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三里塚一坪共有地裁判、弁護団が最終弁論

20161114b-1.JPG 11月10日、千葉地裁民事第5部(鹿子木康裁判長)で一坪共有地裁判の第34回弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団は最終弁論を陳述し、この日で結審した。
 この裁判は、鈴木幸司さん(故人)、いとさん夫妻が共有権を持つ駒井野の一坪共有地について、2006年に千葉県が明け渡しを求めて起こした訴訟だ。原告・千葉県は、「成田国際物流複合基地」なる貨物施設整備計画のために一坪共有地を奪い、一帯を造成して成田空港会社(NAA)に売り渡すというふれこみだったが、この計画はとっくに破綻した代物だ。

弁護団は133ページに及ぶ最終準備書面を陳述した。
 一坪共有地運動は、1966年に「新東京国際空港」を成田市三里塚地区に造ることが閣議決定されて直後、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」という組合が、「空港反対」を目的として一貫して行ってきたものである(組合財産の合有)。したがって共有地は個人的に売買することはできない。
 鈴木さんが当然にも買収を拒否したことで千葉県は「全面的価格賠償方式」、すなわち持ち分を金に換算して強制的に金銭補償で一坪共有地を取り上げようと本件裁判に訴えたのだ。しかしこの方式は極めて例外的なものであり、「特段の事情」がなければ通常は認められない。千葉県の「事情」とは、この土地を地ならししてNAAに早く売り飛ばしたいというだけだ。実際にはこの事業は130億円もの債務を残して破綻し、主体である千葉県企業庁も消滅してしまった。まったく意味がない!
 百歩も一万歩も譲って、これまでの共有権の買収を認めたとしても、この土地の現物分割が十分可能であることから、この全面的価格賠償方式による強奪はますます違法だ。県がこの一坪共有地を奪って、NAAという民間企業に売り飛ばす地上げ屋に等しい行為は、絶対に認められない!
 1時間30分にわたる堂々たる最終陳述に完全に圧倒され、原告・千葉県側は最後に言う言葉も見つからず、裁判長が結審を宣言した。判決は2月16日午後1時30分。
 千葉県弁護士会館で報告集会が伊藤信晴さんの司会で開かれた。
 最初に葉山岳夫弁護士が発言した。この裁判の途中で鈴木幸司さんが亡くなり、引き継いだ長男の謙太郎さんも急逝するという厳しい条件のもとで、故萩原進事務局次長がこの一坪裁判を反対同盟の裁判として最後までやりぬくために、勝利への執念を発揮して尽力したことが明かされた。
 続いて弁護団一人ひとりが、10年の裁判闘争の集大成としてこの日の陳述をやりきった充実感にあふれて発言した。特に、終盤になって裁判長に促される形で県が「この土地に物流施設を何か造るんだ」という主張と「証拠」を次から次へと出してきたことが強く批判された。
 連帯発言で、動労千葉の滝口誠さんは米大統領選でのトランプ勝利に触れ、「排外主義・差別主義が現れるこの時に、左のしっかりした闘いが必要だ。12・4三里塚現地集会に結集する」と決意を述べた。「市東さんの農地取り上げに反対する会」は11月20日に市東孝雄さんを中心に都内でシンポジウムを開くことを報告した。
 最後に伊藤さんが、「農地死守・実力闘争という原点を背負って今、市東さんが立ち上がっている。強制執行粉砕へともに闘おう」と12・4現地闘争への決起を呼びかけた。(TN)

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