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三里塚「強制収用やめろ!」―千葉県庁前からデモ、拡張差止裁判

「強制収用やめろ!」の横断幕を高く掲げ、羽衣公園から反対同盟を先頭にデモに出発(5月12日 千葉市)

三里塚芝山連合空港反対同盟は5月12日、「強制収用やめろ!」千葉県庁デモと千葉地裁での空港拡張差し止め裁判(千葉地裁民事第3部)を連続して闘いぬいた。
成田空港機能強化での土地収用法による強制収用手続き(事業認定申請)が進められようとしている中で、反対同盟が怒りの反撃に立つ一日となった。
快晴のもと午前9時、千葉県庁と千葉県警察本部の建物に囲まれた千葉県立羽衣公園に、反対同盟と支援の労働者・学生・市民75人が集合し、太郎良陽一さんの司会で総決起集会を開いた。
最初に反対同盟を代表して東峰の萩原富夫さんがマイクを握り、農民としての激しい怒りをたたきつけた。「NAA=空港公団は30年前に、空港建設で二度と強制的手段を用いないと確約した。ところが30年たって、機能強化で滑走路3本を造ってアジアで戦うんだと言い出した。地元の住民は、今時こんな空港を造って飛行機飛ばして、地球温暖化、環境破壊、農業破壊を促進するのはだめだと買収を拒否している。ふるさとの農業、お墓、文化を壊されていくことへの怒りもある。NAA社長、熊谷千葉県知事、地元の首長らは、説明会をたくさんやったのに応じてくれないから、強制収用しかないと言う。
私たち農民にとって、これは脅迫だ! 空港のはもうかるが、農業は生産性が低いからつぶしていい、そういう考え方は間違っている! 自民党は食料は輸入すればいいという考え方だろうが、われわれ農民は日々汗水たらして土と向かい合って食料生産を必死にやっている。このことを何も分かっていない!
反対同盟が60年、空港絶対反対を掲げて闘ってきたことが今確実に、住民の生活を守る下支えになっている。事業認定、強制収用をやろうとしている千葉県に対し、本日はこの県庁の前から、土地収用法粉砕、強制収用絶対反対の声を上げてデモを行い、拡張阻止裁判に臨もう!」
続いて動労千葉の中村仁副委員長が、「国のために、と言われて戦争に動員された歴史を繰り返さない。強制収用絶対反対の声を上げ、連帯・団結の暴力で国・県・空港に立ち向かおう」と訴えた。

萩原富夫さんが「強制収用で農地を取り上げろ、こんな考えは間違っている!」と怒りをあらわに発言(千葉県立羽衣公園)

さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、事務局の伊藤信晴さんが、芝山における農業の厳しい現状を報告し、空港機能強化は町の農業破壊、生活破壊を致命的に進めることを指摘し、「強制収用を絶対に粉砕する」と決意を表明した。
意気高くシュプレヒコールを上げてデモに出発した。宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが、千葉市中枢に「第3滑走路建設阻止」「強制収用許すな、土地収用法粉砕」「成田を侵略の出撃拠点にさせない」の訴えを響かせた。
県警機動隊の規制をはねのけ、千葉地裁裏手の吾妻公園までのデモを貫徹した。

参加者は直ちに千葉地裁での拡張阻止裁判の傍聴に臨んだ。
成田空港拡張差し止め裁判(旧称、第3誘導路裁判)は、国とNAAに対し、①B滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、②第3誘導路建設(2010年)の2つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、さらに③機能強化に伴う施設変更許可(2020年)の無効確認と一切の工事の差し止めを求める裁判である。原告には反対同盟だけでなく、昨年10月に成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民30人が加わり、地元の怒りで空港を包囲し、機能強化に立ちはだかる重要な裁判闘争となっている。
この日から裁判官全員の顔ぶれが変わった。民事第3部の新裁判長は、大寄久(ごうより・ひさし)、昨年度末までは東京高裁の民事部にいた。左右陪席裁判官も含め一度に3人全員が交代するのは極めて異例だ。
今回は弁論更新手続きとして、反対同盟顧問弁護団が約1時間にわたり、以下の内容の意見陳述を行った。
航空法第39条1項2号には、「他人の権利を著しく害することにならないものであること」と空港設置の要件が明記されている。この「他人の権利」について被告の国とNAAは「財産権(不動産所有)に限定される。人格権は含まれない」と主張している。つまり空港近隣の住民が激しい騒音や事故の危険性によって生命と健康を維持し、生活を営んでいく上で著しく支障をきたしても知ったことではないというのだ。
こんなデタラメがあるか。人々の生命・健康は憲法第25条、13条等によって保証されている基本的人権である。厚木基地騒音訴訟では、損害賠償が認められ、騒音被害を受けた近隣住民の人格権侵害についての違法性判断は、完全に定着している。
 ところが年間騒音量では厚木の10にも達する成田空港においては、被告・国が人格権侵害を認めないとの主張を繰り返し、原告に向かって「所有する財産を明らかにしろ」などと筋違いの要求を出してくるのだ。
そして、NAAは6月にも機能強化・新滑走路建設について用地確保が困難になったことから、土地収用法に基づく事業認定の申請を6月にも行おうとしている。断じて認めることはできない。
そもそも成田空港建設については、国と空港公団(NAAの前身)が90年代において収用裁決申請を取り下げ、「あらゆる意味で強制的手段を用いない」旨を社会的に公約した。黒野匡彦NAA社長は05年に東峰住民に向けて「人間としての名誉、尊厳を損なっていた」とする謝罪の手紙を送っている。
ところが、そうした自らの非を認めた言辞は、ことごとくペテンであった。今日NAAは居丈高に、年間50万回発着へ向け第3滑走路が必要だから土地を寄こせと臆面もなく要求し、土地収用法で強制収用を行おうとまでしている。あるいは祖父の代から天神峰で営農を続けている原告・市東孝雄さんについて、「人の居住を予定していない場所に住んでいるから、騒音被害を受けても当然だ」と言い放ってきた。
このようにして人の生活を踏みにじって恥じない空港には何ら「公共性」はない。新型コロナ下では、成田から1機も飛行機が飛ばなくても、人民の生活は支障なく続いていた。そして現代帝国主義は戦争遂行でしか延命できない存在であり、全世界的な戦争情勢の深まりと一体で、成田の拡張も進められようとしている。

閉廷後の報告集会(千葉県弁護士会館)

1966年からの成田空港建設の歴史は憲法違反の累積であり、またこの千葉地裁においてもたびたびNAA側の主張を追認するだけの最初から結論ありきの判決が出されてきた。新裁判長がそれと同じ過ちを繰り返すようなことがあってはならない!
弁護団の意見陳述の内容が、法廷を制した。居並ぶ国とNAAの代理人弁護士(国9人、NAA4人)は、手もとに視線を落として黙り込むだけ。大寄裁判長は憮然とした表情で、「原告は航空法で言う『他人の権利』は人格権だけで、財産権は含まれないという考えなのか」などと的外れな問いを発しただけだった。
次回期日を9月8日、次々回を12月15日と確認し、この日は閉廷した。
千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
弁護団一人ひとりが法廷を振り返って発言した。特に、成田空港においてはすでに30年以上前に収用の裁決申請を公団が自ら取り下げる形で、強制収用攻撃は一度完全に破産している。それを、同じ成田空港が今日の第3滑走路新設=機能強化において再び収用法を持ち出すことは、通常の法解釈ではありえないことが強調された。
また市東さんの耕作権裁判控訴審開始の見通しも確認された。
最後に司会の伊藤さんが、「事業認定で土地を強制収用する『緊急性』があるのか。あるとすれば今日の高市政権のもとで進められる戦争準備のと一体の緊急性だ」と弾劾し、翌日の「強制収用粉砕!菱田デモ」への参加を呼びかけた。(TN)

スケジュール
◎強制収用粉砕!5・13菱田デモ 5月13日(水)午前10時 天神峰・市東さん宅前集合→第3滑走路予定地(芝山町菱田)デモ 呼びかけ/三里塚芝山連合空港反対同盟

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