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三里塚団結街道裁判―裁判長の「空港拡張の必要性」発言を弾劾

団結街道裁判閉廷後、反対同盟と支援連絡会議は午後に千葉地裁前で「市東さんの農地への強制執行許すな!」と情宣に決起。怒りのこぶしを突き上げた(11月18日 千葉市)

市東孝雄さんの天神峰農地への強制執行攻撃との攻防のまっただ中で、11月18日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で、団結街道裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、農民殺しに手をかけた成田空港会社(NAA)と千葉地裁への怒りを燃え立たせ、心を一つにして闘いぬいた。
団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)は、市東さんにとって、自宅と南台の耕作地を直線で結ぶ、日々の農作業に必要不可欠の道路であった。その道を成田市は、2010年6月に夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、土地を格安でNAAに売り飛ばした。この暴挙の違法性を徹底的に追及するのがこの裁判だ。
開廷早々、弁護団は「小泉一成〔成田市長〕の証人採用を求める意見書」を陳述した。
この裁判では、2018年2月に中村壽孝(元成田市土木部長)の証人尋問が行われて以来、4年以上も証人採否をめぐる手続きが続いている。
原告(市東さん、反対同盟など住民)は小泉成田市長を証人採用することが必要不可欠であることを一貫して強く主張してきた。そして、被告・成田市が請求する松本光平・元成田市土木部道路管理課主任の証人採用に反対してきた。
団結街道を廃道にするという許しがたい決定の最高責任者は、小泉成田市長であった。中村土木部長はその決定にはかかわっておらず、ましてや道路管理課主任に過ぎない松本は市の政策決定に関与できるはずもなく、実務的関与があったとしてもそれは上司の命令を遂行しただけだ。松本を証人尋問しても、中村よりも無内容になることは目に見えている。
本件は「交通量が極めて少ないからその道路を廃止する」という一般の道路行政の問題ではなく、上層部の「鶴の一声」で決められた「政治的案件」だった。住民の利益を犠牲に道路廃止を強行した理由・経緯について、「空港との共生」をとなえる小泉市長に問いたださねばならない。

内野俊夫裁判長

小泉市長の尋問は必要不可欠だ!
さらに弁護団は、11月4日に行われた進行協議の席上で、内野裁判長がこの裁判の主要な争点として「空港拡張の必要性があったか否かが重要だ」とする驚くべき意見を開陳したことについて、問いただした。
その趣旨を敷衍すれば、空港拡張が国策として大事だということが証明されれば、道路法第10条に記されている廃道の要件を満たさなくても、廃道にしてかまわないという結論に至るものだ。被告の成田市も表向きそんなことまで主張していない。
最初は「何が悪いのか」といわんばかりの横柄な態度をとっていた裁判長だが、弁護団が「それを争点とするのなら、当然にもNAA社長を証人尋問しなければならない」と突きつけると狼狽し、「誰を証人に呼ぶかについて関連付けては考えていない」などと言い訳し、あとはしどろもどろ。この対応に傍聴席からも怒りの声が次々に上がる。
追撃的に弁護団が、「裁判所自身の見解を書面にして出してもらいたい」と迫ると裁判長は「前向きに検討する」などと述べたが、態度からはどう見てもやる気ゼロだ。NAAと市の代理人はこのやり取りをなすすべなく不安げに見守るのみだ。
弁護団はさらに、09年7月に開かれた四者協議会(国土交通省、千葉県、成田市など空港周辺市町、NAA)の会議記録、確認書などの文書の提出を成田市に求める「意見書」を陳述した。その中で、そうした文書が「過去には存在したがその後廃棄した」的な言い訳はありえないことについてあらかじめ釘を刺した。さらにこの日付の求釈明を突きつけたが、市とNAAは「検討した上で対応するか判断する」などと、相変わらずの卑劣な責任逃れの姿勢だ。

千葉県弁護士会館で開かれた裁判報告集会。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が裁判長の姿勢を鋭く批判した

次回期日を来年5月12日、次々回を7月14日と確認し閉廷した。
千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。事務局長の葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、裁判長が「空港拡張の必要性を主要な争点として考える」と進行協議で述べた件について弾劾した。「被告・成田市でさえそんな露骨なことを言えずに『機能強化は一つの事情に過ぎない』と書面でわざわざ書いている」ことが明らかにされた。
また弁護団は、市東さんの農地にかけられた強制執行攻撃の審尋に対して、この日のうちに大部の意見書を地裁に提出すること報告した。市東さん、萩原富夫さん、さらに東峰住民の方々からの意見書も併せて提出することを述べ、何としても強制執行を阻む姿勢を表した。
傍聴に参加した婦人民主クラブ全国協、東京西部ユニオン、動労千葉が連帯発言を行った。動労千葉執行委員の北村武さんは、「空港の衰退、日本帝国主義の没落がはっきりしている中で、強制執行という凶暴な攻撃がかけられてきた。これを敵の墓穴に転化するため労働者を組織する」と決意を述べた。

裁判所前の情宣で「強制執行を許さない」と訴える反対同盟事務局の伊藤信晴さん(上)、緊急署名を集める婦人行動隊・木内敦子さん(下)

最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、来年1月までの闘争日程を明らかにした上で(下記参照)、「田村明比古NAA社長は強制執行について『円滑かつ確実に行う』と言い放った。絶対に許さない。実際の攻撃がいつ来るかはわからないが、裁判所が授権決定を下したら直ちに現地は反対同盟と支援で総力の24時間座り込み態勢に入る。多くの方々を誘って参加してください」と熱烈に訴えた。
報告集会後、伊藤さんを先頭に千葉地裁前に陣取りって情宣活動が行われた。全学連の学生もマイクを握り、岸田政権の改憲・戦争、軍事空港建設、農地強奪に対し激しい怒りを表して「市東さんの農地を守ろう!」と訴え、「強制執行反対緊急署名」を集めた。https://www.sanrizuka-doumei.jp/wp/2022/11/post-1911/

(TN)

 

スケジュール
◎11・27天神峰現地闘争 11月27日(日) 午後1時 市東さん宅中庭集合 集会~デモ

◎耕作権裁判&千葉地裁包囲デモ 11月28日(月) 午前9時 千葉市葭川(よしかわ)公園集合 集会後、千葉市街地をデモ行進 10時30分開廷 千葉地裁

◎天神峰カフェ 12月4日(日)正午 市東さん宅中庭集合
◎12・11天神峰現地闘争 12月11日(日)集会、デモ
◎空港周辺地域一斉行動 12月18日(日)
◎三里塚反対同盟新年団結旗開き 1月8日(日)

全学連が強制執行実力阻止の決意を込めて情宣活動の先頭で奮闘

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