ロンドン地下鉄労働者が2次にわたる48時間スト
ロンドンの地下鉄労働者は、2月4日から6日までの48時間ストに決起した。地下鉄路線は、ほぼ完全にストに入り、交通の70%が止まった。ストを組織したのは、RMT(鉄道・海運・運輸労組)であり、そこにTSSA(運輸職員協会)が合流している。
ストライキの要求は、ロンドン市交通当局による265の駅の窓口業務(チケット・オフィス)の全面閉鎖・960人の首切りという計画の撤回である。ストは1月のスト権投票で77%の高率で圧倒的に支持され、貫徹された。当局は、スト破りの部隊として、ロンドン・オリンピックの際に組織した特別輸送班を「オリンピック特使」と名付けて投入しようとしたが、ストを妨害することはできなかった。
第1次ストについで、2月11日から13日にかけての第2次48時間ストが予定されている。
ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、「ストは、ロンドンの頭に銃をつきつけるようなものだ」「しかし、計画に変更はない」などと強がりの弁を弄し、キャメロン首相は、「恥知らずのストライキだ」と許しがたい暴言を吐いている。これに対し、労働党ミルバンド党首は、「ストは遺憾だ」などと同調する有様だ。
今回のストの争点、265の駅の窓口業務全面閉鎖と960人の首切り計画について、ロンドン市交通当局は、鉄道業務の近代化と経費削減のためと称している。これは、地下鉄をはじめとする都市交通、中近距離交通に対する新自由主義攻撃の一環であり、駅業務の完全自動化や、無人駅化、管理・保守業務における人員削減などと関連して強行されようとしているのである。
この大量の首切りについて、当局は、「強制的解雇」ではない。あくまでも希望退職である、などといって、労働者の切り崩し、屈服を狙っている。
しかも、政府を先頭に、「スト権投票の有効性」を問題にするなどという形で、スト権、そしてストライキそのものへの攻撃を開始している。
これに対し、RMTは、ボブ・クロー書記長を先頭に、「窓口業務閉鎖・960人の首切り」絶対反対をかかげ、「希望退職の強制は、労働者への屈辱だ」「計画の撤回まで、ストライキは貫徹する」という声明を発表している。今回のストにおけるRMTとTSSRの共闘は、画期的である。
RMTは、マスコミによって策動されている鉄道・運輸労働者と通勤客(その実体は、労働者)との分断策動に対しては、駅頭・街頭などでのビラまきや説得活動などを展開し、労働者の団結強化をめざしてたたかっている(写真参照)。
RMT(鉄道海運労組)は、国際的連帯と支援を呼びかけ、動労千葉とのあいだでは、すでにエールの交換が開始され、韓国民主労総には、RMT連帯アピールをおくるなど、全世界の階級的労働運動のあらたな結集点になろうとしている。2月16日労働者集会は、鉄道・交通労働者の国際連帯のあらたな出発だ。
今回のロンドン地下鉄における経費削減攻撃は、2012年ロンドン・オリンピックによるロンドン市財政の破産的状況の回復を動機としている。2011年3月の巨大な労組デモや同年6月の75万人公務員労働者のゼネストなどに、新自由主義攻撃の強行をおびやかされたイギリス政府は、ロンドン・オリンピックの開催で、挙国一致体制を形成しようと策動した。そして、「テロ対策」の名目で、オリンピック開会から数日にわたってロンドンは、機動隊の制圧下におかれ、ゴーストタウンと化した。このための警備費のほか、膨大な設備建設費などのために、ロンドン市財政は、現在にいたるまで負債をかかえることとなった。
こうした状況のなかで、2011年5月に策定されていたイギリス鉄道再建計画による系統的な経費削減攻撃の本格化として、今回のロンドン地下鉄への攻撃がおこなわれているのである。
イギリスの階級闘争は、RMTのストが教育労働者のストへの決起にひきつがれようとしており、キャメロン政権の新自由主義攻撃との対決を強めている。(O)
写真①、②はストに決起した地下鉄労働者、③はスト支援行動に決起した市民
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