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三里塚第3誘導路裁判、「不要と化したB’滑走路閉鎖を」

今や飛ばない飛行機の駐機場と化した成田空港。旅客数は99%減。NAA田村社長はそれでも機能強化・空港拡張をやると強弁する。

10月9日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年12月以来の開廷となり、傍聴席は3分の1に制限された。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、9・27全国集会成功の追い風を受け、農地死守・成田空港廃港への決意をみなぎらせて闘い抜いた。
この裁判では反対同盟が、被告の国と成田空港会社(NAA)に対し、B’滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という、二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B’滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
最初に弁護団は、陪席裁判官の交代に伴う更新意見陳述を行った。
空港公団の事業を引き継いだNAAは、「基本計画」に従って空港の設置管理を行わなければならないことが法律で義務付けられている。ところが、基本計画にあるB滑走路とは位置も長さも異なるB’滑走路を「暫定滑走路」として設置して長年供用し、その上に今度は「機能強化」と称して基本計画を改定して北へ1000メートル延伸しようとしている。違法の上に違法を重ねる行為だ。
そして新型コロナによる航空需要の激減でB’滑走路は閉鎖され、のちに再開したものの今や誰が見ても無用の長物と化してしまった。この上1000メートル北延伸や、第3滑走路建設などまったくの無意味。空港拡大路線の象徴であるB’と第3誘導路は撤去すべきだ。
そして弁護団は、成田空港と全世界の航空会社が直面する航空需要の蒸発に関する多数のマスコミ報道のコピーを証拠として提出し、「今後の回復はありえない」と断じた。

天神峰・市東孝雄さんの自宅、耕作地とB滑走路(実は暫定B’滑走路)

さらに弁護団は準備書面38、39を陳述し、新型コロナ拡大の根源的原因が、現代の資本主義におけるグローバリズム的展開にあることを指摘した。企業による市場の無秩序な開拓、乱開発と自然破壊によって、「未知のウイルス」による感染症がグローバル経済・市場を通じて全世界に拡散した。「航空需要の急増」という神話が泡と消え、B’滑走路とその誘導路の前提条件が崩壊した。
そして国家的規模の公共事業にとっての基本計画は、「憲法」として厳格に守られるべき強行法規なのに、平然とそれを無視して違うものを造っていくことは、周辺住民の生命・財産などの権利を侵害する違法だ。B’滑走路と第3誘導路の変更許可処分を速やかに取り消せ!
今や飛ばない飛行機の駐機場と化した成田空港の惨状を徹底的に暴きたてる弁護団の追及に対し、被告席に居並ぶ国とNAAの代理人たちは空港存亡のリアルな危機を痛感し、打ちのめされた表情を隠せない。

内野俊夫裁判長

内野裁判長も無表情で淡々と手続きを進めている風を装いながら、破綻した国策の現実をこれでもかとばかりに突きつけられて、内心あせりを深めている。
次回期日を来年の1月22日、次々回を4月16日と確認し閉廷した。
近くの会場で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれ、弁護団は空港廃港へ向けてさらなる意気込みでNAAを追い詰めることを誓った。動労千葉の中村仁書記次長が連帯発言に立ち、11・1全国労働者総決起集会への参加を呼びかけた。最後に伊藤さんが、市東孝雄さんの農地を守るため10・22請求異議控訴審・東京高裁包囲デモへの結集を強く訴えた。
(TN)

スケジュール 

◎請求異議控訴審(最終弁論)
10月22日(木)
午前11時30分 東京・日比谷公園霞門(かすみもん)集合
正午、裁判所へ向けデモ行進に出発
午後2時開廷 東京高裁102号法廷

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