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三里塚現地闘争―第3滑走路予定地をデモ

「機能強化粉砕、第3滑走路阻止!」を叫び芝山町の菱田地区をデモ(5月7日)

三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで5月7日、三里塚現地闘争(フィールドワーク&デモ)が闘いとられた。
成田空港会社(NAA)の田村明比古社長は4月4日、中野洋昌国交相に、B滑走路延伸とC滑走路(第3滑走路)新設の工事について「5月に本格着工する」「2028年度末に供用開始する」と報告した。
この攻撃に怒りをたぎらせ、「成田空港機能強化粉砕、5月本格着工阻止」を掲げて、反対同盟、現地闘争本部、支援連絡会議、首都圏の労働者・学生など60人が参加した。
晴天のもと、天神峰の反対同盟会議室前に集合し、集会を開いた。
反対同盟事務局の伊藤信晴さんが、状況説明を行った。「今日の菱田のデモコース申請に対し、警察はあれこれと難くせを付けてきた。NAAにしてみれば、新滑走路敷地内でデモをするなどありえないという感覚なのだろう。しかし機能強化に対する住民の反撃が起きている。自然破壊と気候変動・温暖化に対する危機感から、抗議のメッセージを掲げている人がいる。騒音訴訟に立ち上がっている芝山町民もいる。きょうはそうした住民に応え、市東さんの農地決戦を訴える意味でも非常にタイムリーなものとしてある」
続いて市東孝雄さんがあいさつに立った。「19年続いた耕作権裁判で、3月24日に判決が出された。本当に許しがたい不当判決。控訴審でがんばるが、裁判だけでなく実力闘争で闘わないと勝てないというところに三里塚は来ている。今の裁判所に三権分立はない。きょうは、皆さんに工事の現場を見てもらうが、菱田の昔の様相を知っている方はその変わりようにびっくりするだろう。これからの闘い方を考え、一緒に闘っていきたい」

天神峰で出発前の集会をかちとった

動労千葉の川崎昌弘さんが連帯のあいさつに立った。耕作権裁判不当判決を弾劾した上で、「動労総連合は4月29日に第38回定期中央委員会で、労働組合の第一の任務として戦争に反対して職場・地域から立つとの方針を確立した」と報告し、5月沖縄、6・15反戦闘争、6・15国鉄集会、11月労働者集会への決起を訴えた。
婦人民主クラブ全国協議会の鶴田ひさ子さんは、「軍事空港粉砕」へ反対同盟とともに闘うことを誓い、沖縄での連続する米兵の女性暴行事件に怒りを表した。
全学連の松本彩乃さんは、京大7学生逮捕の大弾圧を打ち破って奪還されたことを報告し、女性差別と性暴力を断じて許さず、三里塚闘争と沖縄闘争の勝利性を確信して闘う決意を表した。
団結ガンバローを三唱し、全員が車両に分乗して出発した。
天神峰から東峰を経て、一鍬田を通り、横堀地区へ。
横堀では誘導路設置のための工事用道路の建設が行われている。一つに統合される旅客ターミナルと新C滑走路とを結ぶ、誘導路のための準備工事だ。道路のきわに張られたネットの向こう側では、作業員と重機が動き、竹藪が刈られ、土の掘り返しなどが行われている。
さらに南下し、デモ出発地点である菱田の中郷墓地の横に到着。故・鈴木幸司さん、謙太郎さん親子もここに眠っている。すでにデモ規制の警察・機動隊がものものしく配備されている。ここは新C滑走路予定地の北端に位置している。
「空港拡張実力阻止/工事強行許すな」と大書された横断幕を先頭に、直射日光が照りつける中を勢いよくデモに出発した。
「成田は今、豊かな農村地帯を根こそぎ破壊して新滑走路の下敷きにしようとしています。地域で反対して闘う農民とともに、私たちは59年闘ってきた空港反対闘争を貫きます」との訴えが、宣伝カーから一帯に響き渡った。

当日配られた地図資料

そして「第3滑走路建設粉砕!」「5月本格着工粉砕!」「成田空港の戦争拠点化を許さない!」のシュプレヒコールをとどろかせた。
目に映る風景は一見するとかつてと同じく緑にあふれる田園、山林のように見える。だが、田んぼであった場所はすでに生産活動をやめて、雑草にあふれ返っている。
かつて反対同盟分断をもくろんで空港の肝いりで行われた「成田用水・圃場整備」がもたらしたものは、豊かな実りではなく農業と地域の破壊であり、歴史とともにこの農村一帯が新滑走路の下敷きにされ埋め立てられようとしている。その冷酷な現実を突き出す光景だ。
各所には、「地盤改良工事」の資材置き場、セメント作りの施設、さらに機動隊バスの駐車場までが、鉄のフェンスに囲われて作られている。重機と作業員が動き、上空をジェット機が騒音と共に飛来している。
デモが北上を続けると、機能強化に反対する農民が作った抗議の「横断幕」が参加者の目に飛び込んできた。農業用の防草シートを使って土手に、「温暖化で米も実らない未来」「もっと死を、もっと環境破壊、CO2を」と書き表されている。
そしてそのすぐ先には、水が張られ田植えが行われた田んぼが現れた。一住民が空港による禁圧を打ち破って稲作を続けているのだ。そのメッセージと一角だけの「生きた」田んぼが、デモ隊の心を大いに潤し励ました。

横堀での誘導路準備工事(左上)、菱田に作られていた機動隊バスの駐車場(右上)、菱田のセメント施設(左下)、大量配備された警察(右下)

80年代の成田用水決戦を闘った経験を持つ年配者も、初めて現地を訪れた青年・学生も、それぞれの感慨と決意を胸に菱田を一周するこの日のデモを貫徹した。
NAAは用地確保の現状を、「必要な面積は1099ヘクタール、うち743ヘクタールが民有地で、550ヘクタール(74%)を契約済み」だと説明している。「本格着工」を宣伝しながら、「26%」のめどが立っていないということだ。住民と連帯し、第3滑走路建設を粉砕し、機能強化を破産に追

菱田周回デモを貫徹し団結ガンバロー

い込もう。(TN)

㊤住民の抗議のメッセージ、㊦禁圧を打ち破り稲作を続ける田んぼ

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