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市東さん耕作権裁判、NAAを露骨にかばう裁判長と全面対決

s20110628a-1.jpg 6月27日、千葉地裁で市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟、顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民が、農地強奪攻撃への怒りを一つにして闘いぬいた。市東さんが祖父の代から耕し受け継いできた耕作地の一部を空港会社(NAA)が「不法耕作」と決めつけ明け渡しを迫っているのがこの裁判だ。だがその訴えのもとになる唯一の「証拠」である同意書、境界確認書に添付された図面(市東家の耕作地を特定した図)がまったくのデタラメであることがこの間暴き立てられてきた。 

 NAAは「旧地主の藤崎政吉が作成し、市東東市さん(孝雄さんの父・故人)がこれに同意した」ものとしてこれらの書類を持ち出してきたのだが、今年1月に弁護団が藤崎本人に面談して事情聴取したところ、一切の関与を否定したのだ。さらにNAAはこれら書類がどのように作成されたのか、どこに保管されてどこから見つけてきたのか、一切説明を拒否し、「担当者は故人なのでわからない」などと開き直っていた。まさにこの訴訟の成立にかかわる大問題だ。この図面をもとに市東さんは被告席に座らされているのだ! 重大な疑義が市東さん側から突きつけられている以上、NAAは藤崎との間での用地買収交渉の記録の報告書など、当然にも自ら所有している関連資料をすべて提出しなくてはならない。
 ところが白石史子裁判長はこの法廷で、資料の提出を促すようなことを「しない」とわざわざ態度表明したのだ。反対同盟と弁護団、傍聴席の怒りが爆発した。「なんだそれは!」「NAAへの露骨な肩入れだ!」「裁判所は農地強奪の手先か!」と傍聴席からの抗議の声で、法廷は騒然となった。弁護団は怒りをあらわに次々立ち上がり弾劾するが、裁判長は「資料を出すか出さないかは当事者が自分で決めること」という姿勢を変えようとしない。ついには弁護団に向かって「これ以上議論を重ねても仕方ない」などと言い放った。
s20110628a-2.jpg 市東さん自身も被告席で立ち上がり抗議した。ますます高まる怒号に狼狽しながら、裁判長は傍聴者3人に退廷命令を発した。NAA側の代理人弁護士は、沈痛な面もちでだんまりを続けるのみだ。偽造文書に等しいものを証拠として維持しようとするNAAと、それをかばい通そうとする裁判所を、弁護団は徹底的に追及し、追いつめた。次回期日は、10月24日。
 閉廷後、弁護士会館で記者会見と報告集会が開かれた。最初に市東孝雄さんが立ち、「現闘本部とうちの農地に同時に攻撃がかけられてきていることをひしひしと感じる。あんなひどい訴訟進行をこれ以上許さない。まずあの裁判長の考え方を変えさせましょう」と闘いの決意と意欲を述べた。さらに葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が裁判長の不公正なやり方を全面的に批判した。北原鉱治事務局長は退廷命令の乱発を弾劾し、「われわれは正義を守って正義を貫き、闘うしかない」ときっぱりと語った。続いて、市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉の後藤俊哉さん、関実が連帯発言を行った。
 最後に萩原進事務局次長がまとめの発言に立った。「成田空港の事業認定や原発建設推進においても、裁判所が最悪の先兵となってきた。こんな裁判を続けて反動判決を出すことなど絶対に認めない。徹底的に責任を追及するぞ、という姿勢で闘いぬこう。現闘本部破壊仮執行の攻撃はいよいよ切迫している。7月18日(月)午後1時半、現地闘争を構えるので全力で結集してほしい」と訴えた。原発への怒りが一層高まる中で、農民殺しの「国策」に実力で立ち向かう三里塚闘争も決戦を迎えた。一同はその覚悟と決意を大きな拍手で表した。(TN) 

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