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新やぐら裁判、「解約許可処分は無効だ」

20160127a-1.JPG 1月25日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で新やぐら裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、”農地死守”の決意も固く、新年初の三里塚裁判に臨んだ。
 この裁判は、農地法裁判(現在上告審)で市東孝雄さんが明け渡しを求められている天神峰の耕作地の一角に建つ反対同盟所有のやぐら、看板など四つの工作物の収去を求めて、成田空港会社(NAA)が反対同盟を不当に提訴した裁判である。NAAは農地法裁判ではやぐらや看板などを市東さん個人の所有としたまま、この新やぐら裁判では反対同盟の所有物として訴訟を起こすというデタラメぶりだ。

20160127a-2.JPG 今回の法廷では、弁護団の西村正治弁護士が準備書面3を陳述し、「解約許可処分は無効」と主張した。
 NAAは2006年7月に千葉県知事の「解約許可処分」というお墨付きを得て、同年9月に市東さんに対し土地の賃貸借契約の解約を申し入れ、契約は終了した(だから出て行け)と主張している。その根拠が農地法20条2項2号だという。だが、その許可処分は無効だ。
 反論の機会なく一方的に小作権を侵害するという意味では、農地法20条2項2号自体が適性手続きを保障した憲法31条に違反している。
 そもそも成田空港建設において農地取得のために、農地法20条を適用して県知事の許可を取って賃貸借契約を解約し耕作権を奪おうとする策動は以前にもあったが、憲法29条(財産権)に違反するものとして1970年に農林省が否定的見解を出し、断念された。NAAはまたぞろその手口を持ち出してきたのだ。
 農地法20条はもともと、小作権の保護のために「知事の許可がなければ解約できない」という趣旨であるにもかかわらず、NAAはこれを悪用して農地明け渡しを迫り、市東さんの生存権を脅かしている。空港建設のために親子3代100年続いてきた農地をつぶす、こんな転用には何ら正当性、公共性がない。
 小作者の同意のない解約許可申請、農地転用はありえない。成田市農業委員会や千葉県農業会議が、市東さんらの抗議を退けてこれを通したことは重大な違法・違憲だ!
 さらに弁護団は、この新やぐら裁判が、同じ千葉地裁民事第2部、岸裁判長のもとで行われている市東さん耕作権裁判と争点が重なっていることを指摘し、耕作権裁判の進行を無視してこの新やぐら裁判を拙速に進めることなど決してないよう念を押した。
 次回期日を5月30日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれ、弁護団がそれぞれ法定での緊張に満ちたやり取りを解説し、参加者との質疑応答を行った。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、労農連帯を一層強化し、春闘を闘いながら、成田市中心部で開かれる3・27三里塚集会に全力で取り組む決意を表明した。
 最後に伊藤さんが、「今年は三里塚50年。反対同盟は軍事空港粉砕、第3滑走路阻止、農地死守を掲げ全力で闘う」と決意を述べ、報告集会を締めくくった。
 午後に反対同盟と支援連は、恒例の千葉市繁華街での情宣活動に立ち、寒風をものともせず、農地強奪を許さぬ5万人署名への協力を呼びかけた。(TN)

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