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台湾で、14万5000人が年金改革反対のデモ

20160906a-1.jpg 9月3日、台湾で公務員の年金改革に反対して公務員や教師、退役軍人、さらに他の労働組合も一体となった14万5000人のデモが行われ、「年金改革反対!」「蔡政権はやめろ!」と台北市内をデモした。台湾・蔡政権は、発足してわずか約100日で、政権危機に直面している。12日にも、再度の大デモが予定されており、台湾情勢は新たな大激動に突入した。

 台湾における公務員の年金問題は台湾経済の本質と歴史を象徴的に示している。73年10月に始まる石油危機(74-5年恐慌)によって、台湾の石油価格はわずか3ヶ月の間に一挙に3倍に値上がりし、74年の消費者物価指数は47.47%の上昇となった。台湾経済は存亡の危機に立たされ、そこで関係の深かったサウジアラビアなどからの海外からの借金でこの危機を乗り切り、経済の建て直しと発展を図ろうとした。
20160906a-2.jpg 世界的な不況の中で、国内経済は回復しない。しかし外国からの借金は返さなければならない。こうした状況の中で、台湾政府は公務員の賃金の一部を、”経済開発援助”という名目で無利子でおさえることとし、退職後にその金を返済するとした。それが公務員の退職金に対する利息の「優遇制度」となり、公務員は銀行に預けてある退職金に対して18%の利息がつき、それが事実上の年金となる制度が確立したのである。
 1970年代から90年代にかけて、台湾は「奇跡」の経済発展を遂げた。香港、シンガポール、韓国と並んで「アジア4龍」とよばれたが、その背後には資金の調達として、実は公務員労働者の賃金からの強制的な資金の天引きがあり、彼らの犠牲があったのである。
20160906a-3.jpg そして今や、その経済発展も行きづまった。世界経済も大恐慌に突入しており、台湾でも公務員の非正規職化が進み、賃金は下がる一方である。月給300台湾元(約1万円)の教師もいるという。経済成長期には給料の天引きを強制された公務員労働者は、今度は台湾経済の破綻と新自由主義の下で貧困化にたたきおとされている。
 一方で、この公務員退職金への18%の利息は、国家の援助によって維持されてきたが、台湾経済の崩壊の中で、それももはや維持できない状況に突入している。そこで蔡英文政権は、この18%の公務員退職金利息制度を廃止しようとしている。だがそれは、公務員労働者にとっては年金カットそのものとり、絶対に許せない事態である。
 政府は「公務員は優遇されている」「18%の特別利息を得ている」などと公務員労働者への誹謗(ひぼう)中傷を宣伝し、「公務員悪者論」で、この年金改革を強行しているが、この手口は日帝が国鉄改革や公務員改革でやってきた手口とまったく同じである。
 こうして3日の大デモに、主催者の予想をはるかに上回る14万5000人の労働者が合流し、蔡英文政権の年金改革への怒りをたたきつけたのである。これ自身は公務員の年金改革への抗議であるが、単にそれだけにとどまらない蔡英文政権への怒りが爆発した。とりわけ、今の新たな朝鮮侵略戦争情勢の激化、南中国海をめぐる戦争的な緊張の高まりの中で、蔡英文政権が米帝や日帝と一緒になってこの戦争政策を進めていることへの怒りの爆発である。
 新自由主義と戦争政治が全世界で吹き荒れる中で、労働者のゼネストが各地で闘われている。台湾も今や、東アジアの大激動の中で、労働者の壮大な決起が始まっている。11月労働者集会の大結集で、この台湾の労働者の怒りの闘いとも結びつき、日帝・安倍政権、韓国・パククネ政権とともに、蔡英文政権を打倒しよう!
 
写真は、上から
 1、「アメリカと日本の走狗の蔡英文は、台湾から出て行け!」とかかれた横断幕を持ってデモに参加する
   人たち
 2、総統府前にデモで集まり集会を開催する数万の労働者民衆
 3、「労働者へのデマ宣伝を許すな!」などのプラカードを持って抗議する

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