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市東さん農地裁判、早期結審策動を打ち破る

houkokusyuukai.jpg 12月6日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で市東孝雄さんの行政訴訟・農地法裁判(二つの裁判を併合)の口頭弁論が開かれた。市東さんを先頭に、三里塚芝山連合空港反対同盟、顧問弁護団、傍聴の労働者・学生・市民が一体となって闘い、証人調べを切り捨てて早期結審へ進もうとする千葉地裁の策動を完全に打ち破った。
 弁護団はまず、成田空港会社(NAA)による文書偽造問題で、新たな証拠を提出した。市東家が耕作していた畑の位置を特定する「同意書」「境界確認書」添付図面がNAAによる偽造文書であったことはすでに明らかにされているが、そこに書かれていた市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の署名自体が別の何者かによって書かれた偽造だったことが筆跡鑑定書によって明らかになったのだ。 

sitousann.jpg また、市東さんの農地が空港の予定地内から予定地外までかかっていることで、「空港に転用してよい」という千葉県知事の許可がまったく違法であることをあらためて突きつけた。
 そしてこの日の最大の焦点である証人の採否に移った。多見谷裁判長は市東さん側の24人の証人申請のうち、石指雅啓(06年7月当時国交省航空局成田国際空港課長)、戸井某(06年当時のNAA、土地空港転用担当者)そして反対同盟の萩原進事務局次長、市東孝雄さんの4人だけを採用するとの「決定」を述べた。
 すかさず弁護団は猛然と抗議に立った。千葉県農業会議とそれに先立つ成田市農業委員会の審議、手続きの違法・不当を明らかにするのに、それに関連した証人を採用しないとは、認められない! 傍聴席からも「証人切り捨てを許さないぞ!」という弾劾の声がたたきつけられた。
 理由を明らかにせよ!という声に対し裁判長は「人証を調べるまでもなく、現在の証拠で判断できる」「千葉県は“違法性があっても処分の効力には影響ない”と主張しているから、証人を呼ぶ必要はない」と臆面もなく述べた。
 「手続きは違法でも、農地強奪の賃貸借契約解除の許可決定は有効だ」という県のとんでもない主張を裁判長が代弁しているのだ。怒りの声は一層高まり、たまりかねて裁判長は傍聴人3人を退廷にした。
 「NAAや千葉県と同じ立場でものを言っているのか。どんな内容で許可相当と判断したか、当事者を呼んで尋問することは不可欠だ」と弁護団は裁判長を批判し、千葉県農業会議、成田市農業委員会の証人は絶対に不可欠であることを強く主張した。
 この長時間の激しい攻防を経て、裁判官合議の末に多見谷裁判長は、証人として、山崎真一(06年当時成田市農業委員会事務局長)、渡辺清一(06年当時千葉県農地課長)の2人を追加し、計6人の証人を採用した。戸井証人の不採用を求めたNAAの申し立ては当然にも却下となった。
 口頭弁論を打ち切り、萩原さんと市東さんの2人だけで証人調べを終わらせようという裁判所の思惑は完全に粉砕された。だが多見谷裁判長は旧地主の藤崎政吉らほかの18人は不当にも不採用のままとし、6人の証人調べの予定期日(計7回)を来年12月まで強引に指定するなど拙速裁判の構えを露骨にしており、攻防はさらに激突へとせり上がることは明らかだ。次回の弁論期日は2月20日。
 閉廷後、弁護士会館で報告集会が鈴木謙太郎さんの司会で開かれた。
 冒頭に市東さんがあいさつに立った。「今年は大震災と原発事故、5・20の不当逮捕、第3誘導路工事と大変なことが次々起きた。成田空港建設、福島の原発事故――国策なら何をやってもいいというのか。こんなウソやデタラメをみんなで変えないといけない。来年は今年以上に攻撃が強まるだろうが、みなさんとともにがんばります」と決意を述べ、さらに12月10日の「市東さんの会シンポジウム」の参加を呼びかけ、大きな拍手で迎えられた。
 さらに葉山岳夫弁護士を先頭に、弁護団が発言に立ち、法廷での応酬で口頭弁論打ち切りを阻止し証人を追加させた闘いの手応えを語り、来年1年が三里塚裁判と現地攻防の大勝負の年となることを確認した。
 最後に北原鉱治事務局長は「攻撃を受けるほど強くなるのが反対同盟の真骨頂。2012年を明るく闘おう」と語り、今年最後の裁判闘争を締めくくった。(TN)
 
 12・10市東さんの会シンポジウム〈人の命か「国策」か〉
 12月10日(土)午後1時/千葉市文化センター
 主催 市東さんの農地取り上げに反対する会 

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