三里塚新年団結旗開き―南台農地決戦勝利誓う
三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する新年初の敷地内デモと団結旗開きが1月12日に行われ、59年を数える三里塚闘争の本年のスタートを切った。この日は朝から小雨が降り、冷え込みも厳しいあいにくの天候だったが、反対同盟と支援の人々はものともせずに意気高く闘い抜いた。
年始の恒例行事としてまず、反対同盟は東峰神社で鳥居にかけられたしめ縄の交換を行った。その間も、頭上わずか40メートルをジェット機が数分おきに爆音を発してB滑走路へ着陸していく。この神社は東峰部落の総有であり、Bの南延伸に真正面から立ちはだかる、まさに「空港阻止」の闘争拠点だ。手際良く作業を終えると、反対同盟が前に並び「農地死守」の気概を込めてこぶしを固めて写真撮影に応じた。
そこから移動し、市東孝雄さんの南台農地に再集合。東京・関東近県を中心に参加者は増えていく。色とりどりののぼりを掲げながら新年のあいさつが交わされた。
太郎良陽一さんが、この畑について耕作権裁判の焦点であり成田空港会社(NAA)が強奪を狙っていることを簡単に説明した上、シュプレヒコールを意気高く上げて、直ちに120人がデモ行進に出発した。「成田空港=軍事空港粉砕/市東さんの農地を守ろう/戦争・大軍拡の石破政権打倒」と大書した横断幕が先頭に掲げられた。目指すは空港中枢、NAA本社だ。
反対同盟宣伝カーには婦人行動隊の宮本麻子さんが乗り、「空港反対・農地死守」の訴えを一帯にとどろかせた。デモ隊は南へ進み、取香(とっこう)地区へ。取香はかつて小泉(大木)よねさん(※)も住んでいたところだが、今では空港施設とホテル、駐車場などに満たされている。取香橋手前を左折し、国道295号線(空港通り)を空港に向けて力強く進んだ。第3ターミナル、貨物ビルなどに続き、「NAA」と書かれた建物が視界に入ってきた。大量動員された千葉県警・機動隊がデモの規制にかかるがこれをはねのけ、怒りを込めて「農地強奪を許すな!」「南台農地を守り抜くぞ!」のシュプレヒコールをたたきつけて前進した。
1時間強のデモで、天神峰・市東さん宅前の開拓組合道路に到着した。誘導路を走行するジェット機が間近に見え、天神峰農地だった場所は今は高い頑丈な鉄の塀で囲まれている。この光景が全参加者の怒りを一層かきたてた。
(※小泉よねさんは、71年強制代執行で、機動隊の暴力によって家と土地を奪われた。)
午後から芝山町飯櫃の福祉センター「やすらぎの里」で、新年団結旗開きが開催された。
前半の司会を婦人行動隊の木内敦子さんが務め、最初に芝山町・白枡の伊藤信晴さんが主催者あいさつに立った。真っ先に、昨今のトランプ米次期大統領の「グリーンランドをアメリカ領に」「パナマ運河を返還しろ」「メキシコ湾をアメリカ湾に名称変更する」「カナダはアメリカの州になれ」などの相次ぐ暴言を「まるでギャング」と非難し、石破政権がトランプと二人三脚で戦争に突進していることを指摘し、反戦闘争への全力決起を訴えた。そして、耕作権裁判の反動判決と南台農地強奪攻撃に身構え、日本農民の未来のかかった決戦として立つことを呼びかけた。
続いて、東峰の萩原富夫さんが「闘争宣言2025」を読み上げた。「ウクライナ戦争、パレスチナ人民虐殺も終わりが見えない中、トランプ政権発足によって混乱と衝突が激化し、世界戦争の危機が深まっている」と世界情勢を確認し、「新しい成田空港」構想なるものが「対中国戦争をにらんだ沖縄・南西諸島でのミサイル基地建設、
全国へとひろがる空港・港湾の軍事化、弾薬庫建設などの戦争準備と一体」と弾劾した。そして、「59年目の三里塚闘争は、戦争のための空港機能強化と市東さんの農地強奪に立ち向かい、成田軍事空港粉砕へ闘わなければならない」と断言。「仮執行など不当な判決が出た場合は、直ちに実力阻止態勢に決起しよう!」と呼びかけ、3・30天神峰現地闘争への総決起を訴えた。
「乾杯の音頭」として市東さんが登壇し、あいさつを述べた。「毎年決戦を呼びかけていますが、今年も同じようになりそうです。しかし、私ひとりでは何もできません。ここに集まられたみなさんの力で私の農地も守られています。反対同盟59年の闘いもみなさん方との団結の力でここまで続けて来られました。本当に感謝しております。判決が間近だということですが、まだまだ闘いはこれからです。負けたわけじゃないし、私の気力のあるうちは闘います。今年も皆さんとともにがんばりたいと思いますのでよろしくお願いします。25年も楽しく闘っていきましょう」。そして力強く「乾杯!」と盃を上げた。
連帯のあいさつの最初に、動労千葉委員長の関道利さんが立ち、反対同盟と「車の両輪」として、市東さんの南台農地をともに守り抜く決意を表した。幕張支部で1人の組織拡大を実現したことを報告し、国鉄分割・民営化、外注化の破綻が一層あらわになる中で、25春闘を「組織拡大・反戦春闘」として闘う決意を明らかにした。
関西実行委に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の西山直洋さんがあいさつに立った。労組として当たり前の組合活動への不当極まりない弾圧事件の判決が今年次々と4件下されることを報告し、三里塚と連帯しながら25年を反転攻勢の年にするとの決意を述べた。
反対同盟顧問弁護団は、耕作権裁判で実現した8人の人証調べの意義を振り返り、NAA側が証拠として提出している「同意書」「境界確認書」の証拠価値がゼロであることを解説し、勝利判決をもぎとるべく全力を尽くすと誓った。
ミニライブでは、三里塚でおなじみとなったトリオ「いなのとひら・のとこば」が、風刺を利かせた楽曲を披露し、会場を盛り上げた。
後半の司会を太郎良さんが務め、諸団体の発言に入った。「群馬・市東さんの農地を守る会」の労働者は、三里塚との連帯にかけて昨年「戦争反対」を掲げて職場ストに立ち、日系ブラジル人労働者と言葉の壁をのりこえて団結していることを報告した。
全国農民会議共同代表の小川浩さんは、農家が次々とやめていく日本農業の危機の現状を伝え、昨年の米不足の根本原因が減反政策にあることを指摘した。そして農民にとって三里塚のような闘いが今必要だと訴え、農民会議が先頭に立つ気概を表した。
さらに、婦人民主クラブ全国協議会代表の荒井素子さん、全国水平同盟書記長の田中れい子さん、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、杉並区議会議員の洞口朋子さん、関西新空港絶対反対泉州住民の会代表の中川育子さんなどの連帯発言が続いた。
ひときわ熱い拍手に迎えられて、全学連の矢嶋尋委員長が発言に立った。耕作権裁判で仮執行付きの反動判決が下された場合、直ちに現地行動隊を編成して闘うことを約束した。そして一昨年2・15天神峰強制執行で、NAAと国家権力が農地を破壊したことを「未来永劫許さない」と断罪し、しかしそこで体を張って解放感をもって闘いぬいた経験が、辺野古、広島など連続する反戦闘争を実力で闘う土台となったことを勝利的に確認した。そして成田軍事空港粉砕へ、全学連の隊列を倍増して立ち上がることを誓った。
革共同の秋月丈志書記長は、「日本帝国主義は三里塚のような闘いを残しておいて中国侵略戦争に踏み出すことはできない」と現在の攻撃の激しさの核心を述べ、自らも決起した1985年10・20三里塚十字路の闘いを振り返りつつ、「成田軍事空港建設、国鉄分割・民営化という二大国策を反対同盟と動労千葉が粉砕した」という巨大な意義を称えた。そして革共同は反対同盟との血盟にかけて立ち、トランプ反革命登場と対決し、中国侵略戦争を阻止すると断言した。
全員で「反対同盟の歌」を斉唱し、会場の熱気は最高潮に高まった。
最後に太郎良さんが「まとめと行動提起」を行った。「みなさんの発言を聞いて、反対同盟の背中を押されたというか、やはりやらなきゃいかんかという気持ちになった。もしまた強制執行となったら、2・15の比じゃない、もっとすごい闘いをやると決意しましょう! 反動判決を許さない! そして強制執行、来るなら来い!」。この心底からのアピールに全員が拍手と歓声で応じた。
そして3・30天神峰現地闘争と判決期日への全力結集を確認し、団結ガンバローを三唱し、三里塚の勝利を固く誓い合った。(TN)
スケジュール
◎団結街道裁判 1月24日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎団結街道裁判 2月28日(金)午後1時30分開廷 千葉地裁 最終弁論
◎空港拡張差し止め裁判 3月14日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎3・30天神峰現地闘争 3月30日(日)午後1時集合 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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