三里塚フィールドワーク―機能強化工事やめろ！

Ｂ滑走路北延伸に向けた東関道トンネル化工事現場に怒りのシュプレヒコール（１２月９日　成田市十余三）

三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける、成田空港の拡張・機能強化＝「第２の開港プロジェクト」に反対するフィールドワーク（現地調査）が快晴のもとで１２月９日に行われ、現闘、支援連、首都圏の労働者・学生が参加した。
出発を前に、成田市天神峰の反対同盟会議室前で打ち合わせを行った。まず事務局員の伊藤信晴さんが現地の状況、特にＭＲＯ施設誘致問題について報告した。ＭＲＯとは航空機エンジンの整備・修理・分解点検のことで、現在日本では大型エンジンを整備する十分な施設がなく、半分を海外（特にシンガポール）に委託している。海外のサプライチェーンに依存する現状から抜け出るための国策として、ＭＲＯ巨大工場を国内に造る、その建設場所の最有力候補が成田空港だ（具体的候補地は空港警備隊宿舎跡）。それを成田エアポートシティ構想の目玉として打ち出し、航空宇宙産業育成へ向け、投資を呼び込み、技術者養成、雇用促進、技術開発などの起爆剤にしようと、周辺市町は躍起になっている。芝山町ではすでに説明会が開かれた地区もある。この施設からエンジンテストなどで甚大な騒音と振動が大量発生するのは間違いないが、住民生活の被害にはまるでお構いなしで推進されようとしている。

㊤東関道トンネル化工事（Ｂ滑走路北延伸）、㊦田園地帯を破壊して進められる菱田の工事（Ｃ滑走路新設）

伊藤さんは芝山町役場でＭＲＯ説明会の資料を請求したが拒絶されたことを報告し、利権でうごめき始めた町当局や議員連中を批判した。そしてＭＲＯの「国内完結」が日本帝国主義・高市政権の軍備強化にとって死活的課題であることを指摘し弾劾した。「こうした動きの全てが、地域の農業を破壊し市東さんの農地を奪う攻撃として襲いかかってきている。空港機能強化を許さず、今日のフィールドワークを闘いぬこう！」
続いてこの日東京から参加した全学連のＡさんが「三里塚は反戦の砦であり、沖縄とともに全国の反戦反基地闘争の金字塔。みなさんと連帯して、成田軍事空港を粉砕する」と決意を述べた。
さらに学生のＢさんが、「三里塚には初参加。みなさんの行っている活動について私は一緒に参加して学びたい、実際に起きている問題についてより深く知りたいという思いで来た」と元気よくあいさつした。
全員は車両に分乗して、まずＢ滑走路北延伸工事へ向けた東関東自動車道トンネル化工事の現場に向かった。高台から見下ろすと、東関道切り回し道路の上下線をひっきりなしに車が流れており、その奥にトンネルとなる構造物が横たわり、作業員が動いているのが見える。これに交差してＢ滑走路が３５００メートルに延伸されようとしている。全参加者が怒りを沸き立たせてシュプレヒコールをたたきつけた。「空港機能強化粉砕！」「今すぐ工事をやめろ！」「Ｂ滑走路北延伸阻止！」「地域を壊すな！」
続いて一行は、芝山町菱田の第３滑走路工事現場へ。中郷地区の田んぼをつぶして作られたセメント施設前の道路に車両を停めて横断幕を広げた。現在ここでは、第３＝Ｃ滑走路を横断して、芝山千代田駅付近から多古町へと抜けるトンネル（滑走路横断道路）の工事が続いている。かつて青々と広がる田んぼだった土地は埋め固められた上、仮囲いが張りめぐらされ、パワーショベルやダンプが動き、山の樹木は伐採され、むき出しの茶色の土が滑走路の高さに向けて積み上げられている。日々変容していく地域のありさまに憤りを抑えることはできない。

Ｃ滑走路建設へ向けた準備工事（滑走路横断道路）の現場を弾劾（芝山町菱田）

シュプレヒコールが一帯にこだました。「第３滑走路建設阻止！」「工事をやめろ！」「戦争のための機能強化を許さないぞ！」
山武警察署による規制・弾圧を許さず、工事を徹底弾劾した。
この新滑走路建設と一体で圏央道（首都圏中央連絡自動車道）建設工事が急ピッチで進められている。芝山町などの地元住民は、土砂を運ぶダンプの頻繁な往来で生活をかき乱されている。機能強化＝「第二の開港」プロジェクトとエアポートシティ構想は、「開発・発展・投資」などの呼び声のもとで、際限なく土木建築工事を続け、農村と生活空間を破壊し続ける計画である。そして「国際的物流」「航空宇宙産業」などの拠点機能を備えた軍事兵站基地として、成田空港の「完成」をめざす国家プロジェクトである。
市東孝雄さんの農地を守り抜き、軍事空港建設を阻止することを、フィールドワーク参加者全員があらためて誓い合った。（ＴＮ）

㊤㊥かつての菱田の豊かな田園風景　㊦同じ場所に立ち工事への怒りをぶつける

㊤成田空港機能強化　㊦㊧エアポートシティ構想　㊦㊨圏央道計画