き抽選会が行われ、反対同盟のバッジ、はちまき、Tシャツ、野菜セットなどの賞品が番号札をもとに「当選者」に手渡され、笑顔と歓声が弾けた。
市東さんが締めくくりのあいさつに立った。「B滑走路閉鎖で今飛行機は飛んでいませんが、いずれ空港側の攻撃が来ます。その時まで力を蓄えるためにも、今回はいい集まりでした。コロナ問題と九州などの豪雨被害の中で、今日の樫の木まつりをどうしようかとも思いましたが、皆さんの明るい顔も見られて本当に開いてよかったと思います。コロナや災害に負けず、皆さんとともに三里塚闘争をますます強固なものにしていきます。ありがとうございました」
最後に太郎良さんが、9月27日に成田市内で三里塚全国集会を開くことを報告し、団結ガンバローの音頭をとった。
和やかな雰囲気の中で、参加者全員が成田空港「存亡の危機」と三里塚勝利の手応えを実感し、あらためてこの農地を守り抜く決意を共有した。(TN)
◎新やぐら裁判
7月16日(木)午後1時30分開廷
千葉地裁601号法廷
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