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三里塚請求異議控訴審―市東さんが怒りの陳述

「強制執行反対」の1336通の要望書を携え、東京高等裁判所第4民事部に提出へと向かう反対同盟(9月24日 裁判所前)

9月24日、東京高等裁判所第4民事部(菅野雅之裁判長)で、天神峰・市東孝雄さんの請求異議裁判控訴審の第1回が開かれた。
三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団は、「農地死守」の気概に燃えてこの日を迎え、全国から160人の労働者・農民・学生・市民が駆けつけ、ともに闘いぬいた。
開廷に先立つ午前11時30分、首都ど真ん中の日比谷公園霞門に集合し、太郎良陽一さんの司会で決起集会が始まっ

開廷を前に三里塚反対同盟と支援の労農学市民が霞が関デモに立ち、東京高裁(右の建物)に迫った(9月24日)

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最初に伊藤信晴さんが、空港機能強化策に加担してきた芝山町当局の、台風被害・大停電に対する無為無策・無責任を強く糾弾した。動労千葉の中村仁さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言が続いた。さらに全国農民会議事務局長の秋山和雄さんが、農業切り捨てを進める安倍政権のもとで苦しむ農民自身の課題として、市東さんの農地を守りぬくことを訴えた。
高らかにシュプレヒコールを上げて、デモ行進に出発。反対同盟旗を先頭に色とりどりの旗・のぼりが霞が関一帯を席巻し、「農地を守れ」の叫びがとどろいた。

要望書提出へと向かう反対同盟を拍手と声援で見送る人々(9月24日 裁判所前)

午前中の産直野菜の出荷作業を終えて到着した市東孝雄さん、萩原富夫さんが合流し、午後1時、裁判所前に「耕す者に権利あり」の横断幕を掲げて、反対同盟が集合。熱い拍手に送られて、これまでに全国から寄せられた「強制執行認めるな」の1336通の要望書を携えて裁判所内へ向かった。16階の東京高裁第4民事部書記官室を訪れ、申入書を読み上げて要望書を提出した。
午後2時30分、80席近い102号法廷を満席にして開廷した。
市東さんが意見陳述に立った。冒頭に、「一審判決は、私の生計と生きる希望を断ち切り、『農業をやめろ』と言うものです。農民としての私に対する死刑判決そのものです」と怒りをたたきつけた。そして、自分の農地が有機農業のためにかけがえのないものであること、NAA(成田空港会社)が違法な手段を重ねながら強制執行で農地を強奪するなど絶対に認められないことを訴えた。さらに、「金を受け取って出て行け」と促す一審の高瀬判決を徹底批判し、天神峰で農業を続けていく不動の意志を表し、傍聴席からの大きな拍手に包まれた。
続いて顧問弁護団が、心血注いで書き上げた223ページに及ぶ控訴理由書を読み上げた。
最も重要な焦点は、国と空港公団(NAAの前身)が1994年に、「平行滑走路用地取得のためにあらゆる意味における強制的手段を用いない」と確約したことだ。「確定判決」をたてに強制執行で農地を取り上げることは、「強制的手段」そのものだ。ところが一審判決は勝手な解釈で、「話し合いの努力をした上で合意に至らなければ、強制執行もかまわない」とお墨付きを与えた。こんなデタラメがあるか。
さらにNAAは市東さんから農業を奪おうとしながら、「離作補償」を支払う意思がまったくない。
執行が行われれば、かつて1971年強制代執行で取香の小泉よねさんに対し機動隊が凄惨な暴行を振るい、家屋を破壊し、やがて死に至らしめた事態を再現となる。著しく道義に反する権利濫用の過酷執行である。
国連総会は18年12月に「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」を採択したが、その直後に下された一審判決は、世界の流れに逆行し、高い公共性を有する市東さんの有機農業をつぶそうとしている。
市東さんの身体の延長とも言うべき農地を奪うことは許されない。高裁は原判決を取り消し、強制執行を不許可とせよ!
2時間を超える弁護団の圧巻の陳述をたたえて、大きな拍手が湧いた。
被控訴人NAAの代理人は、自分たちの主張・立証に何の責任も取らず、一審判決をただなぞっただけのお粗末な答弁書を提出した。
次回は弁護団が主張の補充や証人の追加申請などを行うことを確認し、期日を来年1月16日として閉廷した。

報告集会で参加者へのお礼と決意を述べる市東孝雄さん。右は葉山岳夫弁護士(9月24日 衆議院第二議員会館)

衆議院第二議員会館において、報告集会が伊藤さんの司会で開かれた。最初に市東さんがあいさつに立った。「台風の被害に対し多くの心尽くしをいただきました。控訴審が始まり、裁判長は物分りがよさそうな態度を演じていたがこれが曲者です。気を引き締めて闘っていきましょう」
続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言し、朗読した理由書の要点に解説を加え、この日の闘いの前進と次回への展望を語った。市東さんの農地を守る沖縄の会の連帯発言を受け、最後に東峰の萩原富夫さんが、台風被害救援へのお礼と目前に迫る10・13全国集会、そして次回1月16日の第2回への大結集を呼びかけた。
(TN)

◎10・13三里塚全国総決起集会
10月13日(日)正午
成田市東峰・萩原富夫さん宅畑(市東孝雄さん宅南側80㍍)
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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