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国鉄解雇撤回裁判 結審強行・退廷命令乱発の暴挙に怒り

国鉄1047名の解雇撤回を求めて動労総連合が起こした裁判の第14回口頭弁論が東京地裁民事第11部(須賀康太郎裁判長)で開かれた。原告代理人弁護団は解雇を首謀し実行したJR西日本元会長の井手正敬とJR東日本会長の深澤祐二の証人尋問を改めて求めたが、須賀裁判長はこれをまったく無視して結審を強行した。
これに対し湧き上がった傍聴席からの怒りの声に、裁判長は退廷命令を乱発し、廷吏の暴行により動労千葉の関道利委員長ら多数の傍聴者がけがを負わされた。最終的には傍聴者全員に退廷命令と庁外退去命令が出された。

井手・深澤の証人採用を求め東京地裁を包囲するデモに出た(7月31日)

専制国家そのもの異様な法廷を現出させた裁判所の対応は、岸田政権が中国侵略戦争に突進する中、国鉄闘争が持続的に展開されていることへの国家権力の焦りによるものだ。国鉄闘争は、JRに解雇を撤回せる歴史的な勝利へ「あと一歩」のところに迫っている。井手と深澤を法廷に出させれば、JRに解雇の責任があることは事実として確定する。だが、裁判所はあくまで真実を押し隠すために、今回の暴挙に及んだのだ。改憲と戦争国家化を目的に強行された国鉄分割・民営化は、裁判所を含む国家の不当極まる暴力行使によってしか維持できない。今も継続され、さらに激化するこの国家的不当労働行為との闘いは、戦時下でますます重要になっている。それは全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する大弾圧や全国金属機械労組港合同昌一金属支部に対する組織破壊攻撃を打ち破る闘いと一体だ。11・3労働者集会は戦時支配の確立を狙う国家権力の攻撃との決戦攻防にせり上がった。

除斥期間の適用は正義に反する

この裁判は、解雇撤回を否定した中央労働委員会命令の取り消しを求めて、2020年7月に起こされた。昨年4月の裁判で、井手や深澤の証人尋問を拒否した裁判官に対し、原告側は忌避をたたきつけた。その忌避申し立てが最高裁で棄却され、1年3カ月ぶりに裁判が再開された。忌避によって裁判が1年以上中断したことも、異例の事態だ。
この日の法廷で原告代理人弁護団は、1047名解雇の責任はJRにあると改めて主張した。1987年4月の国鉄分割・民営化を前にした同年2月、動労総連合の組合員をJRから排除するために「不採用基準」が作られた。それは、JR設立委員会委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)の指示のもと、JR東海元会長の葛西敬之や井手によって策定された。「不採用基準」の策定が不当労働行為となることは2015年6月の最高裁決定で確定している。それがJR設立委員長の指示で作られたのなら、解雇の責任はJRにあり、JRは解雇撤回の義務を負う。
弁護団はさらに、「30年以上も前の解雇についての申し立ては、申立期間を過ぎているから労働委員会の審査の対象にならない」という中労委の主張に真っ向から反論した。優生保護法により不妊手術を強制された被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は不法行為から20年が経過すれば損害賠償請求権が消滅するとした「除斥期間」を適用しないと判断した。弁護団はこの判決を引用し、解雇の真実を隠し続けたJRに、除斥期間を口実に不当労働行為の責任を免れさせるのは、著しく正義に反すると力説した。そして、井手と深澤を尋問し、真実を解明することを改めて求めた。
だが、裁判長は一切の説明もせずに結審を宣告し、判決期日を11月13日と一方的に指定した。「裁判は終了した」と言いつつ裁判官はその後もあえて法廷にとどまり、弾劾の声を発する傍聴者に廷吏を襲いかからせた。暴力行使のみを目的とした不当きわまる暴力の発動だ。裁判所庁舎内には制服や私服の警察官が入り込み、弾圧の機会をうかがった。こうして裁判所は、戦時司法への転換を挑発的に打ち出してきたのだ。
東京地裁を包囲しデモ
裁判に先立ち、日比谷公園霞門から出発して東京地裁を一周するデモが行われ、「井手・深澤を尋問しろ」「解雇撤回の判決を出せ」の怒りの声がとどろいた。解雇撤回判決を求める署名の提出行動が行われ、新たに提出された1268筆の署名と合わせ、署名総数は1万2611筆に達した。
裁判後の総括の場で、解雇当該の中村仁動労千葉副委員長は、青年労働者が生きられる社会を創るために解雇撤回闘争に勝利すると決意を示した。関委員長はこの日の裁判所の暴挙を弾劾するとともに、労組なき社会の全面化を狙う労働法制改悪に立ち向かうと表明し、8・6広島と11・3労働者集会へ総力の結集を訴えた。

65歳以降雇用延長裁判でも証拠調べを拒否

動労千葉とその組合員がJR東日本とその子会社の千葉鉄道サービス(CTS)に対して65歳以降の継続雇用を求めた裁判の第1回控訴審が、7月19日に東京高裁第1民事部(金子修裁判長)で行われた。動労千葉組合員と支援者は、大法廷を埋める結集でこの裁判に臨んだ。

裁判に先立ち東京高裁にシュプレヒコール(7月19日)

法廷で原告代理人弁護団は、60歳定年後JRに再雇用されCTSに出向に出されたエルダー社員の65歳以降の雇用延長を拒むJRとCTSの攻撃は、JR東日本が先頭で進める「労組なき社会」化の一環だと主張した。だが裁判長はそれを無視し、証人調べの請求も認めず、結審を強行して判決期日を9月25日に指定した。
裁判に先立つ東京高裁前行動では、雇用延長を拒否された当該の組合員が、65歳を超えても動労千葉の一員としてあくまで闘うと不屈の闘志を表明した。
雇用延長を求める裁判は、組合員が65歳に達する度に順次提訴され、この裁判のほかに千葉地裁と千葉県労働委員会で闘いが続いている。何よりも最大の戦場はCTSの職場だ。人員が圧倒的に不足しているのに、CTSは動労千葉組合員の排除だけを目的に雇用延長を拒み続けている。この攻撃と対決し、動労千葉は現場攻防を繰り広げている。

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