三里塚全国集会開く―軍事空港阻止、南台農地死守を
三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国総決起集会が10月8日、成田市赤坂公園で開かれた。市東孝雄さんの天神峰農地強制執行に対する怒りをあらためて燃え立たせ、労働者・農民・学生・市民520人が参加した。
本集会を前に、改憲・戦争阻止!大行進が独自集会を開き、闘う労働者、学生の熱烈な発言で会場の熱気を高めた。
婦人行動隊・宮本麻子さんの司会で正午に本集会が開会し、最初に伊藤信晴さんが主催者あいさつを行った。
伊藤さんは、2月の強制執行で敵は市東さんの闘志をくじくことを目指したが、その意図を粉砕して農業再建が進んでいることを報告した。耕作権裁判において国家権力は反動的判決を狙っており、空港機能強化=第3滑走路建設へ向けた準備工事がこの10月にも着手されることに警鐘を鳴らした。そして、南台農地を守る決戦を訴え、「空港拡張反対署名」へのさらなる取り組みを呼びかけた。
続いて東峰の萩原富夫さんが基調報告を行った。
第一にウクライナ戦争の激化の中で、岸田政権が武器供給を伴う参戦国になろうとし、戦争を準備し「民間の空港の軍事利用」を狙っていることを指摘した。
第二に、昨年10・9全国集会から2月天神峰強制執行にいたる激闘の4か月を振り返り、「やれることはやった。しかし執行を止められなかった。われわれに200人超の人数がいたら、攻撃を跳ね返せたのではないか」と悔しさを込めて語りつつ、体を張った実力闘争をやりぬき、反対運動つぶしという敵の狙いを粉砕した勝利を力強く確認した。
第三に、第3滑走路準備工事、「新しい成田空港」構想、戦争のための機能強化攻撃を弾劾し、空港拡張反対署名、南台農地を守るための耕作権裁判の毎回のデモと傍聴、騒音被害と闘う住民との連帯を呼びかけた。さらに「食料安全保障」を叫んで農民を戦争に動員する食料有事法を許さず、福島・沖縄と連帯して、三里塚を反戦の大闘争へと発展させることを熱烈に訴えた。
連帯のあいさつの最初にに動労千葉の関道利委員長がマイクを握った。「車の両輪」として反対同盟とともに空港廃港まで闘う決意を表した上、JR東日本が「鉄道を持つIT企業へ」と称して要員削減、外注化、出向などの攻撃をかけ、現に重大事故が多発している実態を明らかにした。そして戦争の危機の中で日比谷野音で開かれる11・19労働者全国総決起集会への大結集を強く呼びかけた。
関西実行委の連帯発言に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の連帯メッセージが紹介された。
全参加者とマスコミの注目の中、市東孝雄さんが発言に立った。
「2月15日の強制執行から8カ月が過ぎました。この間みなさんの本当に温かいご支援をいただき、ビニールハウスなどを建てました。確かにモノと土地は取られましたが、そんなことで私はシュンとなるような性格でもないし、みなさんもいる、私ひとりじゃないということで、これからもまたがんばります。動労千葉をはじめとする闘う労働組合と連帯し、市民、学生さんとの団結の力で、そして福島・沖縄・三里塚を一つの闘いとして、これからも『闘魂ますます盛んなり』で闘います」
この市東さんの簡潔明瞭な不屈の決意、不動の姿勢に惜しみない拍手が続いた。
続いて反対同盟顧問弁護団3人が登壇し発言した。山場を迎えた耕作権裁判で、NAA側の「同意書」「境界確認書」に証拠価値なしと裁判所が判断したことを勝利的に確認しつつ、油断することなく人証調べで一層NAAを追い詰め、実力闘争と一体で裁判闘争を闘い、不当判決を絶対に出させない決意を述べ、毎回の傍聴への参加を要請した。
市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が発言した。群馬の会の労働者は、9・24高崎集会の成功を報告し、困難な中でも自らの職場闘争の勝利を三里塚と結び付けて奮闘することを誓った。
全国農民会議共同代表の小川浩さんは、福島の鈴木光一郎さん(共同代表)のメッセージを読み上げた上、酪農、米作を例に挙げて現在農民が置かれた苦境を訴えた。そして岸田政権が「食料安保」を掲げて有事に主要穀物の栽培を農家に強制する法改悪へと進んでいることを暴き、農業つぶしと戦争の攻撃に対し、三里塚のように闘うことを訴えた。
宮本麻子さんが「南台農地を守り、耕作権裁判に勝利するために」と、カンパアピールを行った。
ここで音楽の時間を迎え、参加者が心を一つにしてギター伴奏で「誇りも高き農地死守」と反対同盟歌を熱唱した。
後半の司会を太郎良陽一さんに交代し、福島の椎名千恵子さんが発言した。椎名さんは岸田政権による福島第一原発の汚染水海洋放出への怒りをたたきつけ、「絶対反対」で地元の農民・漁民と手を組み闘う体制づくりを全力で追求していることを報告した。
市東さんの農地を守る沖縄の会は、岸田政府が辺野古新基地建設の工法変更について「代執行」を行う訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした暴挙を弾劾し、三里塚と連帯して軍拡・戦争阻止へ全力で闘うことを誓った。
続いて、激化する成田の騒音に対し「眠れる夜と静かな朝」を求めて訴訟に立ち上がった138人の地元住民のうち2人が発言に立ち、クラウドファンディング(資金カンパ)への協力と、11月28日に千葉地裁で開かれる行政訴訟第1回への傍聴を訴えた。
さらに、婦人民主クラブ全国協、星野全国再審連絡会議、全国水平同盟などが、ともに南台農地を守り抜く決意を表した。
ひときわ大きな拍手に迎えられ、赤嶺知晃全学連委員長が発言に立った。「市東さんの農地取り上げを阻止する闘いは反戦闘争の最前線」と位置づけ、危機に追い詰められ軍事空港建設、改憲・戦争へと突き進む岸田政権を内乱的な闘いで打倒する決意を述べ、10月反戦闘争の爆発から11・19労働者集会へと攻め上る全学連の意気込みを鮮やかに示した。
最後に太郎良さんが、あらためて2月強制執行への激しい怒りを湛えながら闘いの前進を確認し、陣形を拡大強化して2月を倍する闘いで南台農地を守り抜くことを訴えた。さらに今後耕作権裁判での人証調べが毎月行われることを告げ(11月13日、12月18日、来年1月22日)、毎回のデモと傍聴への結集を強力に訴えた。
団結ガンバローを三唱し、反対同盟を先頭に公園からデモ行進に出発。成田ニュータウンを東西に貫く大通りに繰り出した。
空港のための街として一帯の山林を切り開き造成・整備されたこの街だが、空港に何もかも依存してやっていける状況ではなくなっていることを住民も実感している。そして成田の軍事使用もますます現実性を増している。
デモ隊が真っ向から「空港反対」「機能強化やめろ」のコールを響かせ大通りを堂々と行進すると、沿道の住宅や建物から手を振って激励する人、携帯カメラで歩道上で写真を撮る人など、住民・労働者は思い思いにデモへの関心を寄せた。
警視庁公安部と千葉県警は終始、デモ行進への挑発と強圧的規制を行いながら弾圧の機を窺ってきたが、全員が毅然としてこれを跳ね返した。反対同盟の宣伝カーには宮本さんが乗り込み、一帯に戦争反対と農地死守の訴えをとどろかせ、シュプレヒコールをリードした。
ところがすぐその前で機動隊の指揮官車が切れ目なく「デモが行われている」「デモが通過している」「デモ隊は警察官の指示に従え」などとまったく不必要な告知を大音量でまき散らしている。明らかに同盟宣伝カーに対する妨害行為だ。萩原さんが、強い怒りをあらわにして指揮官車と機動隊に詰め寄り抗議して、これをやめさせた。
JR成田駅にほど近い公園までのデモを貫徹し、全参加者は戦争と農地強奪に対する怒りをますますかき立てて立ち上がることを決意した。(TN)
スケジュール
〇耕作権裁判(証人調べ第1回) 11月13日(月) 元空港公団用地部職員の法理哲二と航空写真鑑定家
〇耕作権裁判(証人調べ第2回) 12月18日(月) 賃借地時効取得問題についての専門家
〇耕作権裁判(証人調べ第3回) 1月22日(月) 反対同盟法対部で活動していた元永修二さん
★いずれも午後1時45分開廷 千葉地裁 開廷に先立ち千葉市内デモを予定
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