三里塚 一坪共有地裁判で強奪を認める反動判決
2月16日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、一坪共有地裁判の判決が言い渡された。
三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者・学生は傍聴席を埋め、被告側には顧問弁護団が着席したが、原告・千葉県の代理人は全員欠席のまま、10時30分に開廷。高瀬裁判長は、被告である鈴木いとさん(故鈴木幸司さんの承継人)の権利を完全に否定し、千葉県による一坪共有地強奪を認める反動判決を読み上げた。廷内は怒りの声で満たされた。(判決文執筆は前任の鹿子木康裁判長で、高瀬が代読。)
この裁判は、鈴木幸司さん、いとさん夫妻が共有権を持つ駒井野の一坪共有地について、千葉県が明け渡しを求めて2006年に訴訟を起こしたものだ。県は、「成田国際物流複合基地」なる貨物施設整備計画のために一坪共有地を奪い、一帯を造成して成田空港会社(NAA)に売り渡すという。鈴木さんが買収に応じないことに対し、「全面的価格賠償」すなわち共有権の持ち分を無理やり金銭に換算して賠償金とし土地を奪うという、極めて例外的で極悪なやり口をとることを、判決は良しとした。
閉廷後に近くの会場で報告集会が開かれた。
最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が、弾劾声明を読み上げた。
一坪共有地運動は、「三里塚周辺に土地を持つ会」という組合が、成田空港建設に反対する目的で土地の提供を受け、組合財産の「合有」としてきたものである。それを無視して売買したり、県が取得することは違法であり無効だ。ところが判決は県の言い分を丸ごと認め、会が民法上の組合であることを頭ごなしに否定し、全面的価格賠償方式という例外中の例外の共有物強奪のやり口をあっさりと認め、莫大な損失を計上して投げ出された事業を無理やり持ち上げ、成田空港の「公共性」を強弁するという、一字一句認めることができないものだ。
しかし、反対同盟が10年を超える歳月にわたってこの裁判を粘り強く闘いぬくことで、空港関連事業の一角を決定的破綻に追い込んだのである。
続いて弁護団一人ひとりが発言して、県の地上げ行為にお墨付きを与えた判決を断罪した。
動労千葉の中村仁さんが連帯発言に立ち、反動判決を打ち返し、労農連帯を一層強固にして闘い続ける決意を述べた。
最後に司会の伊藤信晴さんが、成田空港の現実は「公共」どころか、とてつもない騒音をまき散らすことで芝山町の人口減少、住民の生活破壊をもたらしている現実を怒りを込めて語った。そして、前々日の民事第5部・高瀬裁判長のもとでの審尋で、市東さんの農地に対する明け渡し判決の強制執行停止を、「1週間以内に保証金200万円納付」という条件でかちとったことを報告し、「期限は21日(火)。周囲にも呼びかけて緊急のカンパを直ちに反対同盟に集中してほしい」と要請した。
さらに今後の闘いの方針として、3月2日(木)の千葉市内デモと請求異議裁判闘争、3月26日(日)の全国総決起集会(会場・成田市赤坂公園)への結集を呼びかけ、市東さんの農地を守り抜く闘いへの全力決起を訴えた。(TN)
★緊急カンパの送り先
〈郵便振替〉 00130-0-562987 三里塚芝山連合空港反対同盟
〈銀行口座〉 みずほ銀行成田支店 普通預金2074135 イトウノブハル
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