三里塚第3誘導路裁判――機能強化工事差し止め訴訟と併合し再スタート
10月21日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で、第3誘導路裁判が開かれた。この裁判では三里塚芝山連合空港反対同盟が国と成田空港会社に対し、B’滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という二つの変更許可処分の違憲・違法を追及し、B’滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めてきた。
そして反対同盟は新たに8月3日、現在進められようとしているB’滑走路の再々度の北延伸による3500メートル化、C滑走路(第3滑走路)新設という施設変更許可処分(20年)の無効確認、およびその工事の禁止を求める訴えを千葉地裁に起こした。
この新たな訴訟がこれまでの第3誘導路裁判に併合され、この日、最初の期日を迎えた。基本計画を無視して野放図な施設建設と敷地拡大を続ける成田空港建設の経過と存在そのものを問う裁判として、再スタートを切ったのだ。
反対同盟顧問弁護団はまず、新たな訴えの趣旨を述べた。国(国土交通省)は成田空港に関する1966年当時の「基本計画」を改訂し、空港機能強化に向けて「B滑走路を1000メートル延伸し3500メートル化、長さ3500メートルのC滑走路新設、敷地面積を2297ヘクタールに拡大」などの施設変更を許可した。この許可は無効であることの確認を求める。そしてすでにB延伸のための東関道付け替え工事が始まっているが、これら機能強化に関連する一切の工事の差し止めを請求する。
1966年に設定された基本計画では、滑走路の長さや位置、施設・建造物の場所などについて定めていたが、B滑走路計画(2500メートル)はその南側予定地に位置する東峰地区の住民の強い反対によって、当初予定地から北側に1100メートル移動させ、しかも長さも320メートルも短い2180メートルの「B’(Bダッシュ)暫定滑走路」として02年に供用開始した。そしてさらに06年に、北側に320メートル延長して2500メートルにする「変更許可処分」を行い、09年に供用開始した。
このように基本計画に反した野放図な建設を推し進めた上に、今度は基本計画そのものを変更し、さらに北に伸ばして3500メートル化し、新滑走路も造るというのだ。
これらは、航空法第39条で定める空港設置計画の条件、「国土交通省令で定める基準に適合している」「他人の利益を著しく害しない」「敷地の取得が確実」にことごとく違反している。(B’暫定滑走路は基本計画と大きく異なった位置に造られまま、今やNAAはこれを単に「B滑走路」と呼んでいる。)
機能強化は広大な地形や自然環境を破壊するものであり、環境影響評価法にも違反している。着陸帯の幅が十分でないという点では、シカゴ条約(国際民間航空条約)にも違反している。
そして何よりも、この長大な滑走路を持つ空港が、日本政府の戦争準備体制構築のもとで、一大兵站(へいたん)基地、軍事空港として造られ、使われようとしていることは、憲法第9条違反である。
莫大な騒音で住民の睡眠を妨害し健康を破壊することで、憲法第13条(人権保障)、憲法第25条(生存権)にも違反している。
人格権、環境権、生存権、営農権を踏みにじる機能強化は許されない。飛行差し止め、関連工事一切の差し止めを求める!
弁護団はさらに準備書面46を陳述し、2020年施設変更許可処分の違法性と、航空機騒音による住民の健康被害について厳しく指摘した。そして求釈明として「滑走路Bと滑走路B’の関係を明らかにせよ」「国はNAAに対し、航空機騒音環境基準を順守しているどうかの報告を求めているか、改善措置を命じているかを明らかにせよ」と突きつけた。
被告の国、NAAの代理人は旧釈明に応えるかどうかを言明せず、裁判長もそれを容認している。本当に卑劣な連中だ。
次回期日を3月3日、次々回を6月2日として閉廷した。
千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が裁判の解説と闘いの決意を述べ、連帯のあいさつで動労千葉の滝口誠さんが、11・6全国労働者総決起集会への結集を呼びかけた。
最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、「市東さんの農地を守る闘いを広げよう」と訴えた。(TN)
スケジュール
◎団結街道裁判 11月18日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎耕作権裁判 11月28日(月)午前9時 千葉市葭川(よしかわ)集合→集会後市内デモ
午前10時30分開廷 千葉地裁
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