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三里塚反対同盟が千葉市内デモ、地裁・多見谷裁判長を弾劾

s20121016b-1.jpg 10月15日、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者・農民・学生・市民は、農地裁判での千葉地裁民事第3部、多見谷寿郎裁判長によるテレビ会議(ビデオリンク)方式での証人尋問強行に対して、千葉市内デモを貫徹し、午後からの法廷に臨んだ。この日の証人は、元国土交通省成田国際空港課長・石指雅啓。暫定滑走路の北延伸計画が進められていく過程で、統括責任者としてすべてを知る位置にあった人物だ。石指は「海上保安庁の要職にあり、現場を離れられない」から、神戸地裁に呼んで、千葉地裁に「テレビ中継」して尋問する――こんな手法は、裁判の直接主義・口頭主義の基本原則を破壊する証人隠しだ! 

s20121016b-2.jpg 午前11時50分、千葉中央公園で集会が始まった。最初に北原鉱治事務局長がマイクを握り、多見谷の訴訟指揮と拙速裁判を強く批判した。続いて反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が経過を報告した。9月10日の裁判で裁判官忌避を申し立てたことに対し、千葉地裁が書面提出の翌日に却下し、即時抗告に対しても東京高裁がわずか3日後に棄却! このスピード処理について「記録も読まずに行われた。権力総体がグルになっての暴挙」と強く糾弾した。
 動労千葉の長田敏之書記長は、農地取り上げ攻撃に怒りをたたきつけ、間近に迫る11・4労働者集会への結集を呼びかけた。さらに、関実、群馬・市東さんの農地を守る会の決意表明を受けて、司会の萩原富夫さんが「地裁が土地強奪の執行機関になっていることを許さない。市東さんの農地を絶対に守ろう!」と訴え、シュプレヒコールの音頭をとった。
 ただちに市内デモに出発。宮本麻子さんが宣伝カーからアピールし、反対同盟を先頭にデモ隊が大通りを進んだ。千葉県庁前を通り、千葉地裁前では「裁判長は公正な裁判を行え!」の叫びが一層大きく響いた。
 午後1時30分開廷。弁護団はすかさず、特別抗告に対する最高裁決定を待たずに審理を強行する多見谷裁判長の違法を厳しく追及した。多見谷は「見解の相違。議論はしない」と居直りを決め込む。「ビデオリンクやめろ! 証人をここに連れてこい!」と傍聴席からも激しい怒声が次々とたたきつけられる中、多見谷は強引にNAA側に主尋問を命じた。
s20121016b-3.jpg それは異様な光景だった。法廷には2台のモニター画面が設置され、神戸地裁にいる背広姿の石指証人が映し出され、尋問が進められる。画像と音声はあっても、実体はそこにない。書証をアップにして示すのにも手間がかかり、裁判官による画面のリモコン操作もあきれるほど不慣れでお粗末。これが「真っ当な裁判」でないことはだれの目にも明らかだ!
 弁護団の反対尋問が始まった。石指は国交省成田空港課長という重要な地位にあったことをごまかし、責任逃れの姿勢に終始した。暫定滑走路の北側延伸について「自分はNAAの許可申請を審査しただけ」と言いながら、「滑走路が短いと大型機が利用できず、わが国の競争力に影響をおよぼす」などと危機感を吐露した。国・国交省が主導し、石指の関与のもとで北延伸が進められたことは間違いない。ところが石指は、何を聞かれても「できるだけ話し合いで解決にあたってきた」と「話し合い」を連呼し、あたかも対等な話し合いでことを進めてきたかのような白々しいセリフを並べ立てた。
 ふざけるのもいい加減にしろ! 金にあかして土地を買えるだけ買いあさり、反対している農民・住民の頭上に大騒音のジェット機を飛ばし、その圧力で立ち退きを迫る――これが国・国交省とNAAが結託しての常套手段ではないか。なにより市東さんをこうして法廷に立たせて、「土地を明け渡せ」と迫っていること自体が国家暴力ではないか! 弁護団は北延伸案の浮上と決定過程をたどりながら石指を徹底追及した。画面上の石指が「話し合い」を口にするたびに、傍聴席から弾劾の声が起こった。
s20121016b-4.jpg さらに石指は騒音問題については航空法第39条第2項「他人の利益を著しく害する」の要件にあたらないと言い張り、また暫定滑走路の構造的欠陥の数々について「問題ない」と突っぱねた。そして自分に責任が及びそうなことについてはすべて「記憶にない」と白を切った。石指証人の無責任な発言への怒りの高まりに対し、裁判長は傍聴席に向け次々と退廷命令を発し、「予定時間を過ぎた」と尋問終了を促すが、弁護団は追及の手を緩めず、午後5時半までやり抜いた。
 尋問終了後、弁護団が申請していた鎌倉孝夫さんら2人の証人について、多見谷裁判長は「不採用」を通告し、早期結審への衝動を一層あらわに示した。次回農地裁判は11月12日(月)に萩原進さんの証人尋問を予定。
 休憩なしで4時間もの法廷闘争をともにやりぬいた反対同盟、弁護団、傍聴人・支援者は、近くの会場に集まり、伊藤信晴さんの司会で総括集会をもった。最初に市東孝雄さんがあいさつに立ち、「今日は怒りを通り越してあきれた。権力は力ずくで抑えつけておいて、“話し合いをしてきた”とは、人をなめた言いぐさだ。いよいよ萩原さんと私の本人尋問に入りますが、一層ご支援お願いします」と決意を表し大きな拍手を受けた。
 多見谷の訴訟指揮と対決した弁護団一人ひとりの発言に続き、最後に萩原進事務局次長がまとめを行った。「率直に言って、先日の10・7の結集人数はあまりにも少なかった。本当に市東さんの農地を守るため、こんな姿でいいのか。いよいよ敵が襲いかかってくる時に、どうしたら勝てるのか、どうやって市東さんを守るのか。もう一度考え、肝に銘じ、奮い立ってほしい!」と鋭く訴えた。参加者はこの渾身のアピールを受けとめ、決意をこめた拍手で応えた。(TN) 

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