ライドシェアに反対し学習討論集会
岸田政権は「ライドシェア」を4月に部分解禁し、6月には全面解禁に向けた法案を取りまとめようとしている。これと対決する「ライドシェア反対!学習討論集会」が3月20日、東京都内で開かれた。労組交流センター民間交通運輸部会のタクシー労働者を中心に全国から労働者が集まり、固く意思を統一した。
集会実行委員会を代表して、自交総連SKさくら交通労組の河野晃興委員長が集会の趣旨を提起した。ライドシェアはタクシー労働者の雇用と生存権を破壊するだけでなく、労働基準法も労働安全衛生法も最低賃金法も適用されないような労働を全産業に広げる攻撃だ。河野さんは、この攻撃をタクシー労働者として真正面から受けて立つと表明した。そして、ライドシェアは労働力を含む一切を国防に集中する国家改造攻撃の一環だと強調した。
改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人で、タクシー労働運動にも深くかかわってきた高山俊吉弁護士が講演した。ライドシェアが解禁されれば、白タクの禁止や2種免許を持つ者だけが有償の運送業務に携われるとした規制は、全面撤廃される。1種免許しか持たない人も、ウーバーなどの大手IT企業が運営するアプリに登録して、乗客と条件が合えば運送業務に携われる。アプリを運営する企業は運転手の雇用主ではなく、乗客と運送契約を結んだ者でもないとされ、何の責任もとらない。事故が起きれば責任を負わされるのは運転手だ。アプリ運営企業が「プラットフォーマー」と呼ばれるのは、運転手と乗客とを仲介する「台」「場」を提供しているにすぎないとみなされるからだ。そこでは、現実に存在する資本家と労働者との関係、搾取する者とされる者との関係は隠されてしまう。
こうして雇用関係も労働者の労働者性や権利もすべて否定するものがライドシェアだと高山弁護士は力説した。新自由主義攻撃の破滅的な展開が行き着いたこの攻撃は、ひとたび導入されれば製造業など全産業に拡大する。また、搾取関係を否定して「対等な市民同士の契約関係」を偽装することは、資本が起こす戦争に労働者を動員するための攻撃でもある。高山弁護士はこう指摘して、敵の攻撃の核心をつかんで反撃しようと呼びかけた。
講演を受けて、参加したタクシー労働者が各職場の状況と闘いを報告した。表向きは「ライドシェアの全面解禁には反対」という経営者も、実際にはその準備を進め、労働者への新たな攻撃に乗り出している。労働者自身の力に依拠し、ライドシェア反対の闘いをつくり出そうと、参加者は決意を固めた。郵政や自治体などの労働者も、わがこととして共に闘うと表明した。集会での討議で、次回は全面解禁が迫る5月末、東京で反対行動に立つことを確認した。
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