三里塚・第3誘導路裁判――「NAAは文書提出せよ」
12月16日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で第3誘導路許可取消裁判の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団は支援の労働者・学生・市民とともに、成田空港の反公共性、反人民性を暴いて闘った。
反対同盟は11月18日から23日の間に暫定滑走路(B')の3本の誘導路の運用実態と騒音の調査を、市東孝雄さん宅の監視やぐらを中心に行った。これを専門家が分析して調査報告書としてまとめて提出するまでに半年を要することを、裁判所に認めさせた。
また、第3誘導路の違法性を証明するために、東側誘導路の欠陥性、違法性を今回あらためて突き出した。東側誘導路はもともとの空港敷地を大きくはみ出し、 東峰の森を破壊して造られたものだ。東峰地区の畑と家宅を大きく迂回する無用に長いルートで、暫定滑走路の南端で滑走路を横断する構造の、他に類を見ない 危険極まりない誘導路だ。これが実際に「使い物にならない」ことを理由に、今度は西側に第3誘導路が造られたのだ。こんなデタラメを許せるか!
また、第3誘導路は敷地を取得できる見込みがないまま建設が強行された(天神峰部落が所有する団結街道を成田市が勝手に廃止してその土地をNAAに譲渡した!)点で、航空法に違反している。
弁護団はこれらの批判を突きつけ、NAAに釈明を強く求めた。
次回期日を3月10日(月)として閉廷。
裁判所近くの会場に移動して、報告集会が行われた。伊藤信晴さんの司会で弁護団がこの日の法廷を解説したあと、市東さんの農地を守る闘いにおける重大な事態の進展があったことが葉山岳夫弁護士から報告された。
市東さんの農地をめぐるもう一つの裁判である「耕作権裁判」で千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)は12月9日、NAAに対し、空港公団(NAAの前 身)と旧地主・藤﨑政吉との用地買収交渉に関連する文書類の提出命令を出したのである。弁護団・市東さん側はこれまで、藤﨑と市東東市さん(孝雄さんの 父、故人)が交わしたとされる「同意書」「境界確認書」が偽造文書であり、その文書に添付された図面をもとにした市東家の耕作地の位置特定が誤っているこ とを一貫して主張し続けてきた。
そして用地買収に関する空港公団の交渉記録、関連記録一切を提出するよう弁護団が求めてきたのに対し、NAAは 前任の白石裁判長のときに10点の文書を提示したが、肝心の交渉記録は「存在しない」と言い張った。見え透いたうそだが、白を切りとおせるとNAAは踏ん でいたのだ。
だが、弁護団がそれらの記録文書の存在と取り調べの必要性をねばり強く主張し続けたことが、今回の「文書提出命令」となった。この 決定では「NAAが存在しないと言い張って提出に応じないのは、自分たちに不利な判断を下されることを予期しているからだ」と断定し、提出期限を「7日以 内」と通告している。まさにNAAは崖っぷちに追いつめられたに等しい。この事態は3月に開かれる農地裁判控訴審にも影響する。
熱心な質疑応答 をへて、動労千葉の滝口誠さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行い、最後に萩原進事務局次長がまとめのあいさつに立った。 「市東さんは自分の土地を100年近く耕してきて、それを不法耕作だと裁判に訴えられた。それがデタラメだと完全に明らかになった。こんな国策裁判に絶対 に負けるわけにはいかない! 霞が関に攻め上り、反原発、沖縄、労働者の闘いとの結合を求め三里塚を大胆に広げよう。この1年間をみなさんとともに闘った 満足感にあふれています。2014年もともに立とう」と1年の激闘を締めくくった。(TN)
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