芝山現地闘争―強制執行弾劾し闘いの「第2ラウンド」へ
「成田空港機能強化粉砕!騒音拡大許すな!」を掲げた芝山現地集会が3月26日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で芝山文化センターで行われた。成田市天神峰の市東孝雄さんの農地への2・15強制執行に対する怒りに燃えて、全国から330人が参加した。相川勝重前町長による集会妨害を打ち破ってかちとられた昨年の現地闘争から1年、雨の中を力強くデモ行進に打って出て、生活を破壊する空港との対決を住民に呼びかけた。
冒頭にビデオ「天神峰農地強奪強制執行との激突の記録」が上映された。大量の警察・機動隊を動員したむき出しの国家暴力による2・15強制執行、それを迎え撃った反対同盟と労働者・学生・人民の実力闘争の克明な映像を、参加者は固唾をのんで見守った。全学連が機動隊を撃破するシーンに、何度も拍手が湧いた。
婦人行動隊の宮本麻子さんの司会で集会が始まり、最初に3月10日に急逝された反対同盟顧問弁護団事務局長の葉山岳夫さんに、全員で黙祷をささげた。
東峰の萩原富夫さんが、発言に立ち、酷寒の中での2・15の奮闘をねぎらった。自ら最前線に立ちバリケードを乗り越えて機動隊にダイブしたことにも触れながら、「体を張って実力で闘う三里塚の姿勢を日本と世界に示した。権力を前にしてひるまず、あきらめず、最後まで闘いぬいた意義は大きい。市東さんの耕作権裁判に勝利しよう。騒音訴訟に立ち上がる住民と協力し、反対同盟は『空港絶対反対』で闘う。成田の軍事空港化を許さない」と反対同盟の鮮明な方針をあらためて示した。
続いて「市東さんの農地取り上げに反対する会」と「群馬・市東さんの農地を守る会」が発言した。群馬の労働者は、2・15の現場に自身が駆けつけられなかった悔しさをにじませながら、太郎良さんの「今自分の闘いをしっかりやることが連帯だ」との言葉に励まされ、職場での団交に臨んだことを語った。
全国農民会議共同代表のの小川浩さんは「市東さんへの強制執行は、国家権力が黒幕、裁判所が指示役、機動隊を実行役とする強盗行為だ」と激しい怒りで断罪した。そして、日本の農業危機と全世界的食糧危機の現状を解き明かし、「この社会を変える以外に農民の生きる道はない。労働者階級と連帯し新たな農民運動をつくる」と決意を表した。
2・15を最先頭で担った決戦本部の6人が登壇した。地上での肉弾戦や、市東さん宅離れ屋根での高所籠城を戦い抜いた仲間の発言に続き、逮捕・弾圧を打ち破って戦列に復帰した全学連の3人が並び、代表して今井治郎君が決意を述べた。「市東さんが農地を耕し続けていることが大きな勝利。NAAの反対同盟つぶしのもくろみは粉砕された。成田の巨大軍事空港化を阻止しよう。4月杉並区議選で洞口朋子区議の再選をかちとり、5月広島G7サミット粉砕へ。その力で今度こそ強制執行を止めてやろう!」
全参加者の熱い注目の中、市東さんが発言に立った。農地法裁判での最高裁上告棄却から6年にわたり執行を阻んできた団結の力を確認しながら、「私にとって農地がなくなることは命をもぎ取られた感じではありますが、残っている畑があります。旬の野菜を届けて消費者の皆さんにおいしいと言っていただけることが私の喜びであり、これからも闘い続けます。車の両輪として反対同盟とともに40年闘ってきた動労千葉、そして関西生コン支部、港合同などの労働組合との団結、市民運動、学生運動との団結のもとに闘い、福島・沖縄・三里塚を一つの闘いとしてこれからも闘います。『闘魂ますます盛んなり』の言葉を大事に、明るく闘っていきましょう!」
この市東さんの不動の決意と覚悟に全参加者が胸を打たれ、長い拍手と歓声が続いた。
続いて反対同盟顧問弁護団の2人が発言に立ち、葉山弁護士の闘いを引き継いで、空港建設の手先と化した裁判所と闘い、耕作権裁判に勝利することを誓った。
連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が立った。「農地強制収用の目的は成田の軍事利用と反対同盟つぶしだ。戦争国家化に向けた攻撃は私たちの職場でも『労組なき社会化』攻撃としてかけられている。今こそ階級的労働運動が必要だ。それを示すため3・18―19ストに立ち上がった」と誇り高く報告し、今後も勝利まで車の両輪として進むことを誓った。
関西実行委の安藤真一さんの発言に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の西山直洋さんは、「和歌山事件」での大阪地裁での逆転無罪判決の勝利を報告し、三里塚の実力闘争を若者の間に広げようと訴えた。「市東さんの農地を守る沖縄の会」からは、川野純治さんが連帯発言を行った。福島の椎名千恵子さんが3・11反原発福島行動の成功を報告し、全国農民会議共同代表で酪農家の鈴木光一郎さんの連帯メッセージを、同福島支部の吾妻和位さんが紹介した上、「三里塚で機動隊をぶち破った力をもって、日本の核武装をも視野に入れた福島第一原発の汚染水海洋放出を阻止しよう」と呼びかけた。
婦人行動隊の木内敦子さんがカンパアピールを行い、「若い人たちが実力闘争の先頭に立ったことで勇気と希望を与えてくれた。それを糧に反対同盟は闘いの第2ラウンドに入る」と宣言した。
反対同盟事務局員の伊藤信晴さん(芝山町白桝在住)は、空港機能強化策を厳しく弾劾した。「四者協議会(NAA、国交省、千葉県、周辺9市町)は空港機能強化推進と反対同盟つぶしをもくろんできた。中でも前芝山町長の相川勝重は最も市東さんの農地取り上げを要求した人物。だが、2・15闘争の爆発でその狙いを完全に打ち砕いた。私たちは戦争を絶対に阻止するために機能強化攻撃と闘う」
続いて空港周辺地域の住民2人が登壇し、成田空港の飛行差し止めを求める提訴にいよいよ踏み切ることを明らかにした。
集会は大詰めを迎え、決戦本部長の太郎良陽一さんが発言に立った。反対同盟が築いてきた実力闘争の地平を守り抜き、闘い半ばで生涯を閉じた北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長ら諸先輩の志を継ぐ決意で奮闘し2・15でそれを実現したことを確認した。そして、農地、生活、環境を破壊しながら成田を軍事拠点にし、資本主義の発展に使おうとする策動に激しく怒り、「闘いはこれから。闘魂を固め隊列を大きくしてがんばろう」と訴え、団結ガンバロー三唱をリードした。
降りやまぬ雨の中、反対同盟を先頭にデモ行進に出発した。宣伝カーからは宮本さんがシュプレヒコールをリードし、「第3滑走路建設阻止」の訴えを一帯に響かせた。デモは「芝山はにわ道」を南下後に左折し、住宅と畑にはさまれた道を進む。
開港以来、歴代町政によって「空港との共生・共栄」が唱えられてきたが、「空港のおかげで町が栄えている」気配などまったくない。この上第3滑走路予定地である町北部の田畑、山林、水系などがことごとく押しつぶされ騒音被害が激化拡大すれば、取り返しのつかないダメージとなり、人口減少・廃村化はさらに加速するだろう。
第3滑走路によって、敷地は2倍化し、全長10キロもの巨大空港が出現する。「有事」となれば、米軍・自衛隊の兵站(へいたん)基地として軍事使用される。芝山町民はそんな国策の犠牲になれというのか!
デモ隊は怒りを倍加させ千葉県警の規制を打ち破り、「反対同盟の歌」を斉唱しながら悪天候を突いての周回デモを貫徹した。全員が市東さんの強制執行に対する憤りと「第2ラウンド」に向けた不屈の闘志を心に刻み、勝利を誓った。(TN)
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