国労5・27臨大闘争弾圧裁判 控訴審第2回公判開かれる
国労5・27臨大闘争弾圧裁判控訴審の第2回公判が12月21日、東京高裁第10刑事部(山崎学裁判長)で開かれた。今回の公判は、国鉄1047名解雇撤回闘争の先頭に立つ被告団の闘いの意義をあらためて鮮明にし、4・9政治和解を受け入れた松﨑被告の屈辱的な裁判方針との決定的な相違を浮き彫りにした。(写真は公判終了後の総括集会)
公判ではまず、国鉄闘争全国運動呼びかけ人で元国労九州エリア本部書記長の手嶋浩一さんが証言に立った。
手嶋さんは87年10月から国労九州エリア本部書記長を務めたが、90年に書記長を降ろされた。「スト権を放棄する総合労働協約をJR九州と結び、国鉄時代からの国労の各事務所をJRに返還しろ」という国労本部の方針に従わなかったことがその理由だったという。こうした国労本部の裏切りが、闘争団員を統制処分に付すための02年の5・27臨時大会に行き着いたのだ。手嶋さんはこの弾圧について、「現場の状況を映したビデオを見たが、暴行などまったくない。組合内で意見が対立したら、もみ合いになることは少なからずあるが、あれが暴行とされたら労働組合運動は死滅する」と権力を弾劾し、また「警察に同じ組合員を逮捕してくれと言うこと自体考えられない」と国労本部を厳しく批判した。
また、国鉄全国運動の呼びかけ人となった動機を問われ、「今回の和解に疑義をもっていたが、6人の闘争団員が和解を拒否した。国鉄分割・民営化を機に非正規労働者が1千万人を超え、若者は夢や希望を奪われた。これに対して分割・民営化反対の運動を展開するために呼びかけ人になった」と証言した。
続いて羽廣憲さんへの被告人質問が行われた。羽廣さんはまず、一審判決を弾劾し、「首謀者とされた向山和光さんが無罪で私たちが有罪となったのは理解できない。裁判所は国労共闘をつぶすための政治的弾圧に加担した」と語気を強めた。また、4・9政治和解について「解雇撤回のない和解は拒否する」と言い切った。さらに、5・27当日の闘いの正当性を説いて、「鉄建公団訴訟を起こした組合員を処分する大会は絶対に認められなかった」と述べた。最後に羽廣さんは、「一審判決でもわれわれの団結は壊れなかった。いかなる判決でもわれわれの勝利は揺るがない。前回、裁判長は『ここは政治運動の場ではない』と言ったが、この弾圧と一審判決自体が政治的だ。われわれは労働者の誇りにかけて、政治主張も含めて無罪まで闘う」と裁判長に戦闘宣言をたたきつけた。
続く小泉伸さんへの被告人質問では、JRの安全崩壊の実態が具体的に暴かれた。小泉さんが勤務するJR貨物・吹田機関区では、部品が反対に取り付けられた車両や、溶接すべき個所が溶接されていない車両、規定値通りに正しく削られていない車輪などがたびたび発見されるという。小泉さんは、JRの大合理化による慢性的な欠員状態がその原因だと指摘し、JR貨物はいつ大事故を起こしてもおかしくないと弾劾した。
この日最後の被告人質問に立った橘日出夫さんは、自身が申し立て、大阪府労委で全面勝利したた国労バッジ事件で、中労委が「国鉄改革の経緯からしてバッジ着用者を処分するのは当然」という逆転棄却の反動命令を出したことを弾劾、4・9政治和解がこうした状況を引き起こしていると述べた。また5・27決起の正当性について、「国鉄分割・民営化への十数年の闘いをないがしろにする国労本部が許せなかった」と断言した。次回の公判は1月25日。原田隆司、東元、富田益行の各被告の被告人質問が行われる予定だ。(KI)
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