三里塚反対同盟が芝山で集会とデモ―「相川前町長の妨害を打ち破った!」
3月27日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する芝山現地闘争が、労働者・農民・学生・市民285人の参加で意気高く闘い取られた。集会場は、相川勝重前町長の妨害を1年がかりで粉砕してついにかちとられた芝山文化センター(千葉県山武郡芝山町)だ。
芝山町は成田空港の南側に接し、開港以来激しい騒音にさらされてきた。そして国とNAA(成田空港会社)によって一方的に、「空港機能強化」として北部の1千ヘクタールもの広大な地域が第3滑走路(3500メートル)の建設予定地とされ、多くの住民が追い出され、田畑、山林がつぶされようとしている。この文化センターはかつて国土交通省主催の機能強化推進へ向けた「公聴会」でも使われてきたが、ついに反対同盟が同じ場所で町民の声を背景に「空港反対」の集会を開くに至ったのだ。
開会に先立ち、現地闘争本部が作成したスライドが上映された。市東さんの農地をめぐる裁判闘争、強制執行攻撃との闘い、第3滑走路建設計画の内容、文化センター貸し出し拒否との攻防、改憲・戦争・軍事空港造りとの対決、そして新たな闘争課題となった気候変動問題などが豊富な写真を駆使して解説された。
前半の司会を務める決戦本部長・太郎良陽一さんが開会を宣言した。
芝山町の白桝地区に住む伊藤信晴さんが主催者あいさつに立った。ウクライナに対するロシア・プーチンによる侵略戦争への怒りを表した上、米バイデン大統領や岸田首相がさも人民の苦境を考えているかのように「ウクライナ支援」を唱えることを弾劾し、この戦争の一端を日米帝国主義が担ってきたことを指摘した。そして昨年4月1日から市東さんの農地への強制執行に対する監視・実力阻止態勢をとり、この1年一指も触れさせず勝利したことを報告した。さらに、相川前町長による妨害を丸1年の攻防で完全に打ち破り、この会場で集会を行っている勝利を確認した。動労千葉、関西生コン支部の闘いへの共感を表し、反対同盟の「空港絶対反対、農地死守」の基本原則を貫いて闘うことに、ウクライナ人民との連帯し改憲・戦争を阻止する道筋があることを強調し、この激動情勢を勝利に向けて闘うことを誓った。
この反対同盟の決意と展望に参加者全員が熱い支持の拍手を送った。
続いて、この日参加できなかった東峰の萩原富夫さんのメッセージが、婦人行動隊・宮本麻子さんによって代読された。「空港利権に群がるしかない町のあり方は、豊かな農村環境を破壊し、結果として町がなくなる方向へと進んでいる」と批判した上、環境破壊、気候変動、異常気象、食糧危機の緊急性重大性を強調した。そして機能強化攻撃を「気候変動を促進し戦争を準備する、百害あって一利なしの政策」と断じ、この秋のB滑走路延伸工事着工との対決を訴えた。
連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が登壇した。現実の戦争が起きている中で「犠牲にされるのはいつも労働者民衆だ。労働者は互いに銃を向け合うのではなく国境をこえて団結しよう。世界中で戦争反対を闘う仲間との連帯の中にこそ、戦争を止める力がある」と語気を強めた。そして労農連帯を強固に発展させ、岸田政権の改憲・戦争、沖縄・南西諸島ミサイル基地化などの攻撃と実力対決することを訴えた。国鉄職場での闘いとして、3月ダイヤ改定、業務融合化攻撃を「安全の切り捨て」と弾劾し、国軍の弾圧と闘うミャンマーの仲間と連帯し25年目を迎える11月労働者集会の画期的成功に向けて奮闘することを呼びかけ、「労働運動再生へ向けてともに闘おう。市東さんの農地を死守しよう!」と結んだ。
関西実行委のあいさつに続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の西山直洋執行委員は、生コン業界でかけられている労働条件・賃金への攻撃を暴き、不当弾圧との熾烈な闘いを報告した。そして、大阪で開く5・28総決起集会への参加を呼びかけ、三里塚との連帯を誓った。
天神峰の市東孝雄さんが発言に立った。「昨年6月8日に最高裁が請求異議の上告を棄却しました。NAAはいつでも私の農地に手が出せる状況ですが、みなさんとの団結のおかげでどうにか食い止めています。今、誘導路の改修工事などが行われています。しかしこの空港は果たして本当に必要なのか。ヨーロッパではCO2削減のため、電車で2時間以内で行ける場所には飛行機を使わないという声が非常に多くなっていると聞きます。芝山の豊かな緑、北総台地をつぶしてまで第3滑走路を造らなくてはいけないのか。福島・沖縄・三里塚が連帯し、一つの闘いとしてこれからも闘います。何事も最後まであきらめない! それを目標に、皆さんと力を合わせて、健康を保ちながら体の続く限り天神峰の畑を耕しがんばります」
市東さんの揺るぎない決意を表す発言に、全員が感動し惜しみない拍手を送った。
続いて反対同盟顧問弁護団が登壇した。事務局長の葉山岳夫弁護士は、プーチンの侵略戦争を怒りを込め断罪した。そして核戦争・世界戦争への拡大を阻止するのはウクライナ、ロシア、全世界の労働者人民の反戦闘争であり、日本では中国侵略戦争へと進む岸田政権の打倒に尽きると断言し、市東さんの農地を守る闘いと反戦闘争の一体性を強調した。
市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が決意表明した。群馬の大塚正之さんは、群馬合同労組の仲間が守る会の先頭で闘っていることを報告した。
全国農民会議の小川浩共同代表は日本農業の危機の現状を訴えた上、米がかつて占領するイラクにおいて「農業の近代化」の名で多国籍企業の農業支配をほしいままにさせたことを暴き、半世紀を超える反戦闘争である三里塚での勝利が世界の戦争を止める近道だと訴えた。
婦人行動隊の宮本麻子さんはカンパアピールに立ち、ウクライナ、ロシアの反戦闘争と連帯して、市東さんの農地を守る決意を表した。
集会後半は宮本さんの司会のもとで、まず芝山町民のAさんが発言に立った。開港から40年以上続いてきた騒音公害の上にさらに機能強化で周辺住民の命と生活を脅かそうとしている空港に憤りを表し、成田空港の深夜早朝の飛行禁止、騒音被害への賠償を求めて提訴することを明らかにし、支援を訴えた。
続いて壇上には決戦本部に集う仲間たちが勢ぞろいし、太郎良さんが最新の「決戦本部ニュース」第37号を読み上げ、「強制執行実力阻止」へともに立つことを呼びかけ、会場の熱気は最高潮に達した。集会の最後に、太郎良さんが行動方針として4月10日の天神峰カフェ、4月25日の耕作権裁判(千葉地裁)などの裁判闘争を確認した。団結ガンバローを三唱し、集会の大成功を確認した。
「機能強化やめろ!芝山廃村化許すな!」の横断幕を掲げ、反対同盟を先頭に約2・5キロのデモ行進に出発。曇り空のもと、宣伝カーから発せられる宮本さんのアピールが一帯に響き、こだまとなって返ってくる。家からじっと見守る住民に、デモ参加者は手を振り激励した。
相川は1997年から24年間も町長の職に就き、住民の声を圧殺しながら空港利権頼みの町政を続けてきた。後釜の麻生孝之新町長も同じ道を進んでいる。だがそれを食い破り、反対同盟の存在にも励まされ、住民の闘いが力強く前進している。今日はその新たな出発点だ。
警察・機動隊の規制をはねのけながら町のすみずみまで声を届け、デモは再び文化センターに到着し、この日の勝利を実感した。(TN)
スケジュール
◎天神峰カフェ 4月10日(日)正午 成田市天神峰の市東さん宅離れ集合
◎第3誘導路裁判
4月22日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎耕作権裁判
4月25日(月)午前9時 千葉市中央公園集合→市内デモ
午前10時30分開廷 千葉地裁
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