原爆ドーム前で記者会見 「核戦争を絶対許さない!」ヒロシマから全世界へ訴え
ロシア・プーチンのウクライナ侵略戦争が激化の一途をたどっている。ウクライナ人民に再び核の惨禍が強制されるなど、絶対に許すことができない。また、アメリカ大統領バイデンは一般教書演説で「これは民主主義対専制主義の闘いだ」と世界を恫喝(どうかつ)し、対ロシア非難・制裁で結束強化を図っている。
ウクライナ侵略戦争は世界核戦争―第3次世界大戦にもつながりかねない。今すぐにこの戦争を止めなければ!という思いから、広島の被爆者、被爆2世・3世の9人が呼びかけ人になり、3月3日に緊急声明(別掲)を発することになった。当日夕方5時30分からの原爆ドーム前記者会見は、呼びかけ人を先頭に参加者が次々と思いを語り、世界中の労働者民衆に反戦反核への決起を呼びかけるものとなった。
特に、安倍元首相の行った「米軍との核共有」発言をヒロシマから厳しく弾劾した。今、岸田首相が国会などで安倍発言の「火消し役」を担っている。しかし実際には、岸田政権は中国侵略戦争に向けた沖縄・岩国への中距離核ミサイル(INF)配備や原子力潜水艦に転用可能な小型モジュール炉開発を進めるなど、日本の核武装への準備を進めている。これについても鋭く批判した。
この日は緊急の呼びかけにもかかわらず、原爆ドーム前には飛び入りも含めて40人が参加。仕事帰りの多くの人もチラシを受け取り、気持ちを共にした。新聞やテレビも多数取材してくれ、中には全国報道したところも。そのニュースを見た人から励ましのメールも届いており、被爆地から声を上げる重要さを改めて実感している。
8・6ヒロシマ大行動実行委員会が呼びかけているINF配備反対署名を、今こそ全国で集めてください!(8・6ヒロシマ大行動実行委員会 K)
緊急声明
第3次世界大戦(核戦争)の道を開くウクライナ戦争反対!——広島の被爆者、被爆2世・3世からの訴え
2022年3月3日
〇ウクライナ侵略を今すぐやめろ
ウクライナの支配・分割をめぐるアメリカ・NATO(北大西洋条約機構)とロシアの争奪戦がついに戦争となった。2月24日、ロシア・プーチン大統領は一方的な軍事侵攻を開始。ゼレンスキー政権の転覆、あるいはウクライナのロシア編入にさえ踏み込もうとしている。ロシアへの対応を巡って、アメリカ・NATOは事前の計画通りSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア排除を決定。一方で中国はこれに反対するなど、大国同士の争闘戦は激化し、第3次世界戦争の危機が深まっている。
今もウクライナの労働者民衆はウクライナに留(とど)まり、多くの死者と破壊を強制されながらもロシア侵略軍と戦い、首都キエフを防衛している。ウクライナの激しい抵抗に対してプーチン大統領は27日、核戦略部隊への出動命令を出した。以前から「ロシアを妨げようとする者は歴史上見たこともないような結果を見ることになる」と言っており、核戦争が現実のものとなりかねない。
〇再びの核戦争阻止、これ以上被ばく者をつくるな
かつて、アジア植民地支配を巡る日米帝国主義の戦争が、ヒロシマへの原爆投下に至ったような歴史が繰り返されてはならない。「黒い雨」被爆者訴訟で明らかになった76年以上続く「放射能の脅威」の中を生き抜いてきた我々被爆者・2世・3世は、ウクライナ民衆の頭上に核が炸裂(さくれつ)することを絶対に許さない。アメリカが朝鮮戦争(1950~53年)において核兵器の使用を公言した時、それを阻止したのは被爆者の怒りの抗議行動だった。今被爆者とその家族である我々は再び立ち上がり、ウクライナ民衆に塗炭の苦しみを強制する核戦争を阻止するために声を上げる。チェルノブイリ原発からの被曝に苦しむウクライナ民衆にさらに核攻撃を行うなど、絶対に許されることではない。ロシアをはじめ、全世界で湧き上がる労働者民衆のウクライナ反戦の怒りのデモと連帯する。
〇安倍元首相の「核共有発言」弾劾!
ウクライナ危機の中、安倍元首相の行った「米軍との核共有」発言は、中国への核戦争をあおるものだ。この発言はまた、ウクライナのみならず東アジアも核戦争の瀬戸際にあることを明らかにした。核兵器禁止条約をあざ笑うかのような日本の支配者を我々は許さない! そのための敵基地攻撃能力保有=中距離核ミサイル配備、憲法9条(戦争放棄)の改悪を絶対に阻止する!
被爆者・2世・3世は絶対に核戦争を阻止するため、何度でも立ち上がる。この危機を乗り越えられるのは労働者民衆の国際的な反戦闘争だけだ。全世界のみなさん! 「ノーモア ヒロシマ、ノーモア ナガサキ、ノーモア チェルノブイリ、ノーモア フクシマ」の声を世界中で発し、ウクライナへの核戦争を阻止しよう!
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