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成田空港拡張差止裁判―新たに原告となった住民が陳述

拡張差止裁判閉廷後の報告集会。陳述したNさんを囲み「騒音被害への怒りを許さない」という熱気にあふれた(1月20日 千葉市)

千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で1月20日、成田空港拡張差し止め裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟はこの裁判で国と成田空港会社(NAA)に対し、①B’暫定滑走路の延長(2006年)、第3誘導路建設(10年)の違法を追及し、②「空港機能強化策」を掲げた施設変更許可(2020年)による現在の空港拡張工事の差し止めを求めてきた。
そして新たに、成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民30人が原告となって、国・NAAに対し機能強化・拡張工事の差し止めを求めて提訴し、これらの裁判が併合された。今後、反対同盟と周辺住民の連携のもと、より強化された成田機能強化阻止の裁判闘争として進めることになる。
開廷早々、岡山裁判長は、1月9日付で出された被告・国の準備書面について問いただした。「前回の求釈明で、環境アセスメント(影響評価)に基づいて原告適格を争う人がいるのかいないのか、規範とそのあてはめについて具体的に明らかにするよう尋ねた。書面ではこれに答えていないが、どういう考えか」
確かに50ページを超える同書面では、成田環境アセスの制度などについて無駄に長々と説明し、芝山町の白桝地区に住む伊藤信晴さんにだけは敵意をむき出しにして「原告適格なし」と強調するが、肝心なことは何も書かれていない。
裁判長のあからさまな「ダメ出し」に国の代理人は身をすくめながら出し直しを約束せざるをえなかった。
続いて、新たに原告となった稲敷市住民のNさんが意見陳述に立った。77歳、先代から農家を営んでいる。
現在、成田空港への離着陸で頭上を飛ぶ飛行機の激しい騒音を受け続けている。「上空の旋回飛行時は、エンジン音と尾翼の操作のギギーという高い金属音が広範囲にとどろき、耐えがたい騒音が早朝から深夜まで続く」と述べた。夜11時に就寝しようとしてもそれを過ぎた騒音で目を覚まし、眠りにつけるのは2時、朝は6時には騒音で起こされるという。
12年から耳鳴りの症状が出て、数年前には心房細動とがんを患い、再発のおそれに身構えている。息子夫婦は「静かな環境で子どもを育てたい」と家を出ていき、孫はたまに帰ってくると「戦車みたいな音がする」と言う。
Nさんは成田空港の機能強化について、「とんでもないこと。B滑走路を2倍の航空機が飛ぶ。私の住んでいるところはAとBにはさまれた谷間地区。住み続ける者はいなくなる」と語気を強めた。また飛行時間の2時間半の拡大(朝5時~深夜0時半)に怒りを表し、近所の友人が自宅の防音工事を行ったが、家の中で反響がより一層ひどくなり、工事翌年、入浴中に心筋梗塞で急死したと語った。
「機能強化を了承した行政は交付金をもらうためであり、住民が理解したわけではない」と強調し、「地元自治体の賛成」のうそに怒りを表した。
さらに「日本の内陸空港で深夜早朝を飛ばしている空港は成田以外にない。深夜便増便は生存を脅かす」「夜は低騒音機を飛ばすから2倍の航空機が飛んで騒音は拡がらないとうそっぱちを言っているが、現実には深夜早朝は貨物便中心で、大型機が飛び低騒音機とは言えない」と指摘した。
また「地球温暖化を防ぐために運航はもっと減らすべき。地球の氷が溶けたら成田は水没するとの説もある」と訴えた。
最後に裁判長に向けて静かな口調で訴えた。「私たち住民に生きていく権利はあるはずだ。夜だけは静かに寝かせてほしい。裁判官は私たち住民の声に耳を傾け、2020年の成田の施設変更許可が誤りであることを宣言してほしい」
傍聴席からNさんに大きな拍手が湧いた。
続いて反対同盟顧問弁護団が立った。航空法第39条1項2号の「空港等又は航空保安施設の設置によつて、他人の利益を著しく害することとならないものであること」の条文の「他人の利益の侵害」について財産権だけを想定し、人格権侵害(生活破壊、健康被害)を考慮の必要なしと居直る国・NAAを、あらためて弾劾した。厚木基地をめぐる騒音訴訟においては、最高裁が人格権侵害を認めて損害賠償を命じる判決(飛行差し止めは認めず)を出していることを突きつけた。「成田の騒音は総量で厚木の10倍。人格権侵害を認めないのは、現実離れした違法な見解だ」と鋭く迫った。
そして「裁判官は現地を訪れ騒音を体感してほしい」との原告の要望を伝え、他の原告も今後意見陳述に立つ意思があることを伝えた。
10人も並んでいる国とNAAの代理人たちは、Nさんの生々しい告発と弁護団の追及に対し、視線を手元に落とし耐え忍んでいる。
次回期日を5月12日(火)、次々回を9月8日(火)と確認し閉廷した。
地裁向かいの千葉県教育会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が行われた。最初に意見陳述をやり切ったNさんがあいさつし、頭上を飛ぶ騒音被害のひどさをあらためて強調して、今後も奮闘する決意を表した。
弁護団一人ひとりが発言し、法廷を振り返った。岡山裁判長は国の代理人に「不合格」を出したような格好だが、裏を返せば「そんなやり方では勝てないぞ」とたしなめたとも言える(岡山は団結街道裁判一審で不当判決を出している)。
現在進められている機能強化=「第2の開港」を直接撃つ裁判として、全力で闘うことを弁護団は約束した。またNさんからは、2020年の反対同盟の新年最初のデモに稲敷市から初めて2人で訪れ、反対同盟と交流した思い出が語られた。
市東さんの耕作権裁判の控訴審が今年始まることを全体で確認し、動労千葉、市東さんの農地取り上げに反対する会、成田空港飛行差し止め訴訟を闘う住民が連帯発言を行った。動労千葉の中村仁副委員長は2・8国鉄集会(2月8日午後2時、江戸川区総合文化センター)への参加を呼びかけた。
最後に伊藤さんが、3・29芝山現地闘争への結集を熱烈に呼びかけた。(TN)

スケジュール
◎2・15東京三里塚集会 2月15日(日)午後1時30分 ワイム荻窪 JR荻窪駅北西口近く 集会後荻窪駅一周デモ 主催/改憲・戦争阻止!大行進東京、改憲・戦争阻止!大行進杉並
◎3・29芝山現地闘争 3月29日(日)午後1時会場 芝山文化センター 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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