エジプト各地で労働者がスト・職場占拠、自主管理の闘いに突入!
2月11日、ムバラクを打倒したエジプトの労働者たちは、「職場をタハリールに!」を合言葉に、各職場でストライキ、職場占拠、自主管理の闘いに入っている。長期の軍事独裁政権が続いてきたエジプトでは、各企業、各省庁の人事が軍に牛耳られ、コネとワイロで決められてきた。こうして地位を得た経営者や長官たちは横暴をきわめ、労働者の怒りの的になっている。繊維、鉄鋼、郵便、自動車……ストに入った部門は、数え切れない。カイロはもとより、エジプト最南部の都市アスワンでも、北部地中海沿岸のアレキサンドリアでも、大きなデモが起こっている。カイロの公共交通労働者は賃上げを求めてストに突入し、2月14日、中心街にある国営のナイルテレビ局前で抗議行動をした。(写真①)
国有のエジプト航空では、労働者が社長解任を求めてストライキに入り、政府の民間航空庁は、エジプト空港社長を解任せざるをえなくなった。国営の石油・ガス会社では、労働者が賃上げと非正規職の正規化を求めてストライキに突入した(写真②)。決定的に重要なことは、労働者の要求の中に、重要項目として「イスラエルへのガス輸出の停止」が入っていることだ。
ムバラク政権はイスラエルによるガザ封鎖に協力して国境を封鎖し、ガザの人民を窮乏にたたき込む一方、イスラエルに対してはガスをパイプラインで供給している。しかも、国際価格より割安で。軍最高評議会は「国際条約は遵守する」と言い、イスラエルとの関係の継続を約束しているが、エジプト労働者階級は絶対にそれを許さない。
エジプト最大の国有銀行、NBEでも労働者がストライキに突入し、NBE本社前に非正規職労働者が結集して封鎖し、正規職化を求めた。他の国有銀行の労働者もNBEのストに続いた。そのため中央銀行も、14日にはすべての銀行の閉鎖を指令せざるをえなくなった。エジプト証券取引所は、2月16日には業務再開の予定だったが、全銀行が閉鎖されているために少なくとも来週までは業務を再開できない状態になった。
さらに、官製労組の解体が、全国のあらゆる職場で要求されている。2月14日、カイロでは、官製労組の全国本部ビルに対する行動が起こされた。独立労組である不動産税徴税官労組を始めとする数百人が、官製労組=ETUF(エジプト労働組合総連合)本部前でETUFの解体、幹部追放を要求した。これに対して、ETUFは、石やガラスビンを投げつけてきた。軍の憲兵隊がかけつけ、形の上でETUFの一人を拘束し、労働者との間に入り、ETUF本部を守った。(写真③④はETUF本部と、その解体を求めて決起した労働者たち)
11日のムバラク辞任後、軍最高評議会が「文民政権への移行に責任を持つ」といっている。だが、軍部こそムバラク体制そのものだ。官製労組から独立した労働者自身の労働運動を一切禁止し、逮捕・拷問・虐殺をしてきたのは軍と警察だ。現に、軍は「非常事態法撤廃」「政治犯全員釈放」という要求に未だに応じていない。逆にデモやストライキの停止を勧告し、それができなければ禁止令を出すという。この軍部を最終的に打倒し、労働者階級の権力を樹立する土台となる力は、職場の革命=「職場をタハリールに」の闘いだ。エジプト革命は今や、第2段階に突入した。(ST)
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