三里塚フィールドワーク―工事現場に怒りの声響く
「成田第二の開港粉砕」を呼びかけて、三里塚芝山連合空港反対同盟による現地フィールドワークが7月16日に行われた。雨天のもと、出発前の打ち合わせを天神峰の反対同盟会議室わきで行った。
伊藤信晴さんが現地情勢を説明した。「NAAは空港内の本社で本格着工のセレモニーを仰々しく開いたが、実際の工事は目覚ましく進んでいるとはとても言えない。B滑走路北側延伸関連では東関東自動車道の付け替え工事が進んでいるが、C=第3滑走路の方は、本当なら『滑走路横断道路』、成田松尾線から多古の方に行くトンネルの工事に入っていなくてはならないのに、全然手も付けられていない。高谷川改修工事も動いているのは少人数だ。しかし、NAA社長が交代したということで、菱田地区には新社長の藤井直樹があいさつに回っている。向こうが多古町、芝山町、成田市で機能強化推進母体をつくることを考えると、この25年はいよいよ攻撃も激しくなると予想される。買収を拒んでいる住民と一層固く連帯して闘っていこう」
参加者は早速車両に分乗して、B滑走路北端で行われている東関道の付け替え・トンネル化工事の現場に移動した。
付け替え道路はすでに開通し、上下線とも絶え間なく車が流れている。その道路の横にすでに、トンネルとなる構造物が一部設置されている。このトンネルを開通させた上、一帯を途方もない量の土砂で滑走路の高さまで埋め立てようというのだ。
参加者は怒りを込めて工事現場にシュプレヒコールをたたきつけた。「機能強化粉砕!」「工事をやめろ!」「空港拡張は戦争準備だ!」
数分おきにジェット旅客機がけたたましい騒音を吐きながら、頭上20~30メートルを通過していく。ものすごい圧迫感だ。
騒音・落下物被害や離着陸事故の恐怖にさいなまれている住民の心を思い、またこの飛行機を軍用機に換えてはならないとの決意を込めて、さらにシュプレヒコールを上げ続けた。
そこから芝山町の菱田地区に移動した。
かつて田んぼだった土地は大半が雑草が生い茂り放置された状態だが、買収を拒んでいる人の田だけが水が張られ生き生きと稲を生育させている。NAAによる地域住民の分断、追い出し攻撃に怒りがこみ上げてくる。
工事としては、高谷川沿い2~3カ所でダンプ、クレーンなどが配置され作業員が動いているが、「本格工事」という言葉から連想される稼働ではない。地盤改良のための杭打機とおぼしき機械をクレーンが川床に吊り下ろそうとしているのが見える。
NAAの当初の機能強化計画によれば、とっくに終えていなければならないステップ1の「高谷川等排水整備工事」で足踏みしている状態だ。
ステップ2の「C滑走路横断道路」トンネル工事は「24年度末着手」と記されているが、25年半ばの現在、まったく手がついていない。その先にステップ3の「本格造成工事」があることからすれば、目標とされる「29年C滑走路供用開始」は絶望的と言っても過言ではないだろう。
用地買収のめども立っていないのに、見切り発車で「本格着工」を宣言し、軒先まで工事を進めて、その既成事実で住民を追い出そうというのがNAAの意図だ。だがその思惑は根元から破綻している。
一行は工事現場に向けてシュプレヒコールを上げた。「空港拡張工事粉砕!」「第3滑走路建設粉砕!」「空港拡張は環境破壊だ!」「住民とともに反対同盟は闘うぞ!」「市東さんとともに南台農地を守り抜こう!」
山武警察署は車1台で後をつけてきて弾圧・規制の機を狙っていたが、闘いの迫力の前に一切手出しができず、はるか遠くからわれわれの動静をうかがうだけだった。(TN)
スケジュール
◎団結街道裁判 7月25日(金)午後2時開廷 判決 千葉地裁
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