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民衆総決起で改憲・戦争とめよう 「黒い雨」訴訟控訴を弾劾する 内部被曝隠す安倍に怒りの反撃を

「感染症対策」に名を借りた集会規制を打ち破ってかちとった8・6早朝の原爆ドーム前集会(広島市)

広島市への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたにもかかわらず、国によって援護対象区域外とされてきた住民らが起こした訴訟で、広島地裁は7月29日、原告84人全員に被爆者健康手帳を交付するよう広島市・県に命じた。これに対し、市と県は8月12日、判決を不服とする政府・厚生労働省の要請に応じて広島高裁に控訴した。原告の被爆者のみならず、福島をはじめ内部被曝と闘う世界中の民衆の命をないがしろにするものだ。被爆地行政の対応として、断じて許すことはできない。
地裁判決の翌々日の7月31日、市と県の幹部は厚生労働省を訪問し、国に控訴断念を求めていた。それから一転して控訴に踏み切ったことについて、松井一實市長は12日の記者会見で「国と足並みをそろえざるを得ない」と釈明した。しかし、2009年の救護被爆者訴訟で広島地裁が原告7人に被爆者健康手帳の交付を命じた際には、厚労省は市による控訴の断念を「市の判断を尊重する」として認めている。被爆者健康手帳の交付審査は国からの法定受託事務として市・県が行うものだが、国の要請を断ることは可能なのだ。何が「足並みをそろえざるを得ない」だ。松井市長・湯崎英彦知事の二枚舌による責任逃れ、被爆者切り捨てを絶対に許すことができない。
 被爆75年8・6ヒロシマ闘争の成功を引き継ぎ、この秋、国の戦争責任・被爆責任を追及して闘う被爆者とともに広範な運動をつくり出そう。被曝を隠蔽(いんぺい)し、原発再稼働・核武装化を狙う安倍政権を打倒しよう。
 暴かれた内部被曝
7月29日の広島地裁判決の画期性は、司法が正面から内部被曝を認めたことにある。高島義行裁判長は、判決文で「『黒い雨』に遭った者について放射性微粒子から受けるおそれのある健康被害の程度を評価するに当たっては……内部被曝の可能性がないかという観点を加味して検討する必要がある。また、そのような検討に際しては、内部被曝による身体への影響には外部被曝と異なる特徴があり得るという知見が存在することを念頭に置く必要がある」と明記した。
裁判では、大瀧慈・広島大名誉教授(統計学)が、大規模な被爆者への聞き取り調査の再検証などから、爆発から1分以内に到達した初期放射線量のみを評価の対象とした被曝線量評価基準「DS86」の構造的不整合を明らかにし、初期放射線による被曝と非初期放射線による被曝(放射線微粒子吸引による内部被曝)とにわけて、被曝モデルを考察する必要性を示した。そして、残されたデータから実際に被曝距離が爆心地から1・2㌔メートル以遠の場合でも、固形がんによる死亡危険度において初期放射線量換算で2・0シーベルト以上の被曝と同等が検出されているなどいくつかの事例を取り上げ、初期被曝線量では説明できない解析結果について、残留放射能を含む放射線微粒子の曝露の関与が大きいと結論付けた。
さらに原告84人については、爆心地の地上付近の家屋に含まれるマンガンやナトリウムが中性子により放射化され、放射性核種が生成、それが雨滴や塵灰(じんかい)に混じって地上に落下し、飲み水の井戸や川に流れ込み、畑の野菜に付着した放射線微粒子を吸引することで被曝したと推論した。このように「黒い雨」被爆者の40年以上におよぶ不屈の闘い、そして科学者・専門家の懸命な努力の末に、ついに核推進勢力による内部被曝隠しの虚構を暴き出したのだ。
 核廃絶まで闘おう
しかし、こうした研究結果を踏まえた判決について、加藤勝信厚生労働相は「十分な科学的知見がない判決」と切って捨てた。どこまでも挙証責任を被爆者に求めているのだ。しかし、問題は逆だ。国が被爆者でないことを証明出来るなら、してみれば良いではないか。市と県の控訴について、原告団長の高野正明さん(82)は、「結論ありきの逃げの姿勢で許すことができない」と、怒りをあらわにした。この間「黒い雨」被爆者の命がけの闘いはマスコミでも大きく報じられ、核に怒る世界の民衆を鼓舞激励してきた。被爆者の闘いは、被曝の危険性を明らかにし、世界から核と戦争を廃絶するまでやむことはない。
すべての労働者・学生・市民のみなさん、その日までともに闘おう!

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