韓国 大統領選へて新たな闘い 6・30社会的ゼネストへ
●大統領選は革命の本格的始まり
5月9日に投開票が行われた韓国大統領選挙において、保守野党「共に民主党」の前代表ムンジェイン(文在寅)が41・08%の得票で当選した。次点の保守派・自由韓国党のホンジュンピョ(洪準杓)は24・03%で、倍近い差がついた。
今回の選挙は、労働者民衆が自らの力でパククネの弾劾―罷免を実現し「今こそ積弊の清算をやりぬき、社会を根本から変えるときだ」「朝鮮半島を再び戦場にすることは絶対に許さない」という決意を固める中で行われた。これに対して保守勢力は米日帝国主義とともに「北朝鮮の脅威」をあおることで延命と巻き返しを図り、サード(THAAD=高高度迎撃ミサイルシステム)配備強行や米韓合同軍事演習もそのために強行された。
この思惑は完全に打ち砕かれたが、パククネに追従する勢力は今なお一定の力を持っており、革命と反革命とのせめぎあいは継続している。韓国労働者民衆の闘いは新たな段階に突入した。これは、民主労総が言うように「変化の終わりではなく始まり」だ。
民主労総は5月10日に直ちに声明を出し「1700万キャンドルの要求は政権交代そのものではなく、新たな大韓民国をつくろうというものだ」と確認。就任直後から保守勢力との妥協に向けて動くムンジェインに対し「積弊勢力との妥協は統合ではなく不正であり、屈服であり、退行にすぎない」とはっきりさせるとともに、ノムヒョン(盧武鉉)政権の「誤りを繰り返すな」と突きつけた。
また、パククネ政権退陣非常国民行動も声明で「新たな政府はむやみに和合や容赦を語るな」と述べた。さらに、労働者や農民をはじめとした人びとこそ積弊の清算をやりとげ、新たな社会をつくる主体であり、大統領のではなく自らの力で「働く人が尊重され、人権が尊重され、正義が通用し、平等で平和な国」をつくろうと呼びかけた。
●非正規職の撤廃めぐり攻防激化
ムンジェインとはそもそも2003〜08年のノムヒョン政権時代に大統領秘書室長を務めた人物であり、資本の利害を代弁して多くの労働者を非正規職に突き落とした張本人だ。民主労総が警告したとおり、ムンジェインは就任後直ちに裏切りの道を歩み始めた。
とりわけ大きな焦点となっているのが、非正規職撤廃だ。民主労総がこれをスローガンとして6・30社会的ゼネストへと闘いを進めていることに、資本家階級は恐怖を募らせている。
ムンジェインは12日にはインチョン(仁川)国際空港を訪問。非正規職労働者と対話するパフォーマンスを行い、「任期内に公共部門労働者の非正規職ゼロ時代を開く」と語った。しかし、ここで約束した「1万人の正規職化」の内実は無期契約職への転換でしかなく、賃金などの労働条件が正規職と同じになるという保証はどこにもない。労働者民衆の「非正規職撤廃」の要求に応えるものでは断じてない。
そしてムンジェインは同日、パクヨンチョルという弁護士を「反腐敗秘書官」に任命した。ところがこの人物はあろうことか、最悪の労組破壊攻撃に手を染め、労働者を死に追いやってきたカブル(甲乙)オートテックの資本側代理人なのだ。激しい怒りが巻き起こる中、民主労総は即座に徹底弾劾して撤回を求めている。
●労働者自身の手で新たな社会を
全世界で新自由主義の崩壊と戦争の危機が進行する中、労働者人民は自らの力で社会を根底から変革する闘いを陸続と開始している。その先頭を走る韓国の労働者階級は必ずムンジェイン政権をのりこえ、労働者自身の新たな政党を建設し、労働者権力の樹立をめざす闘いに立ち上がる。
民主労総は6・30社会的ゼネストを通じて、この間闘いに合流してきた膨大な数の労働者と結びつこうとしている。そこにおける最大のテーマは、正規職―非正規職という分断を打ち破る労働者の階級的団結をつくり出すことだ。日本でも課題はまったく同じだ。韓国の仲間と心をひとつに、ゼネストを実現できる労働運動をつくり上げよう。
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