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動労総連合出向無効裁判 契約書を全部出せ 居直るJRを徹底的に追及

20150109b-1.JPG 動労総連合強制出向無効確認訴訟の第9回口頭弁論が12月24日、東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)で開かれた。これは、検修・構内業務の外注化により外注先への出向を強いられた動労千葉・動労水戸・動労連帯高崎の組合員が、JR東日本に対し出向命令の取り消しを求めて闘われている裁判だ。
 前回裁判でJRは、JR東日本と千葉鉄道サービス(CTS)との業務委託の概略を定めた基本契約書をようやく開示し、今回裁判前には水戸鉄道サービス(MTS)や高崎鉄道サービス(TTS)との基本契約書も出してきた。この裁判で重大な争点になっていた契約書の開示をかちとったことは大きな勝利だ。

 原告代理人弁護団は、開示された契約書の分析に基づき、外注化の不当性を徹底的に暴いた。開示された契約書の中の「覚書」と題する文書には、「不測の事態が発生し要員が確保できない場合、協議のうえJRが要員を確保する」と書かれている。「不測の事態」などと言うが、これは動労千葉がCTSでストライキに入った場合、スト破り要員をJR側で確保するという意味だ。原告代理人は「外注化の本質は不当労働行為だ。このような委託契約と出向は無効だ」と断言した。
 委託契約書をめぐっては13年9月、文書の偽造を防ぐため、前任の団藤丈士裁判長がJRに公証役場で内容の証明を受けるよう命じた経緯がある。しかし、今回開示された契約書は、公証役場で打たれた番号がところどころ欠番になっている。隠している文書があるということだ。
 原告代理人は「すべての契約書を出せ」とJRに迫った。しかしJRの代理人は「関係ないものは出さない。今、出しているものも本来なら出す必要はない」と言い張った。「関係ない文書なら、なぜ公証役場で内容の証明を受けたのか」と切り込む原告側に、JR代理人は「JR千葉支社が持ってきた書類をそのまま公証役場に持っていっただけだ。代理人として関係性については判断していない」と口走った。契約書の開示を強いられ追い詰められたJRは、代理人と千葉支社とが互いに責任をなすりつけあう内紛状態をさらけ出したのだ。
 JRはまた、隠している契約書の中には幕張車両センターの車輪転削関係のものも含まれることを思わず漏らした。原告側はすかさず「車輪転削も外注化され、労災事故まで起きた。出さない理由はない」と追及した。
 契約書が全面開示されれば、外注化は偽装請負そのものであることがより明白になる。これをめぐるやり取りを受けて、裁判長は「偽装請負というのは、あいまいな概念だ。偽装請負の定義づけを原告側ではっきりさせて、それと開示を求める書証とがどう関連するかを文書で主張するように。偽装請負が現場にどう影響するのかの解明が必要だ」と発言した。偽装請負という明確な違法行為を「あいまいな概念」などと裁判官が言うこと自体、許しがたいが、これは裁判所が原告側の主張の核心部分に引き込まれてきたことを示している。
 裁判後の総括集会では、代理人の各弁護士と動労連帯高崎の漆原芳郎副委員長、動労水戸の石井真一委員長、動労千葉の田中康宏委員長が発言した。委託契約書そのものにJRの弱点があり、それを徹底的に暴いてJRと裁判所を追い詰めたこの日の勝利を確認し、外注先の労働者を圧倒的に組織して外注化を打ち砕く決意を固めた。(I)

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